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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第六章 エルドラの迷宮森
131/207

131. 好み

 数日後、船は目的地のイゼルナに近づいていた。


 エマはニヴェラとすっかり打ち解け、クローキャットのクロも交えて客室のリビングでくつろいでいた。


「もうすぐイゼルナに着くぞ。それから――エマ、気をつけろ。あそこには魔法連盟のイゼルナ支部がある」

「えっ!? 魔法連盟の支部が!?」

「俺とエマは連盟に目をつけられている。連中が動けば、厄介なことになる」


 エマは考え込み、少し不安げな顔で口を開いた。


「……ルナの方が安全じゃない?」


 ルイは少し考え込んでから頷き、呪文を唱え始めた。見る間に彼の姿が美しい女性へと変わり、長い髪が艶やかに揺れる。


 その変化を間近で見ていたニヴェラは目を丸くし、口をぽかんと開けたまま固まっていた。


 「ニヴェラ、大丈夫?」とエマが心配そうに声をかける。


「…………」


 答えるどころか、視線を外すことさえできないニヴェラに、ルナ――ルイは眉をひそめた。


 「やっぱりやめておこう」と呟くと、ルイは元の姿に戻ってしまった。


 その後、ルイが出発の準備をしている間も、ニヴェラはまだ混乱から抜け出せない様子だった。


 「さっきの……あれ、何だったんだ?」と、ニヴェラはようやく声を絞り出す。


 「ルイがもし女の子として生まれてたら、ああいう姿になってたの。ルナって名前。でも、闇の魔法使いにはルナの姿で会ったことがあるから、あの姿は危険なんだ」とエマは説明した。


「なるほど。つまり――あいつの本体は男か……惜しいな」


 ニヴェラのぽつりと漏らした一言に、エマは一瞬ぎょっとした。


(ニヴェラって……女の人が好きなんだ……)


 何とも言えない気持ちを胸に抱えながら、エマはひっそりとため息をついた。

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