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旅立ち

「ルルリラ?」

 目の前の少女は柔らかそうな長い金色の髪を揺らし首を傾げ、俺を美しい碧眼で見上げた。

「・・・ルルリラって女神の?まあ兄さんが私を女神だと思ってしまうのも無理がないのは解るわ。ロング姉さんは八方美人で内弁慶、身内には酷い悪態。ミドル姉さんはいい年して人形遊びとかしている顔面表情筋レベル1の無表情。空を飛ぶすべのない兄さんは家族以外との面識が皆無だし、私を女神だと崇めてしまうのも当然の事よね」

 唯一の年下である三女のショートは、悪びれることもなく当然のように口にした。

 外見だけなら神様に近いし、俺より後に分体を送り込んだなら神様は年下のはずだ。なので念のため名前を呼んでみればこの態度である。ロング姉もショートも母似で金髪碧眼であるが、俺とミドル姉は黒髪黒目だ。

「ショートは相変わらずだな」

「相変わらず?相変わらず可愛いという事かしら?そうね同意するわ。ありがとう兄さん」

「ああ、うん。可愛い可愛い」

 俺があきれながらも肯定すると、ショートは引きつった笑みを浮かべる。

「ロング姉さんは綺麗な顔立ちで美人だし、ミドル姉さんは見た目だけならカッコいいわよね。だから私には可愛いと言うしかないのよね?知っているわ。お気遣いありがとう兄さん。2回も言ってくれてありがとう兄さん」

 可愛いと2回連続で言うのはそう思っていないからなんでしょ?と責めるようにショートは言った。転生したら家族全員が別のベクトルでめんどくさい・・・

「冗談はさておき、女神ルルリラがどうかしたの?」

 俺はどうごまかそうと顎に手を当てて首をひねるが特に思いつかないので正直に言ってみた。

「ああいや、実は女神なんじゃないかと思ってな」

 ショートはまた頬を引きつらせて「うわぁ何言ってんだこいつ」みたいな態度でドン引きしていた。

「うわぁ何言ってんだこいつ」

 表情だけでなく言葉でもちゃんと言ってしまうのがショートである。

「兄さん追い出され・・・じゃない。送り出される事になって正解だわ。14歳だものね、そりゃあもう盛っている状況で家族が女ばかり。しかもその中には女神のように可愛らしい妹。間違いを犯す前に独り立ちすべきね。あ、ちなみに私は魔法と悟らせる前に兄さんを殺せます」

 妹が歳不相応の事を述べながら年相応の無垢な笑顔で言った。



「それじゃ行くよワイド」

 ロング姉が俺の背中をバン!っと手ではたいた。

 母からは昔男から貢がせたという剣を一振り手渡され、ミドルからは小さなストラップのようなぬいぐるみを渡された。ロング姉は近くの町まで送ってくれるという。ショートは妹の可愛い笑顔をあげると言われたのでたぶん貰ったんだろう。

 魔女の家は森の奥深くにあり、魔女たちが魔法を多用するためか森には多くの魔物が生息している。空を飛んで運ぶ事も考えたようだが、それを打ち消して落下してしまう危険を孕んでいたため却下された。

「うっす」

 俺はロング姉に短く同意して旅立ちの一歩を踏んだ。

 見送る母たちに手を上げ、行ってきますと声を上げ後は、振り返ることなく前を見据えた。

 ロング姉が木々の間を進み、俺はその後ろを辿る。天を覆う葉の隙間からほんの少しの光が差し込み、それを頼りに俺たちは道なき道に歩を進める。

 根が出張り、草が覆い、起伏の激しい土盛りの獣道のような悪路を何時間か歩き進めると、姉は後ろを振り返った。そして俺の様子を確認すると小さく鼻で笑った。

「息切れを起こしているようでもないか。ガキの頃からあんたを鍛えておいて正解だったかな。ワイドは魔法も使えないし心配だったんだ」

また前を向いて進む姉は、俺に背中を追わせながら語る。

「あたしはミドルやショートほど魔法の才があったわけじゃないからね。一番近い立場のあたしが何とかしてやらないとと思っていた。まあ・・・あんたはあたしみたいに影響力が低いってわけじゃなくてただただ嘘が苦手で下手な馬鹿正直だったからだと思うけどね」

 姉の言う影響力というのは世界の信用度の事だろう。身なりのいい人と小汚い人の嘘、どちらが効果的かという事だ。

「さてワイド、ここまで遭遇してこなかったが魔物のお出ましだ。木々が邪魔をしてその腰の剣は突く以外には使えないと思いな。相手は四足歩行の犬型3匹。注意すべきは牙くらいだ」

 姉は斜に構え、空手の様な構えをとった。俺は姉の背から同士討ちを避けるため少し間を取り、腰の剣を抜き記憶の片隅にある正眼の構えを取った。

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