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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第六章 エルドラの迷宮森
133/207

133. エルドラの迷宮森

 イゼルナからワープした後、少し歩くと、広大な湖が視界いっぱいに広がっていた。


 澄んだ水面が鏡のように空を映し出し、冷たい風がさざ波を揺らす。


 「このまま真っすぐだ」とルイが言い、ためらいもなく湖の水面を歩き始めた。


 ニヴェラは軽々と宙を浮き、ルイの背後に続く。


 エマは巨大化したクロの背中に乗り込み、クロもふわりと浮かびながら、同じように進んでいく。


「ねえ、ルイ……」

「どうした?」

「リュミナールで買ったアクア・ステップストーン、使ってる?」

「そんなもの要らない。水面くらい歩けるさ」

「……」


 エマはため息をつき、(何のために買ったんだろう)と心の中でぼやいた。


 静かな湖面を進み続けるうち、ルイが足を止めた。


 「ここか」と、ニヴェラが小さくつぶやく。


 エマが目をこらすと、周囲にはただ湖が広がっているだけで、他には何も見当たらない。


 「ここって……どこ?」とエマは問いかけた。


 「ついてこい」とルイが短く言うと、そのまま前方へ進み、突然その姿がかき消えた。


「え!? いなくなった!」


 驚きながらも、エマもルイが消えた場所へ恐る恐る進んでいく。次の瞬間、景色が歪み、湖の中へ吸い込まれるような感覚に包まれた。


 気づけば、彼女の足元は湿った草で、背の高い木々が視界を覆っている。


「あれ……? ここ、森?」


 「エルドラの迷宮森だ。湖の中に隠されている」とルイが説明する。


 その声に振り向くと、彼がすぐ隣に立っていた。


「すごい……本当に着いたんだね」

「そうだ。だが、ここからが本番だ。中心部へ進まなければならない」


 ルイは深く森の奥を見つめながら続けた。


「この森は生きている。気を抜けば迷わされる。絶対にはぐれるな」


 木々の間を吹き抜ける風が、まるで彼らの行動を見張っているかのようにざわめいた。

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