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124、クリスマスナイトイルミネーション~恋愛~
124。
今日はクリスマスイブ。
彼女は白い息を弾ませ、こちらへ走って来る。
歩道橋の上、俺はコートのポケットの中の物を握りしめた。
街路樹が黄金色に光るイルミネーション。
眼下には家路を急ぐ、テールランプ光る車の長い列。
「はあはあ、待った?」
彼女は言う。
俺ははにかみながら、
「今着いたとこ」と、笑った。
「そっか、良かった。まさか、この日に残業するなんて・・・もう」
彼女は息を切らせ額に皴を寄せむくれる。そんな表情も可愛いし、愛おしいと思える。
「それは、こっちもだよ」
俺はそっと腕を差し出す。
「ふふふ」
彼女は腕を巻きつけ、俺を見あげて上目遣いに微笑んだ。
退勤ラッシュもとうに過ぎ、人のいない歩道橋を渡る。
互いの白い息が重なり闇と光に消えていく。
俺は片手でそれを握りしめた。
かなり定番だけど。
緊張で手に汗が滲んでいるけど。
今日は俺、一世一代の大切な日となる。
決める。
決めてやる。
クリスマスイブLOVE。
聖なる夜に今Propose。
12月24日(笑)、すなわちっ!