107、ドンキー〇ング~VRゲーム(SF)~
懐かしいなあ。
私の胸は高まっていた。
幼少の頃、ファミコンやデパートの屋上で遊んだあの〇ンキーコングが、VRゲームとして遊べるのだ。
セッティングをし、VRゴーグルを装着。
「ゲーム、オンっ!」
暗闇の剥き出しの鉄骨現場に私はいる。
見あげるとキングコングのようなコングと、レディ〇ガのようなパツキンレディ。
薄ら笑うコングのドヤ顔がムカつく。
レディが言う「ヘルプミー」もなんか、ねっとり発音が耳に残る。時折、腰をくねくねクセが凄い。
コングがウホウホと胸を叩くと、私の足元が揺れる。
「いざ、レディを助けなければ」
使命感に燃え、鉄骨を走る走る。
コングがトルネード投法で最初の樽を投げる。
さあ、樽がやって来た。
飛ぶぞ!
むむ・・・むむむむ!
近づくつれ気づいた直径5mの樽。
「無理っ!」
そんな難関を乗り越え、はしごを登り、ついに辿り着いたレディの元。
「ゴールっ!」
コングが立ちはだかる。
「ラウンド1ふぁいっ!」
耳元で聴こえるアナウンス。
「KOっ!」
コングのマッハパンチを受け、スローモーションで後ろに飛ばされながら思う。
「世界観無視っ!」
「じゃ、ワープだ」
かつて、一面で駆使した。
裏技ウルテクをやってみる。
「そりゃあ!」
・・・・・・。
・・・・・・。
やったか?
私の顔面スレスレにレディの歪んだ顔が、
「レディに同じ技は二度通じない。じぇーたいに」
ただひたすらにキモイ。
GAMEOVER。
私はゴーグルを投げ捨て、コントローラを叩きつけると、天井を見あげた。
「理不尽、オーマイガッ!」
でもこんなのは嫌だ。