№6 焼却炉から声が聞える~ホラー~
今は焼却炉、見なくなりましたね。
あれは私の空耳だったのかもしれない。
結局、走ってその場を逃げ出したので、真相も分からない・・・だけど、事件沙汰にもなってないから、きっと幻聴かなにかだったのだろう。
当時、小学3年生だった私は、あの時、嬉しかったのを記憶している。
今までお兄さんお姉さんと一緒にゴミを焼却炉に持って行って捨てていたのが、3年の秋頃から掃除当番係が付き添いなしで行うことになっていたのだ。
その日の当番だった私は使命感に燃え、掃除を率先して行い、焼却炉へゴミ箱を持って行った。
もう一人の当番であった女子がついて来ようとするのに「女の子は危ないから来ちゃ駄目だ」と意味の分からない正義感をふりかざし、重いゴミ箱を引きずりながら向かった。
焼却炉の煙突からもうもうと煙があがっていた。
ゴミを入れる蓋は鉄の扉で、小3にとってはかなり重い。
私は、ゴミ箱を置いてステップを使い、鉄の扉を開けた。
ゴォーという音と共に炎が外へでる。
熱気が顔を襲う。
私は顔をそむけ、ステップを降りて、その燃え盛る炎を見つめた。
子ども心にこの光景は大人っぽいなと優越感にひたっていた。
わずかの時間だったかもしれないし、長い時間だったかもしれない。
私は本来の目的を思いだすと、ゴミ箱のゴミを炎の中へ投げ入れる。
ゴォー。
炎がそれを取り込む。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・イ・・・ル・・・ヨ・・・。
・・・コ・・・コ・・・ニ・・・。
イ・・・ル・・・。
なにか聞えた。
と同時に、私は駆けだしていた。
あの時のことふと思いだした。
イ・・・ル・・・ヨ。
!
マ・・・ダ・・・・・・・。
振り返った先に私が見たものは・・・。
こんな感じは如何?