105、五億年ボタンを返す~パニック(SF)~
なんかモヤモヤする話なので。
みなさんは五億円ボタンという話を聞いたことがあるだろうか。
100万円という大金を貰う代償として、五億年という時を生きるというものだ。
ボタンを押すという選択をすると、その途方もない時間を一人で・・・孤独も分からなくなるほどに・・・やがて・・・という話、しかも5億年が経つとその時の記憶は失われていおり、無限ループを繰り返す的な・・・そんなボタンが彼の前にある。
「さあ、どうする」
ボタンの持ち主は言った。
「ははははははは」
彼は突然笑い出した。
「気でも触れたか・・・それも、また一興」
ボタンの主は、侮蔑の笑いを浮かべた。
「いいだろう。やるぜ!」
彼は宣言した。
「そうこなくっちゃ」
主の口角が、今度は歓喜で歪む。
「いくぜ!」
「そうだ!」
「いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!」
「そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!」
「いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!いくぜ!」
「やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!やれ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ん?」
「お前がなっ!」
彼は、主の右手を引くと手首を押さえ、ボタンに手を叩きつけた。
「アッチョンブリケっ!」
主の悲痛な叫びがこだまする。
五億年の時はいくばくか・・・今、現世は一時間が経った。
主は目を覚ました。
「覚えているか?」
彼は主に問う。
ふるふると首を振る。
「ならば、見せてやろう。お前の所業の業を!」
彼は主の額に人さし指をあてる。
「ゴッド・リターン!」
「やめ、やめ、あばばばばばばばっ!」
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
「分かったか?」
「はい」
主はそう答えるしかなかった。
「自分が嫌なこと、恐怖、絶望を与えるのは、いずれその身に降りかかること、心に刻みおけ」
主はひれ伏し呟いた。
「あなたは・・・神・・・っ!」
「あ、100万円いただいちゃおっと」
彼はいそいと胸ポッケにマネーをおさめる。
「じゃないっ!」
主は叫んだ。
盛ってみた(笑)。