109、禁忌を犯す少女~童話(大人向け、その他)~
犬夜叉の続編があるつーのを聞いて・・・。
少女は禁忌を犯した。
深き森に住む白銀狼に心を奪われた。
白銀狼も一目で少女を気に入り、ふたりは恋に落ちた。
そして、彼女は人里に戻ることはなかった。
これがひとつめの禁忌。
白銀狼は実は半妖の者だった。
日中は狼、夜になると美しい少年へと変わる。
少女はその姿に驚いたが、ますます彼が愛おしくなる。
ふたりは深く愛し合った。
半妖と交わる。
これがふたつめの禁忌。
ふたりの間に可愛い男の子が生まれた。
幸せな暮らしがいつまでも続く。
だけど、ある日、彼女は気づいた。
湖に映る自分の姿を見て老いる自分に。
夫は半妖である為、出会った時のまま姿。
彼は変らず愛してくれているが、私は醜く老いていく。
そしていつか死ぬ。
とても耐えがたいことだった。
彼女はみっつめの禁忌を犯した。
・・・・・・。
・・・・・・。
「お母さん」
「なあに」
少女は息子に笑った。
少年もやさしく微笑む。
それを見守る白銀狼。
幸せな家庭がそこにある。
時が止まったかのような、ゆるやかなひととき。
少女は人を捨て、あやかしになることを選び、永い幸せを手に入れた。
なんとなく思いつきました。