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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
174/207

174. 遺跡の守護者

 遺跡の守護者は攻撃を止めない。次々と魔力を放ち、そのたびに大気が震えた。


「……私もやるしかないか」


 ニヴェラが静かに呟き、胸元のペンダントに手を当てる。


「オルタ・エス、マギストラ・エテルニタティス!」


 ニヴェラの背後に光が集まり、巨大な女神の姿をした精霊が現れる。その威厳に満ちた姿が、遺跡の霧の中に浮かび上がった。


「ニヴェラの精霊……!」


 エマが驚きの声を漏らす中、ニヴェラはさらに詠唱を続ける。


「イーラ・ディヴィナ、フルミナ・ケーレスティア!」


 女神の精霊が手をかざすと、眩い光が巨大な槍となり、守護者へと放たれる。


 槍は一直線に飛び、守護者の胸に突き刺さった。轟音が響き、ひび割れが全身へと広がっていく。


 だが、守護者はまだ倒れない。


「くっ……まだ足りない……!」


 ニヴェラがさらに詠唱を続けようとした瞬間、守護者の反撃が襲いかかる。


「危ない!」


 ルイが素早く動き、バリアを展開。轟音とともに激しい魔力の奔流が弾かれ、周囲の霧が吹き飛んだ。


 守護者はゆっくりと片腕を持ち上げ、拳を振り下ろす。


「このままじゃ押し切られる……!」


 ニヴェラは精霊を操り、再び攻撃を仕掛ける。


「ルーメン・ジャスティティア!」


 女神の精霊が天空に手をかざすと、無数の光の矢が現れ、守護者を貫いていく。しかし、それでも守護者の動きは止まらない。


「まだ……動くのか……!」


 守護者の拳がニヴェラの精霊を直撃し、女神の姿がかき消えかける。


「……っ!」


 ニヴェラが膝をつきかけたその時——


「任せろ」


 ルイが前に出る。


「今だ、ルイ!」


 ニヴェラの叫びに応えるように、ルイは杖を振り上げた。


「終わらせる——イグニス・マギカ!」


 青白い魔力が奔流となり、守護者を包み込む。強烈な光とともに、巨人の身体が崩れ去った。


 静寂が訪れる。


 霧の向こうに、いつの間にか門が現れていた。


「やった……?」


 エマが息を整えながら門を見つめる。


 ルイは頷き、静かに杖を下ろした。


「いくぞ」

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