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№3 豊穣に佇む壱与~歴史(文芸)~
邪馬台国女王、壱与。
空が茜色に染まる頃、一人の少女が実りを迎えた田の中に佇んでいる。
彼女の名は壱与、邪馬台国を統べる新しき女王。
眼差しは深く、じっと彼方を見つめている。
一陣の風が吹く。
頭を垂れた稲穂が揺れる。
穂が擦れ、さーっという音が波のように広がる。
ぽろり。
壱与の瞳から一筋の涙が零れる。
彼女はそれを拭おうともせず、真っすぐに彼方を見つめる。
やがて空は紫色に染まり、夜の訪れが迫る。
上空に一羽の白鷺が飛んだ。
大きく羽を広げたその鳥は低空飛行で、壱与の隣を過ぎた。
彼女は振り返えらない。
ただ、彼方を見つめ続ける。
なんかイメージ文みたいな・・・。