150. 強さ
女戦士たちは一斉に杖を構え、ルナに向かって攻撃を放った。
しかし、ルナは軽々と攻撃をかわし、杖を振る。
「グラヴィタス・チェイン!」
その瞬間、金色の魔法の輪が女戦士たちの身体を取り巻き、動きを封じた。
「くっ……!」
ヴァレリアもまた、拘束魔法によってその場に縛りつけられ、悔しげに歯を食いしばる。
ルナはゆっくりと王座の前へと降り立ち、レオノーラ女王を見据えながら口を開いた。
「美しい女性たちを痛めつける趣味はない。エマは返してもらう。それから、あの湖に防御魔法をかけた者について教えてもらおう」
「……舐められたものだな」
女王が低く呟くと、彼女の手に炎をまとった巨大な剣が生み出される。
「この国では強さこそがすべて。私が女王である理由、この手で教えてやろう」
レオノーラが剣を振り下ろすと、炎の軌跡が光の刃となってルナへと襲いかかる。
しかし、ルナは冷静だった。
「ノクティス・アウリス!」
ルナの周囲に暗紫色の防御魔法が展開され、光の刃は弾き飛ばされる。
その間に、ルナは素早くエマの手錠に杖を向けた。
「リベラ・ヴィンクルム!」
呪文と同時に、エマの両手にかかっていた魔力封じの手錠が砕け散る。
「エマ、動けるか?」
「う、うん……!」
しかし、ルナとエマが息をつく間もなく、レオノーラは次々と攻撃を放つ。
「フレア・テンペスト!」
灼熱の旋風が二人を飲み込もうとするが、ルナはすかさず防御魔法を展開する。
「シアーテ・オルビス!」
防御障壁が炎を弾き、ルナは静かに杖を構え直した。
「……面倒だが、やるしかないようだな」
こうして、ルナとレオノーラの激しい戦いが幕を開ける――。