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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
168/207

168. 隙

 宿の部屋で、ルイとエマ、そしてクロは体を休めていた。


 ニヴェラは隣の部屋にいるが、扉越しに気配を感じる。彼女が一睡もしていないことは、ルイにもエマにもわかっていた。


「ねえ、ルイ……」


 エマがベッドの上で身を起こし、小さな声で呟いた。


「どうした?」

「……風の古代魔法具を狙った闇の魔法使いたちが、オルケードを襲ったのかな?」


 ルイは少しの間黙り込んだあと、静かに言った。


「その可能性は高いな」

「じゃあ……風の古代魔法具を持ってるニヴェラがオルケードに戻ったら、今度はニヴェラが狙われるんじゃ……?」


 不安げなエマの言葉に、ルイはゆっくりと頷いた。


「そのとおりだ。ニヴェラは魔法具を上手く隠しているが……感情的になればなるほど隙が生まれる」

「……ニヴェラが感情的に?」

「普段の彼女ならありえないが、もしオルケードが崩壊していたら……冷静さを失って、ニヴェラの持っている古代魔法具が暴走してしまうかもしれない」


 エマは息を呑んだ。


「そんな……!」

「だからこそ、俺たちが一緒に行くんだ。エマ、いざというとき、お前ならニヴェラを止められる」

「え?」


 思いがけない言葉に、エマは目を瞬かせた。


「ニヴェラはエマのことを信頼してる。それに……エマなら、魔法じゃなくても、ニヴェラを止められる気がする」


 ルイの言葉には確信がこもっていた。


 けれど、エマは不安を拭えず、唇を噛む。


「……もし、ニヴェラが暴走したら、本当に私に止められるのかな……?」


 ルイは一瞬目を伏せ、それから優しく微笑んだ。


「大丈夫だ。もし難しければ……俺が強引に止める」

「……うん」


 エマは深く息を吐き、小さく頷いた。


 隣の部屋から、かすかに床を軋ませる音が聞こえた。


 ニヴェラもまた、不安の中にいるのだと、エマは改めて思い知った。

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