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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
176/207

176. 戦況

 ゴォォォン!!


 雷鳴のような轟音とともに、ニヴェラの精霊の放った槍が少女に向かって一直線に飛んでいく。


 しかし——


「甘い」


 少女の唇がわずかに歪む。


 その瞬間、彼女の体が闇に溶けるように消えた。


 槍が突き進んだ先には、何もない。


「……消えた!?」


 ニヴェラが驚愕する間もなく、影が背後に集まり、少女が音もなく現れた。


「珍しい精霊ね」


 ニヴェラのすぐ後ろ。気づいた時には、もう遅い。


「——テンブラ・ファルシス!」


 少女の掌から発せられた黒い波動が、ニヴェラの腹部に直撃する。


 ドォン!!


「ぐっ……!」


 ニヴェラの体が大きく弾かれ、地面を転がる。


「ニヴェラ!!」


 ルイが駆け寄ろうとするが、少女が再び影の中に消え、次の攻撃の準備をしていた。


 ——そのとき。


「エマ、だめだ、下がれ!」


 ルイの制止を振り切るように、エマはすでに杖を手にしていた。


(今なら、やれる……!)


 少女がニヴェラを撃破し、次の攻撃に移ろうとしたまさにその一瞬の隙を、エマは見逃さなかった。


「——ルーメン・サンクティス!」


 エマの杖から放たれたのは、澄み渡る純白の光。


 光が少女の体に直撃すると、彼女の体が激しく震えた。


「……ぐっ!? な、何……これは……!」


 少女の闇の魔力が、光に焼かれるように揺らぐ。


「……絶対に負けない!」


 エマの叫びとともに、光がさらに強く輝く。


 少女の黒いマントが焼け焦げ、影の魔力が次第に薄れていく。


「この、私が……!」


 少女は苦悶の表情を浮かべながら、エマを睨みつけた。


 戦況は、一気に変わりつつあった——。

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