81、ある日のこと~アーカイブ拙作より~
アーカイブの派生拙作。
友人の田辺と小旅行の最中、川沿いにある公園で私たちはトイレタイムをとった。
用を足したあと、ぶらりと歩くと、不動明王の石像が祀られていた。
その威風堂々たる姿をバックに写真を撮ろうという話になった。
私は、シャッターを切るポイントを決めて、一眼レフを身構える。
すると、レンズの蓋がとれ落下する。私はそれを拾おうと屈んだ瞬間、首にかけていた
カメラの紐(簡単に結んではいたのだが)が外れ、岩場にカメラが叩きつけられた。
・・・・・・。
と、固まる私だが、気を取り直してカメラを拾い上げる。
幸いレンズは割れてなくて、ちょっぴり本体が凹んでいた。
苦笑いを浮かべつつ、
「さあ、撮るぞ」
と、再び身構え、ファインダーを覗き込む。
ところが、シャッターが下りた状態で真っ暗となっていて、何度押そうが反応はしなかった。
瞬間、鳥肌がたった。あちゃーと思いつつ、ここで写真を撮るなという知らせだったのかなと感じた。
「カメラ壊れた。行こう」
私たちは、撮影を諦めて、この地を後にした。
途中、電池を入れ直して、シャッターが上がったので、撮影しようと思ったが、シャッターボタンを押すと、シャッターボタンがおりたままの真っ暗な状態になってしまい、結局諦めた。
のち実家に戻り、カメラを確かめるとカシャンとシャッターが普通に動いた。
・・・そういうことだったんだろうな。
そういうのありますよね。