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№13 バス待つ~純文学~
ん~。
朝の四時。
まだ暗い夜が明ける前、街の大通りを走るふたり。
白い息を弾ませ、走る2人の右手にはキャリーバッグが後ろからついて来ている。
ガラガラとキャスターを引く音に、時折、ごつり、がたん、小石につまづきバッグが揺らぐ音が混じる。
ふたりの白い息が静かな闇に吸い込まれる。
時折、通過する車が世界は動いていることを認識させる。
バス停に到着、息を弾ませ時刻を見る。
「間に合ったね」
「うん」
バス停の街灯が薄ら二人にスポットライトをあてる。
「思ったより」
「時間あるね」
かじかむ手に白い息をかけ、バス待つふたり。
静穏。
時折、車の通る音。
時はゆるやかに過ぎていく。
バスが停留所に停まる。
旅のはじまりに心は弾む。
純文学にしては・・・ちょっぴりですかね。