85、伊武受雷のJuly(7月)受難~推理じゃないよ~
えっと、Julyを6月(June)と思うて投稿しました。
フットサル会場は熱戦が繰り広げられていた・・・アディショナルタイムは2分。
煌めく汗、輝く笑顔。
「バイシクル・シュート!」
伊武受雷は、身を反転させ、飛びあがり宙にまい、ボールに高々と右足を伸ばし蹴りあげた。
ゴールネットに鮮やかにボールが突き刺さる。
「ゴール!」
感極まり、くるり身を反転させ飛びあがる、漆黒のゴスロリ女性。
「いてっ!」
受雷はバランスを崩し、したたかに床に頭をうつ。
彼女はそれを見ていない。
「ああ~やっぱりJulyはカッコイイ~」
すでにストーカーとして頭角をあらわしつつある矢部江野美々(やべえのみみ)は、拳を固め陶酔していた。
「伊武さん、大丈夫~」
コートに駆けだすのは、受雷の相棒真美だ。
「なぬっ!女狐」
(私のJulyにたかる魔性の女・・・なっ!)
美々は言葉を発し、罵詈雑言を妄想し驚いた。
受雷が頭から血を流しているのである。
真美は彼をかいがしく看病している。
「ムキーっ!あいつがやったのね!」
美々はペンラ(ペンライト)代わりにと持っていた発煙筒を手にすると、真美に目がけて投げた。
それはスローモーション。
「危ないっ!」
受雷は宙を舞う発煙筒に気がつくと、真美を守るべく本能的に・・・ヘディングをした。
憤怒の形相は、まさにイタリアの彫刻のよう。
「ス・テ・キ」
美々は後ろを振り向き、ドキムネを押さえた。
「うわっちゃっ!」
引火、髪の毛がファイアーする。
「消火っ!」
流石、バディの真美は水を汲んだバケツを思いっ切り振って、受雷の顔面に水をぶちまける。
「no~!このDV女っ!」
美々は護身用に持っていた、硬球をトルネード投法で美々に投げつけた。
「危ないっ!」
受雷は床にうっ伏しながらも、真美の危機に立ちあがり、
「是藤」
「タイ!」
巨漢の是藤とはツーカーで、彼は床に仰向けになると、両足をあげる。
受雷は両足に乗ると、是藤両足を突き上げる。
「いっけぇ~!」
「タイっ!」
彼は高々と宙を舞う。
「空愛阻止!ぐはっ!」
時速120キロのストレートを顔面ブロックした受雷は、その後、救急車で病院へと搬送された。
勿論、それに付き添うのは真美。
「ムキ~地獄の果てまで追いかけてやるわ!」
と、美々はタクシーを拾い尾行する。
果たして、受雷と真美の運命やいかに。
どうだい~潔い勘違い~。