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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
166/207

166. 不安定

 王宮のすぐ近くの街中で、ルイとエマは焦った様子のニヴェラを見つけた。


 彼女もまた、ルイとエマに会いに王宮へ向かっていたようだ。


「ルイ! エマ!」

「ニヴェラ、大丈夫なの?」

「私は大丈夫だ。だが……」


 ニヴェラは自分の腕につけた金の腕輪を二人に見せた。


 腕輪には、透明な球体が埋め込まれており、その中で黒い雲のようなものが不規則に渦巻いていた。


「オルケードが危ない……」

「オルケードが!?」


 驚くエマに、ニヴェラは険しい表情で説明を続ける。


「これはオルケードの安定を示す腕輪だ。オルケードが雲の上に存在できるのは、守護者たちの魔法によって空と風が制御されているから。しかし、この腕輪がこれほど乱れているということは……」


 彼女は一度、言葉を切ると、唇を噛んだ。


「国が墜落しかけているか、あるいは……すでに……」


 その言葉に、エマは息をのむ。


「ニヴェラ、オルケードに戻るつもりか?」


 ルイが冷静に問いかけると、ニヴェラは静かに頷いた。


「すまない……何が起きているのか、確認しに行かねばならない」

「ルイ、私たちも一緒に行こう!」


 エマが迷いなく言うと、ニヴェラは驚いたように目を見開いた。


「エマ、気持ちは嬉しいが……」


 迷うニヴェラに、ルイが尋ねる。


「オルケードは今どこにある?」

「私が全速力で飛んでも、ここから一週間はかかる距離だ」


 その言葉を聞き、ルイは一瞬考え込んだ後、静かに口を開いた。


「わかった。俺の魔法である程度ワープした後、そこからニヴェラの風魔法で飛んでいこう」

「いいのか……!?」


 ニヴェラは驚きの表情を見せる。


「ああ。ゼファンのことも心配だしな」

「しかし……二人に迷惑はかけたくない。風の古代魔法具と雷の古代魔法具をルイに託して、私一人で向かうのはどうだ?」


 迷いながらも提案するニヴェラに、ルイは静かに首を横に振った。


「少なくとも、風の古代魔法具は最後までニヴェラが持っておくべきだ」


 ニヴェラは一瞬、何かを言いかけたが、ルイの真剣な眼差しに口をつぐむ。


「それに、俺たちは仲間だ。最後まで一緒に行動しよう」


 ルイの言葉に、ニヴェラは目を伏せ、しばらく沈黙した後、小さく頷いた。


「……すまない」

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