104、「エルフ族にパチ屋襲撃される」~ローファンタジー(ファンタジー)~
まさかの。
風霧舞が働くパチ屋が、ある日突如、天変地異により異世界転移された(前回までのあらすじ)。
そこは深遠たる森の中、現実を目の当りにし、従業員も客も信じられないことに戸惑いを覚えたが、そこは、パチンカスと呼ばれる彼等、何故か電気も通っていて遊技台も動いていることから、知らんぷりをしながら、パチンコ、スロットに興じていた。
「たくましか~」
カウンターで頬杖をつく舞は、思わず呟いた。
爆音轟くホールの中、普段は駐車場の監視などをしている警備員のヤマさんが駆け込んでくる。
「ホールがっ!ホールが燃えているっ!」
「なんだって!」
副店長の島が飛びたすと、バイトの面々も続く。
扉を開け、外に出ると、一面が炎に包まれていた。
「あれっ!」
舞が夜空を指さす。火矢が弧を描きパチ屋を突き刺す。
「誰がこんこんなことを!警察呼ぶぞ」
「副店、警察はいません」
舞は冷静に言った。
「あ、そうか・・・とにかく責任者でてこーいっ!」
島はマイクアナウンスで培った大音量で叫んだ。
夜なのに炎で煌々と明るい森の中から出できたのは、スラリとした長身に、やたらと耳が長い、北欧の人を思い浮かべるような、白い肌で青い瞳をした女性だった。
「異人よ。ここは、我々エルフの土地だ。即刻でていってもらおう!」
エルフの女性は堂々と言った。
「私達は突然、ここに来たのです。どうしていいかも分からないです」
舞は切実な思いを伝えた。
「姫、おかしな連中ですぜ。早く焼いちまいましょう」
男性が茂みの中から出て来て女性に言った。
「待て。みなの者、打ち方やめぃ!」
「はっ!」
森の中から大勢の声がする。
「そなた、突然降臨したといったな」
エルフの姫は舞に近づく。
「は、はい」
「・・・もしや、伝説の」
「なんですか?それ」
「エルフの古い伝承にある。その者達、七色に光輝く宮殿を天より従え、忽然と現れる。銀色の銃弾に魂を捧げた戦士、銀貨を巧みに操る錬金術師、声を自在操り心を惑わす魔導士、からくり機工を従える白き魔術師、そして黒き髪の女神、この者達いでし時、戦は終焉となり、エルフの民は、この世を謳歌する時代の幕開けとなるであろう・・・」
「あわわわ・・・まさかっ!」エルフ男性。
「ああ、GODたまっ!」エルフ姫。
姫をはじめエルフの人々は、現代のパチンカスたちに平伏した。
お話のつづき(笑)。