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№65 なんじゃコレ
あれあれ。
深夜。
奇声をあげながら、男は走る走る。
「まてまて~」
「いや~来ないでっ!」
絶望に抗う為、女は走る走る。
そんな女の希望を打ち砕く、行き止まりの高い壁。
「もう逃げられないぞ!」
男の口角は醜く歪む、腰を低くさげ女の逃げ場を塞ぐ。
女は観念したかのように溜息をついた。
「絶体絶命・・・か」
「そうだ!お前は、もう終わりだ!」
男は前かがみとなり、タックルを仕掛ける。
刹那、女は飛びあがると、男の背を右足で蹴り上げ、返しで高い壁には左足で蹴りつけ、壁の終わりを両手で掴んだ。
ニヤリ女は笑う。
べりりりり、変装マスクを破る。
「あばよ~とっつ〇~ん」
「まて~!ル〇ーンっ!」
銀の十手が闇夜に煌めく。
なんじゃコレ(笑)。