政務室でのワンシーン
城内の政務室で内政官を前にし、ブツブツと呟き目を閉じながら椅子にもたれ掛かる王様を皆が心配している
「このところ王は様子が変だが何かあったのか?」
「いや、分からん……何か神託でも御降臨されてるやもしれぬ……」
その頃王様の脳内では舞子と交信を繋ぎ助言のやり取りをしていた
『えー、内需と外需双方のバランスを取りつつ国政の方針を示し……』
『すまんがもう少しわかりやすく伝えてくれないか……』
『あっはい、あっちゃんもう少しわかり易くだって〜』
『ガッテム!!!』
バスンと敦子は羊皮紙を床に叩きつけると舞子の肩をユサユサと激しく揺さぶった
「何なんだよこの国は!国民が勝手に畑から生えてくると思ってんのかゴラァ!生活レベルの改善と教育、道徳倫理等々どうなっとんじゃこの異世界は!」
「あっちゃん、私じゃないぃぃぃぃ揺さぶられると気持ち悪いよぉぉぉぉ」
荒ぶる敦子をどうどうと光子が止め、部屋にいるメイドさんに紅茶を飲むジェスチャーをして頼むとテーブルに皆を呼び椅子に腰かけた
「言語が舞子のテレパシーみたいなのしか会話が出来ないってのは不便だな……何喋ってるのか分からないし」
「そんな事はどうでもいい!腐れ内政に汚職貴族どうなってるんだこの国はぁぁぁ!」
「うっぷ……あっちゃん……感情を私にぶつけないでください……」
トントンとノックをして部屋の扉が開きメイドさんが紅茶と焼き菓子をテーブルにそっと添え頭を下げるとそそくさと退室していく
「ふむ、甘味系の素材や料理法、焼き物等々はあるし建築様式から考えて中世付近で間違いないかな?」
「えぇ、でも中身は縄文レベルで下等な生物の集合体だぁぁぁ!」
「あっこ、あまりうるさくすると紅茶も不味くなる……落ち着け」
「うんうん、みっちゃんその通り!うほーこの焼き菓子はいい香りだねぇ〜♪」
舞子はくんかくんかと鼻を近づけ、齧歯類の様にパリポリと焼き菓子を食べ始め、光子は紅茶をゆっくりとすすり敦子は羊皮紙に向かい鬼の形相で政策を書き殴っていく
『あの、おーい……聞こえる?聞こえてるよね??内政官待たせてるんで早めに意見を頂ければ幸いなんですけど……あの、おーい』
眉を下げ徐々に顔が歪んでいく王様に、政務室はシーンと静まり返りビクビクと内政官は背中に汗をかきながら固唾を呑み込むと王様の口がゆっくりと開く
「……結論はまた後で、以上解散とする各々方ご苦労であった……」
ヨロヨロと王様は席を立つと自室へ向かっていく後ろ姿を見た内政官は、神々との会話により与えられし神託に王の思考と吟味してるのではとまことしやかに囁かれたが、単純な話後から3人が居る部屋へと教えを乞うのであった