118、パチプロ崇のその後~ヒューマンドラマ~
光と影。
崇は自虐的に笑った。
(この辺りが潮時かな・・・)
今日もわずかばかり食い扶持を稼いだ。
このまま、しのいでいくのも限界がある。
彼は自称パチプロと名乗っていた頃、パチンコ屋で倒れた。
他にすがるものが無い彼は、すべてを捨て本物のパチプロゲンさんの弟子入りをして、曲がりなりにもパチンコで生計を立てている。
去年、師匠のゲンさんがこの世を去り、パチンコ屋も時代の波の大きなうねりに飲み込まれ、パチプロではもはや食えなくなってきている。
日に日に日当が少なくなり、今では日銭を稼ぐのだけで精一杯だった。
そんなカツカツの毎日。
繰り返すのは同じこと。
回る台を打つ。設定のいい台を打つ。おいしい(天井やチャンスゾーン)台を打つ。
もはや、ジリ貧だ。
(このままでは、野垂れ死にしちまう)
現実を思えば、先は明るくない。
(だけど・・・俺に仕事ができるのか・・・今更)
「ふ」
沖海のハンドルを止めて、喫煙所へ向かう。
中に入ると健康の為と1mmのうっすい煙草に火をつける。
(だけど・・・俺にはこれやるしかないんだよな)
ふと、誰かがテーブルに置いていったフリーペーパーの求人案内が目に止まる。
「・・・・・・」
崇は無意識に求人案内を丸め、ジャンバーのポケットに押し込んだ。
彼の変わる日が、やって来たのかもしれない。
崇はどんな未来を選択するのか。