48.侵略の停滞
誠に申し訳ございませんでした。
仕事が変わり、それの仕事に慣れるために時間がとられてしまい、投稿できませんでした。
今も新しい仕事に慣れていないために書く時間が多く取れません。
ですが、時間を見つけて書いていこうと思っています。
見放すこともなくお待ちいただいていた方に深い感謝を捧げます。ありがとうございます。
ではお楽しみください。
侵略の停滞
ヴァリラ連邦は、旧王国の高位貴族が密集していた場所に建国された国だ。
旧王国と言われた国は大陸を統一した王を頂点とした国だった。旧王国は幾度となく繰り返された統一劇の中の一つの国にしか過ぎないが、今を暮らす民にとっては身近な国であることには違いなかった。民にとっては、旧王国の記憶はさほど色褪せてはいなかったのである。
旧王国が無くなったのは、詰まる所、旧王の失政にある。
旧王国の国王は大陸を統一することに熱心だったのだが、目的が大陸統一にあったという点で、その先のことを考えていなかった。統一後の展望を何も持っていなかった。大陸統一したら何もかもうまく行くとだけ考えていた節がある。統一に協力した有力者も今後については統一後考えを披露すると言われれば、今後のことを不安視しながらも旧王についていくしかない。しかし大陸統一したは良いが、統一後の王国の運営については旧王は何も展望を持っていなかったため、結局ぼろが出た。何も考えていないというか、考えられなかったのだった。統治に関する一切の能力に欠けていたのではないかと言う者までいる始末だった。統一するまでの王には、戦士たちへのカリスマ性はあったのだが、民を率いる能力は高くなかったらしい。
王は統一した大陸に王国を創立し、王となった。そして統一に協力した者を貴族とし、要職につけ国を運営させたのだが、大陸統一まで持っていた王の情熱は大陸統一後に底をついてしまい、王を利用しようとした貴族たちが用意した王宮で、貴族たちに勧められるまま、ただひたすら酒と色に耽けるようになった。そのため国政は統一に協力した今は貴族となった有力者が担うことになった。王はほとんど何もせず、認めるのみだったと伝えられている。やがて、王国の事業に利権が絡み、貴族が自分の利益のためだけに争うようになる。しかし王は特に何もしなかった。こうして権力闘争に明け暮れた貴族同士が争って王を蔑ろにし、旧王国は十数年で瓦解したのだった。
大陸は旧王室の流れを組む国、統一に協力した貴族が建国した国、私腹を肥やした旧王国貴族を打倒して生まれた国に、それぞれ分裂して統一王国は今現在、影も形もない。
ちなみに王国分裂時の混乱時に侵略されるなど起きたため、貴族のいくつかは同一地域の貴族領同士でまとまることもあった。
ヴァリラ連邦もそのような経緯で興った国だった。
ヴァリラ連邦は現在ある場所にあった四つの公爵領が主体となり出来上がった国で、建国時の話し合いによって国としての運営は四つの公爵家が持ち回りで順に国家元首となり、運営をしていく事になっていた。そして四公爵家に優劣はなく、対等の存在であると決められている。国都は決められておらず、それぞれの貴族領の領都が国家元首となるときに国都として機能した。
ただ、公爵家の能力には差があり、能力に劣ると思われる公爵家の当主が国家元首となっていた時期は、波乱が起こる。現在の連邦の国家元首は、分別を持つ公爵家ではなかった。この当主は、国内の統制においては平凡という能力の割に欲深く早急な質を持つ公爵家当主だったのがヴァリラ連邦という国に災いした。この公爵家当主は、ドルイド王国の九千の兵がハビエル王国を三度も攻め、そして返り討ちとなって九千の兵が消えたことを知った。当主はドルイド王国の兵士の数が減ったことを好機と考えた。兵を増やしたとしても戦に慣れていない兵だろうと、当主は碌な情報収集をすることなくドルイド王国の兵の質が低下したと決めつけ、他家に相談することもなく自家の兵をドルイド王国に向け進軍させた。
実際ドルイド王国についていえば、確かに兵士数は減少していたが、軍隊自体は質が下がったわけではなかった。反対にヴァリラ連邦の漁夫の利を狙った侵略に対して憤ったドルイド王国民の総力を上げた必死の防衛により、ヴァリラ連邦軍は三分の一以上の兵を失い継戦能力を失い、撤退した。さらに悪いことに、逃亡したヴァリラ連邦軍の一部がハビエル王国領土に入り込んだ。しかも事もあろうか、ハビエル王国の辺境の村を占領して思うがままに振舞った。このヴァリラ連邦軍崩れは、村の惨状を見て激怒したハビエル王国の魔女に戦争犯罪の証言をさせるためにわざと生かされた将官一人を除き、この世から抹殺させられた。
ヴァリラ連邦の代表公爵当主は辺境の村に対する非道に対する巨額賠償金をハビエル王国から請求され、唖然とした。国を構成する貴族の当主が相談連絡することなく勝手に隣国ドルイド王国に攻め込み敗戦し逃げたことはまだしも、当事者ではないハビエル王国領土に迷い込んだ挙句、集落を蹂躙したなど言い訳もできない。他家は総じて勝手な振る舞いをした公爵家当主に責任を押し付けた。自分たちはこの度の暴挙に賛成をしたわけではなく、責はすべてあの公爵家にあると言って、である。
一家では到底払えないその賠償金に対して、一度他家にヴァリラ連邦全体での弁済をしてくれるように依頼をしたが、他の三公爵家は、一つの公爵家の暴走による主権侵害であるとして連邦全体での弁済の義務はないと国全体での支払いを拒否し、弁済は国ではなく一公爵家が負うべきものであると通告した。
ハビエル王国の村を占領したことに対する賠償金が一公爵家では巨額過ぎて払えないと、自暴自棄となった公爵の逆恨みで、頭に血が上った公爵は、一公爵家の軍では到底太刀打ちできない兵力に勝るハビエル王国へと突撃した。結局一公爵家とハビエル王国では戦いにもならず、公爵軍をハビエル王国軍が撃破し壊滅させた後、勢いを駆ってそのまま公爵の領地へ進軍し、ついに公爵家の街を占領したと、魔女アストリットは聞き及んでいた。
「・・・それで、なぜ私に出撃という王命が来るのですか?」
アストリットは王宮内の与えられた部屋で、国王からの勅使が掲げた国王からの書面の読み上げを聞き、眉を寄せた。
この頃、国王は魔女と言われているアストリットに対する王家の姿勢という世間体を気にして、アストリットへは国の賓客としての待遇を用いていた。そのため、国王がアストリットと話したいときにはこうして侍従を勅使として派遣してくる。アストリットは何をいまさらと思っていたが、今のハビエル王国は、国王が貴族の頂点に立っている国なのだから仕方がなくそのくだらない決めごとを面倒だと思いながらも受け入れていた。しかしながら実のところアストリットが大陸最高の人間兵器であると、ハビエル王国国王ルシアノ・ハビエルは認識しており、さらには機嫌を損ねないようにと腐心もしていた。機嫌を損ねてしまったなら、ハビエル王国からいつでも出国されてしまうのではないかとハビエル王国国王は恐れていた。アストリットがいなくなったハビエル王国など、他国に短期間で制圧されてしまうと国王ルシアノ・ハビエルは考えた。この国は平坦な地形が大半で、他国の侵略は楽な部類となるだろう。ということは、反対に守ることは相当難しい。
今までは食料の供給の増減で他国からの侵略を巧みに逃れてきていたが、ドルイド王国の例もあり、侵略を始められれば、国土は蹂躙されやすい。ハビエル王国国王の思考はそこに行き着く。民草を守ることが難しく、外交で他国の欲を逸らしていかなければならない。しかしただでというわけにはいかないだろう。何らかの身銭を切らなければ、この国は守れないだろう。そう悩むところに降って沸いたように、国に魔女が現れた。魔女アストリットは力を示し、難なく他国の軍を退けた。その報を聞いたハビエル王国ルシアノ・ハビエルはこれだと飛びついた。神の配材に感謝し祈りを捧げたほどである。今までの苦悩はこの魔女の登場で無くなると有頂天になったほどだった。アストリットを使えば、大陸の覇権すら握れるのではないか。そう都合よく解釈したとしても、それはあながち間違いではない。
そもそも魔女は大陸には時折現れる者で、大いなる存在という本当に要るのかどうかわからない存在からいろいろな能力を与えられた者と言われていた。そのため、王宮にいるものはすべてアストリットの存在が無二であることを正しく認識しており、機嫌を損ねるのは好ましくないと理解している。アストリットの存在を半信半疑で疑っている国も実際にはあるが、少なくとも噂を聞けばハビエル王国への侵略は躊躇するだろうし、さらにはハビエル王国の侵攻時には、相手国は委縮するに違いない。それほどまでに魔女アストリットは地上に久しぶりに確認された圧倒的な存在なのだった。
「・・・我が国の村に無体な攻撃をしたヴァリラ連邦所属の公爵の街を落とし、占領を完了したと、私は聞いております」
アストリットはじろりと国王の勅使を名乗る侍従を見た。
侍従はその視線を受け、すでに額に冷や汗をかいている。
「・・・占領をしたはずですのに、なぜ私がわざわざ出向かなければならないのです?
・・・占領軍が統治をおこなえばよい話で、私が出向く必要はないのではありませんか?」
アストリットの先ほど来の一言一言区切りながらの強い言葉に、勅使となった国王の傍につかえる侍従が汗を垂らしながらおずおずと口を開く。
「・・・魔女殿のご不信はわかりました。しかしながら私も国王陛下に魔女殿に伝えよと言われてこちらへ来ただけでございます。・・・私も詳細は知らされておりません・・・。
・・・魔女殿がそのように不信だと思われるのであれば、国王陛下に謁見を申し込まれ、直にご確認いただけませんでしょうか・・・」
侍従はしどろもどろになりながらもなんとか答える。
もともとアストリットは、ヴァリラ連邦に侵攻することについては、関心を持たなかった。そのためアストリットは進軍後の経過について調べることも、知ろうともしていなかった。現時点での戦況が、アストリットを必要とする状況に陥っているとは想像だにしていなかった。
そもそもアストリットは自家の今後のために、ハビエル王国国王から貰った領地を独立国にしようと考えていた。そのためにはベルゲングリューン家の軍を形成しなければならない。軍を持つためには今よりも広大な領地を持たなければならない。そのために最近アストリットはある程度ハビエル王国に協力することにし、それに対する褒賞として領地を得ようと考えている。さらには帝国から亡命した貴族たち全員をベルゲングリューン家領地に集められないかとさえ考えるようになっていた。貴族は武に優れる者は軍の指揮官になりうるし、文に勝る者は領地の統治に手腕を発揮できるとアストリットは考えていた。
ちなみにアストリットは王宮で時折出会う知り合いの亡命貴族出身の役人によく話しかけていたりしていた。ベルゲングリューン家領地に勧誘するためだった。移住してもしなくても別に良い。無理強いをしようとは思っていないが、王宮にいるよりはベルゲングリューン家領地のほうが活躍はできるだろうと思っての勧誘だ。その時父や兄への紹介状を求められれば、父親や兄へのあての手紙を手渡していた。ただ紹介状を手渡した知り合いが、気が付くと王宮で会うこともなくなり、調べてみるとぽろぽろと辞めて居なくなり、ベルゲングリューン家領地に家族ぐるみで移住したりしていたということが多くなっていた。
こうして亡命貴族を家族に準ずるものとしているアストリットは、自分に近い者をベルゲングリューン家領地に移動させることで後顧の憂いを軽くすることに成功していた。ただし、中にはアストリットには頼りたくないという亡命貴族もおり、そういう者へ無理強いはしていない。
アストリットがベルゲングリューン家領地に亡命貴族を集めだした原因となった帝国の侵攻について、今の皇帝に反旗を翻した亡命貴族に対して恨みを持っているはずであり、その恨みを晴らすために亡命貴族と、その亡命貴族を受け入れたハビエル王国を滅ぼすと決めた帝国に対抗するためにアストリットは色々と情報を集めていたが、帝国はこのところ侵略を進めていなかった。むしろ停滞しているといっても差し支えないほど、全く動いていない。都市国家群を併合した後は侵攻が止まっていた。ハビエル王国に侵攻したドルイド王国の軍隊九千が地上から消え去ったことは、帝国のドルイド王国侵攻を早めるとアストリットは予想したのだが、なぜか帝国は動こうとはしなかった。
『国力を回復させるとか?・・・いや、ありえないわね』
アストリットは今までの帝国の動きから帝国は兵の消耗を考慮することなく嵩にかかって攻めて来る国と認識していた。そのため、都市国家群を併合した後、即ドルイド王国に進軍すると考えて、使い魔にしたカラスのコジマをドルイド王国と帝国の国境に翔ばしてみたのだが、ドルイド王国との国境に帝国軍の影は見えず、国境を守る警邏隊はいるが、それ以外の軍は姿を見つけることすらできなかった。
アストリットは帝国の侵攻に備える形で今回のヴァリラ連邦の侵攻戦に参戦はしなかった。一応遠回しに参戦の意向を尋ねられたのだが、帝国の動きに備えたいと申し出たところ、国王には相当落胆はされたが最終的にアストリットの参戦は見送られた。まあ、国王の命に従順に頷くだけなのは今に使い潰されてしまうかもしれないと考えてもいたため、ヴァリラ連邦の戦に関しては参戦しないことになってアストリットは内心ほっとしてもいた。ハビエル王国に所属する貴族の一員として考えれば、ハビエル王国国王ルシアノ・ハビエルに未だ権威がある状態で、意向に沿わないという選択は得策とは言えないが、ただ少なくとも言われたことに即頷くよりは魔女という評判を持つアストリットが拒否をすることで、アストリットがこれ以上の利を求めない人物だと王国側に錯覚をさせるよりは、タダ働きは決してしないと明確に国王に理解させる意味は大きいと思う。国王の命を受け入れないという姿勢は、アストリットを尊重しなければハビエル王国の存亡という大事に発展する恐れをはらんでいる。魔女という存在はたかが一国の国王が如何こう出来る存在ではなくなっているからだった。
ヴァリラ連邦侵略に関して言えば、ハビエル王国軍は他の公爵家の領地にまで進軍しており、占領を拡大することには一応成功していたが、連邦全土を占領出来ているわけではない。他の三公爵家は連携し合い、ハビエル王国軍を三方から攻撃し、翻弄して占領地を増やさないようにと膠着状態を作り出しているようだ。
その膠着状態を嫌い、国王は魔女であるアストリットを前線に投入することによって、一気に連邦を手に入れる事にしたようだった。
「・・・わかりました。あなたの言うとおり、謁見を申し込みましょう」
アストリットは眉間に皴を作りそう宣言した。
その言葉を聞き、表情を曇らせた勅使は挨拶もそこそこに国王に戻って報告するのだろう、部屋をせかせかと出て行った。勅使につけられた護衛が着込んだ大仰な鎧のガシャガシャという音が遠ざかっていくと、アストリットは一度ため息をつき、いつも傍にいる侍女たちの一人に謁見の取次ぎを頼む。侍女が謁見の申請をするために出て行くと、その出て行った扉を見ながらしばらく部屋の真ん中に立っていたが、やがてため息をついて椅子に座り込む。
「・・・さて、大仰に時間をかけて返答するとは思うけど、毎度のことながらばかばかしいことだわね」
ぼそりとつぶやくが、アストリットの侍女たちは何も聞こえないふりをして側に控えていた。
「・・・なに?魔女アストリットは頷かなかっただと?」
国王が戻って来た侍従の答えを聞いて目をむいた。
「はい」
侍従の短い返答を聞き、国王はしばらく硬直した。やがてちらりと脇に控える大臣たちに目を移す。
「・・・どう思うか?」
「・・・」
「・・・」
大臣たちはみな一様に押し黙っている。
「・・・なんとか言え」
国王が苛立たし気に促すと、ようやく一人が重々しく口を開く。
「・・・陛下、魔女殿は頼り過ぎだと思われているのではありますまいか・・・」
「?・・・。どういうことだ?」
「・・・此度の公爵領制圧以上の侵攻について魔女殿は認めておられなかったのではありませんか?・・・今が好機だと暴走して他の公爵領に侵攻した結果、他の公爵の兵に反撃されて反対に制圧した地域の統治も危うくなっているではありませんか」
「・・・」
国王の鋭い睨みつける視線を受け、一旦口を閉じ息を詰めたが、やがて国王の顔が微かに続けろというように動くのを見て、軽く肩を落として息を吐いた。
「・・・魔女殿は何でも菅でも自分を頼るなというつもりなのでしょう・・・。タダで侵攻に力を使うほど、魔女の力は安くはないとでもいうつもりなのではありませんか」
「・・・タダ働きは嫌だと・・・?」
国王の目の奥が光っている。
「・・・わかりませんが、そのつもりなのかもしれません」
汗を拭いながら大臣が答える。
「・・・」
黙り込んだ国王に大臣たちは視線を外したまま立ち尽くしていた。
どれだけ時間が経ったのか、やがて国王ルシアノ・ハビエルは手を挙げ、頬を掻いた。
「・・・現金な奴め・・・」
吐き捨てるように言ったが、不敬だと騒ぐことはできなかった。むしろそんなことをしたところで魔女アストリットにはこたえないだろう。何しろ、大陸最大の力を持っている魔女なのだから、捕縛しようとしてもハビエル王国の国王など即返り討ちになるのがオチだろう。
不敬だとされたときの魔女の怒りについて考えた国王ルシアノ・ハビエルは椅子に沈み込み、やがてため息をついた。
「・・・わかった。・・・会おう・・・。・・・金銭で済めばよいがな・・・」
アストリットの要求が多大だった場合、何とかその要求を削ることができる方法がないか、考えながら呟いた。無駄だと知りながらも、打開策はないかと考えざるを得なかった。
侍女に謁見を頼んでから三日後、突如として侍女が国王の使いという者に呼び出されてようやく事態が動いた。
侍女は不安げな表情をしながらアストリットの傍から離れ、小一時間後表情だけは変わらないままで羊皮紙を両手で捧げるようにしてアストリットの元に戻ってきた。
アストリットは渡された羊皮紙を広げて読み、不快そうに眉を顰めてから一つだけため息をついた。羊皮紙を携えて戻って来た侍女に努めて優しく言葉をかけた。
「・・・戻ってきてすぐにお願いするのは気が引けるのだけれど、もう一度行ってきて貰えないかしら・・・。今から伺います、とお伝えして」
「かしこまりました」
そう言われた侍女はそのままアストリットに礼をし、ゆったりとした足取りでアストリットの返答を伝えるために部屋から出て行った。
「・・・ようやくですか・・・。いつも時間がかかりますこと」
アストリットの呟きに、魔女付きの護衛騎士であるエリカ・テラパスは首を竦めた。
『・・・魔女殿にもわからないことがあるのでしょうね・・・魔女とは言え、人なんでしょうねえ』
呼び鈴を手にしたアストリットが謁見のための着替えをするためにメイドを呼び出すところを見ながら、エリカはアストリットの気持ちを慮った。
国王との謁見のための衣装を選びますと宣言された、呼び出されたメイドがザワつきながら手早く衣装を選び出そうと動き始める所を見ながら、アストリットはにっこりと笑って手に持ったままの国王からの書を、机にゆっくりと置いた。
護衛であるエリカは、なぜかその笑顔にうすら寒いものを感じ、先程とは違う意味で首を竦めたのだった。
ちょっと長くなりすぎまして途中で分割することにしました。
国王の魔女へのおんぶにだっこな姿勢と、それを利用して自分への利を迫るアストリットの姿、そしてお隣の国へ出向いて魔女の恐ろしさを知らしめる容赦ない攻撃(本当に?)を書いて次へつなげようと考えていましたが、長くなりすぎると思って途中で分けることにしました。
次回は色々な要求をする魔女殿とそれに冷や汗たらりな国王、そして冷酷無比な攻撃をする魔女の姿を書くつもりです。
ただ時間がなかなか取れなくてぼちぼち書いていくので次話は少しかかりそうです。
誠に申し訳ありませんが、お待ちくださいますと幸いです。




