№20、栄冠は君の手か~スポーツ~
まさかのスポーツ。
甲子園をかけた地区予選の決勝。
試合のスコアは2-1の9回裏ツーアウト満塁。
このピンチに昨日の準決勝で15回の延長を投げ切ったエースがマウンドにあがる。
背番号1の登場にスタジアムは大いに沸き・・・そして、どよめきあがる。
スタンドで応援する野球部員たちが、指をさし言った。
「あいつ、誰だ?」
マウンドにかけよる内野陣。
キャッチャーの島田が第一声、
「お前、誰だ・・・よ・・・ぐふっ!」
「セイっ!」
背番号1は島田のみぞおちにボディブローをいれる。
「ここは、俺がおさえる心配するな」
「そうじゃなくてっ!」
「セイヤっ!」
内野陣が口を揃えて言った瞬間、ビンタをかます。
「黙って俺についてこい!」
たまらず監督が飛びだす。
「セイウェイ!」
1は背負い投げで監督を飛ばす。
「俺は隆哉の父親だっ!息子は腹痛で、来れないっ!よって無念の息子に変わり、親父の俺が投げるっ!」
「没収試合っ!」
審判の右腕が高々とあがる。
「そんなっ!」
がっくりとマウンドで膝をおとす隆哉父。
そんなプロウクンハートの父は、スマホから音楽を流した。
「背番号のないエース」が、マウンドに流れる。
「息子よ、夢を果たせなんだっ!」
「父ちゃん・・・俺やるよっ!」
トイレから飛び出し、トイレットペーパーを片手に持った、真のエース隆哉がマウンドにあがる。
「駄目?」
親子は審判を子犬の眼差しで見つめる。
「駄目っ!没収試合っ!」
「いけずう」
今月はここまで。
次もよろしくお願いします。