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145. 警備隊

 ルナ(ルイ)、エマ、ニヴェラ、そしてクロは、空中都市エテルへとワープした。


「オルケードと違って、雲の上にあるってわけじゃないんだね」


 エマが周囲を見渡しながら呟く。


「地面ごと浮かせたような感じだな。確かに壮大だけど、オルケードのほうが神秘的で美しいな」


 ニヴェラが同じく辺りを見回し、感想を漏らす。


 その横で、ルナは警戒した様子で目を細めていた。


「ルナ、大丈夫?」


 エマが尋ねるが、その瞬間――。


 突然、周囲を六人の警備隊に囲まれた。


「君たち、見慣れない顔だな。身分証を提示しろ」


 先頭に立つ男が威圧的な声で命じる。

 

「身分証……!?」


 急な要求にエマは戸惑いを見せた。


「身分証なんて必要ないでしょ? 急いでるの」


 ルナが落ち着いた声で返すと同時に、彼女の魔力が周囲に広がる。魅了魔法だ。


 しかし――。


「ふざけるな」


 一人の警備隊員が、血の流れる腕を握り締めながら、鋭い視線をルナに向ける。自ら右腕を切りつけたようだ。


「自傷で気を紛らわせて魅了魔法を免れるとは、やるな」


 ルナが冷静にその男を見据えながら呟く。


「お前、ヴァルディアの闘技大会で見たルナってやつだな」


 男の言葉に、周囲の警備隊もざわつき始める。


「……」


 ルナは無言のまま表情を引き締める。


「リチャード様の命令だ。お前は指名手配されている! 逮捕だ!」

「何の容疑だ?」


 ルナが静かに問い返す。


「命令は命令だ!」


 男が叫ぶと同時に、警備隊が一斉に杖を構えた。


 だが次の瞬間、ルナが杖を振ると濃い煙が一気に立ち込めた。煙幕だ。


「行くぞ!」


 ニヴェラがルナとエマ、さらにクロを腕でしっかりと抱きかかえると、猛スピードで疾走した。風の魔法を駆使し、空中都市エテルの建物群を縫うように駆け抜ける。


 しばらくして、彼らは空中都市を離れ、青い海の上に浮かぶ何もない空間にたどり着いた。ニヴェラはゆっくりとスピードを落とし、空中で停止した。


「ここまでくれば大丈夫だろう」


 しかし、背後から声が響く。


「俺から逃げられると思ったか?」


 振り返ると、先ほど自傷してみせた警備隊の男が宙に浮かび、魔力をまといながらルナたちを睨んでいた。


「やれやれ、手強い相手が出てきたな」


 ニヴェラが苦笑を浮かべながら杖を構える。


「どうする、ルナ?」

「決まってる」


 ルナが静かに杖を持ち直しながら応える。彼女の目には、鋭い光が宿っていた。

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