№18 しっぱいプロポーズの匂い~現実世界(恋愛)~
あるよね~。
大地は、この日にかけていた。
渚の25回目の誕生日、「おめでとう」の言葉と一緒に、「俺と結婚してください」とプロポーズをする・・・のだ。
彼は鏡の前で、入念に数十回とシュミレーションを行っていた。
しかし結婚という言葉を口にする度に、にへらと顔が笑ってしまう。
まず断られることがないと、そんなことすら思っていない彼がいる。
まさに自信満々マンだ。
しかし彼の自信マンは数時間後、見事に打ち破られる。
渚が仕事から帰って来た。
2年前から同棲しはじめた安アパートの部屋で2人だけの誕生日。
大地は食い気味に、渚へお・も・て・な・し・をしまくる。
手作りのご馳走のあとのケーキ、ロウソクをたててハッピーバースデーの歌をうたい、いざっ!
「おめでとう・・・俺とけっこ・・・」
「だめっ!」
「へっ?」
「私、嬉しいことや大事なことは、しっかりと嚙みしめたいの。今は大地が誕生日のお祝いをしてくれたことに喜びたい・・・だからプロポーズはまた今度ねっ!」
「そんな~」
緊張し、ええキメ顔までしていた大地は、へなへなとその場に座り込んだ。
「よしよし」
渚に頭を撫で撫でされる大地。
彼の鼻には甘いショートケーキの匂いがした。
「ん~」
「もう!」
「またかっ!」
「ね~」
彼、彼女の両親たちが隣部屋で嘆息する。
はっぴーばーすでー。
って、ないよね~。