103、どうかしている~ヒューマンドラマ~
こんなご時世。
旦那の会社で最近コロナ感染がまん延しているらしい。
食後のインスタントコーヒーを注ぎ、彼のカップをテーブルに置くと、
「ありがとう」
と、一言、旦那は一口すする。
幸いにも、私が勤めている職場は、コロナ蔓延はない。
「やっぱり、お子さんが学校からもらってきてっていうケースが凄く多くて・・・あとね、上司達がこっそり飲み会とかしちゃってさ、そういうので感染とか」
旦那はそう言うと、ことりとカップを置きテレビを観入る。
私はコーヒーを一口飲み、
「でも、そんなに流行っているのなら、あなたも罹るかも」
「そうだね。実はもうすでに罹っているかも」
「・・・それは、たまたま症状がでなくて、分らなかったと・・・うん、私もお互いにあり得るね」
「そう。だから免疫をしっかりつけて、寄せ付けないにしないと」
「そだね」
私はテーブルに置いたカップを両手で持ち啜った。
(最近、仕事、忙しくて、うまくいってないからなあ。療養で長期休みいいかも)
ふと、そんな考えが過ぎった。
「ま、もしなったら、よろしく頼むよ」
「それね。私も休めるね・・・今のご時世だったら感染しても・・・」
何気ない一言に旦那は、振り返りじっと私を見た。
「駄目だよ」
「へ」
「そういう考え」
「・・・・・・」
「なったら、もの凄くきつくなる人だっているんだよ。もしもなんてこともないとは限らない・・・元気なのが一番、そんなの思っちゃだめだよ」
「・・・はい」
私はしゅんとうな垂れる。
旦那は私の頭を撫で、にやりと笑った。
「心と身体あってのものだよ。仕事が行き詰っていても・・・ま、いざとなったら辞めりゃいいじゃん。気を楽に・・・ね」
お見通し・・・その通りだ。
ならではの。