№74 予想屋大ちゃん~?~
予想屋大ちゃん。
ハンチングハットにレイバンのサングラス、ポロシャツにチノパン姿のやせ男が、すーっと息を吐く。
右の耳上に赤鉛筆を引っかけ、右手に握りしめている新聞を、左手の平にあてバンバンと叩いた。
「さっ!よっといで!見ておいで!予想屋大ちゃんの大予想、絶対に外さないよ~!」
わらわらとチャレンジャーたちが寄って来る。
「今回の生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称(※ウィキよりビタミンのこと)フェスティバルあんどカーニバルレース!どれも元気一番の猛者たちで、予想困難なレースだ!」
銀縁眼鏡のいかにもヲタ属性の男が手をあげる。
「ほい、そこの兄ちゃん!」
「せ、拙者の大好きなギザカワユス萌っ子キボンヌ?」
「勿論、いるに決まっているだろう!本命中の本命だ!」
「キタコレ!涙腺崩壊であります!尊し!神に感謝!親に陳謝っ!」
ヲタ男の肩を押しのけ、パンチパーマのヤンキー兄ちゃんが口をはさむ。
「おう!大ちゃんよう。俺好みの話あるけ?」
「あるよ(いっぱい)」
「目撃ドQ」
男は卒倒した。
「あのう」
おずおずと女性が手をあげる。
「ほい、お嬢ちゃん」
「あのぉこの・・・かお〇たちばなビ〇カラ何々っていうのは」
予想屋大はゆっくりと首を振る。
そして少女に囁く。
「こいつはいけねえや。妄想暴発笑止千万、こいつに賭けるのはちょっと無謀・・・距離も適正じゃないし、気性も荒いとキテいるお嬢ちゃん、ヤケドじゃ済まないぜ。だけど、あんたのアグレッシブ・ソウルは嫌いじゃないぜ!」
予想屋大はサムアップしてウインクした。
女性はぐっと拳を固めて頷いた。
なんじゃこれ。
ナニコレ。