111、オプティミズム感染~パニック(SF)~
病は気から・・・。
世界に激震が走る。
新しいウィルスが日本から発生したのだった。
その名はオプティミズム・ウィルスと名づけられた。
感染した者は、とにかく楽天的になり、己の快楽の限りを貪るというものだった。
一見、感染した方が幸せと思えるかもしれないが、ところがどっこい残念なことに、快楽追求に歯止めがきかないのだ。
ただし、感染者は理性をもち快楽追求に邁進する。
やがて、快楽の術をやりつくすと、感染者は廃人となってしまう。
その確率77%とよばれる。無に至る病なのだ。
なにせ、見た目が普段と変わらないので、感染の区別が認識しずらいときている。
主な感染経路は会話による飛沫感染といわれている。
本当に飛沫なのかは喧々諤々の議論となっている。
飛沫ではなくて、会話が原因じゃないかというのだ。
だが、そんなウィルスはいまだかつてない。
はじめ、数人の感染が発見されると今はあれよあれよと、日本国民のおよそ半分が感染至る現状だった。
研究者たちはこぞって、ワクチンの開発へとのりだし、医師は対応におわれ医療崩壊を招いた。
・・・はて。
・・・・・・・はて。
本当に廃人になるのだろうか、だれかがそう言った。
実際、感染して廃人になった人は・・・いない。
都市伝説・・・ある医師が発生した直後に提唱した症状である。
・・・・・・。
・・・・・・。
あれ。
あれ?
あれれれ?
いま日本は、オプティミズムにより、だいたいの国民が前向きなのである。
ならば、これは、病ではない。
ハッピー、ラッキーなのだ。
わーい。
って、はっ!私も・・・。
ま、いっか。
なんてね。