122. リュミナール
水上都市リュミナールの上空に、クロの背中に乗ったルイとエマ、そしてニヴェラが到着した。
ニヴェラは人の姿に戻り、眼下に広がる都市の光景をじっと見つめる。その冷酷な表情にわずかな変化が現れ、興味を引かれたように目を細めていた。
青い水面に浮かぶ都市は、無数の浮遊島とそれを結ぶ優美なアーチ状の橋で形作られていた。魔法の力で波間に静かに漂い、建物はガラスや貝殻のような素材からできている。陽光を反射して七色に輝き、噴水から湧き上がる水流が空に虹をかけていた。
「すごい……綺麗なところだね!」
エマが目を輝かせる。
「水の魔法を極めた者たちの都市だな。まずは散策して、リヴァースの居場所を探そう」とルイは冷静に言う。
「情報収集なら、手分けした方が効率がいい」とニヴェラが提案する。
「そうだな。俺はエマと一緒に宿も探す。何かあればすぐ連絡してくれ」
「了解だ」
ニヴェラは翼のように広げた光のオーラをまとい、中央にそびえる塔へ向かって一直線に降下していった。
「俺たちも行こう」
ルイがそう言い、クロは滑らかに翼を広げて下層へと降りていった。
リュミナールの街は複数の層に分かれており、下層には水面に直接浮かぶ市場や住居が並んでいる。建物の間を滝や川が流れ、そこに架かる小さな橋の下をカラフルな魚や魔法生物が優雅に泳ぐ。
水上の市場では、船に乗った商人たちが珍しい魚や魔法薬の材料などを販売している。
「わあ……本当に綺麗……!」とエマが感嘆の声を上げる。
ルイはそんな彼女を見て微かに笑みを浮かべると、近くの船着き場に目を留めた。
「船を借りて街を回ろう」
二人とクロは移動用の小舟をレンタルし、水晶の波が煌めく水上都市の冒険を始めた。