№44 盛大な嘘~ヒューマンドラマ~
今日は。
4月1日は公認嘘をついてもいい日、エイプリルフールだ。
私は家族に嘘をしかける。
父に、
「俺、会社辞めたけん」
母に、
「俺、借金あると、なんとか工面してくれん」
弟に、
「お前のスイッチ、売ったけん」
妹に、
「俺・・・実はお姉ちゃんなんだ」
・・・・・・。
・・・・・・。
馬鹿真面目な家族は真に受けて・・・。
父は、会社に「なんで家の息子を辞めさせたんだ」と、俺が職場で働いているのに、気づかず、どなり込んできた。
母は、電話をかけてきて「アンタ、いくら借金したとね、人様に迷惑はかけとらんめいね、とりあえず、私達が立て替えるけん、少しでもいいから必ず返しなさい・・・で、いくらね」
母のその言葉に、俺は思わずしんみりした。
仕事から帰ると、弟は「兄ちゃんのプレステ5も売ったけん。あと、ごめん、この間、兄ちゃんのスマホで、ウマ娘のガチャめちゃんこした10万くらいかな」・・・てめー。
妹は「兄ちゃん・・・実は私が男なの」・・・衝撃のカミングアウトだ。
俺は自室に戻ると、天井を見上げて呟いた。
「あー嘘なんてつくもんじゃないな」
ですね。