12. ルミナス・カレッジ
列車のスピードが徐々に落ちていくのを感じながら、エマは窓の外を見つめた。遠くに、アルカナ魔法学校が霧の中から姿を現していた。その瞬間、胸が高鳴り、同時に緊張感が押し寄せてきた。
「見て! アルカナ魔法学校よ!」
ソフィアが窓を指さし、目を輝かせる。エマもその方向に目を向けた。広大な敷地の中に点在する建物のひとつひとつが、魔法界の最も歴史ある名門校にふさわしい荘厳さを持っていた。古びた石造りの建物が、霧の中でさらに神秘的に浮かび上がっている。
エマは感動のあまり、言葉を失った。
「私のお兄さんが言うには、一番上に浮いている建物が『アーク・カレッジ』って呼ばれていて、アルカナ魔法学校の象徴なんだって。特別な試験に合格した優秀な学生3名と、学長を含む教授5名だけがあのカレッジに所属しているらしいわ」
ソフィアが嬉しそうに説明する。
列車がついに駅に停まり、乗客たちが次々と降りていく。エマとソフィアも荷物を抱えながら列車を降りると、広場に新入生の案内係が待っていた。
「新入生の皆さんは、こちらへどうぞ!」
案内係の声に従い、エマとソフィアは他の新入生たちと一緒に列を作った。緊張の面持ちで歩きながらも、エマは少しずつ期待感が胸の奥で膨らむのを感じていた。
やがて、エマたちはルミナス・カレッジの場所に案内される。目の前にそびえ立つのは、壮麗な建物。数百年もの時を経た石壁には、緑の蔦が絡みついており、その歴史と格式を感じさせる。大きな門をくぐると、広場が広がり、緑の芝生の中に高くそびえる塔と、美しい回廊が整然と並んでいた。
「すごい……」
思わず声が漏れる。隣にいるソフィアも、その美しさに目を奪われている様子だった。周囲では、たくさんの新入生が集まり、広場を歩いている。壁に刻まれた文字や装飾は、まるで何世代にもわたる伝統を語りかけてくるようだった。
「一度見たら忘れられない、まさに魔法界の心臓みたいな場所だわ」ソフィアが続けると、エマはその言葉に静かに頷いた。
その先に見える壮大な建物の中には、未来の魔法使いが学び、成長する場所が広がっている。エマもまた、この場所でどんな経験をするのだろうかと考えながら、一歩一歩踏みしめて歩みを進めていった。