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女子会(仮)

リオたちは孤児院からの帰りにエミリーとダニエルのパン屋に立ち寄った。人気店のようでほとんどのパンが売り切れだったが、バゲットを二つ購入した。


エミリーはとても元気そうだった。ソフィーをスリングに入れて抱っこしながらくるくると立ち働いている。


エミリーはリオを見てとても嬉しそうに笑ってくれた。


(笑顔ってそれを見た人も幸せにしてくれるのよね)


リオは医師としてしみじみと幸せを感じる。


「ソフィーの調子はどう?」

「もう丸々太って。とても元気です!全部リオ先生のおかげです。ありがとうございます」


エミリーは満面の笑みだ。


「エミリーが周囲の人に言ってくれたおかげで私の患者も増えたのよ。こちらこそ本当にありがとう」


エミリーはとんでもないというように手を振って


「リオ先生は素晴らしいお医者様です。私が言わなくてもいずれ皆に分かっていたと思いますよ」


エミリーは本当に素敵な人だ。


「でも、私はエミリーに感謝しているのよ。それだけじゃなく今度相談に乗って欲しいことがあるの」


ベビーシッター育成計画のことはエミリーに相談すれば的確なアドバイスがもらえるだろう。


「リオ先生のためなら何でも!私で良ければいつでも相談に乗りますよ。何なら今からでも!」


あまりに熱心に言ってくれるのでリオの気持ちも高揚した。善は急げというしね!しかし、冷静なレオンが半目で首を横に振る。


(そ、そうだよね。いくらなんでも今からは・・・はは。先走りすぎた)


「エミリーの次のお休みはいつ?良かったらお休みの日で空いている時間があったら、うちに遊びに来ない?アメリも都合が良かったら誘って?お茶でも飲みながら話しましょうよ」


お伺いを立てるようにレオン、サン、マルセルの顔を見ながら言うと、三人とも仕方ないなというように首肯してくれた。


アメリは鍛冶屋の手伝いをしながら赤ちゃんを抱いているのは大変だと言っていたし、興味を持ってくれるかもしれない。


「えっと、うちは日曜日が定休日なので、明日が休みなんです。でも明日だと急すぎてアメリの都合がつかないかもしれないので、来週の日曜日とかどうですか?」

「来週の日曜日!大丈夫よ。ね、レオン様?」

「大丈夫だ」

「じゃあ、何時頃、都合が良いかしら?」

「私もアメリも多分午前中の方がいいです。旦那に子供を預けられるし。ゆっくりお話できた方が良いですよね」

「ありがとう。それは助かるわ。じゃあ、来週の日曜日の十時に診療所に来てもらえる?」


(やった。お茶会だ。こういうの女子会っていうんじゃないの?)


ウキウキワクワクするリオに『仕方ないな』とレオンは苦笑しているようだった。



*****



療法所に戻り、アニーに保育所の計画とその前段階としてベビーシッターの研修を考えていると話をした。看護師と併せて保育士の国家資格も提案することを伝えると、アニーは興奮して再び拳を握って立ち上がる。


「さすがリオ様です!女性が多い専門職はこれまであまり認められていませんでした。医師も治癒士も圧倒的に男性ばかりです。これから世界を変えていきましょう!」


アニーの背後に炎が燃えているのが見えた。握りこぶしを上に突き上げる。熱い。


「私もその話し合いに参加したいです!」


と宣言した後、急に我に返ったらしい。恥ずかしそうに顔を紅潮させながら「ごめんなさい。お邪魔ですよね」と呟くアニー。可愛すぎて思わず抱きしめてしまった。


「もちろん大歓迎よ!エミリーもアメリもきっと賛成するわ。良かったら参加して。でも、日曜日だからエミリーの唯一のお休みの日なんだけど・・・パスカルに会うんじゃないの?」


エミリーは日曜日しか休みがない。パスカルと会う時間がますます削られてしまいそうで申し訳ない。


「パスカルはちゃんと話せば分かってくれます。それに明日はずっと一緒に過ごす予定なので・・」


アニーは照れくさそうに指をもじもじさせる。可愛い!


「じゃあ、来週の日曜日までに私もお父さまと話を詰めておきますね」


リオも気合を入れると、二人で固く握手をした。

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