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エディの気持ち

エディがフォンテーヌ王国からコズイレフ帝国に到着して数週間が経つ。


帝国に辿り着いてすぐに、リオが無事に戻ってきたと連絡があり、エディはホッとして思わず涙がこぼれた。


(リオ、本当に良かった・・・)


死にそうなくらい心配していたアンドレも安堵していた。


その後エディはフォンテーヌに戻るか帝国に残るか迷ったが、帝国で村長と連絡を取ることがあるかもしれないし、その時に村長を知っている自分が役に立つかもしれないと結局帝国に残ることにした。


アンドレはエディが戻ってきて浮かれている。飼い主が戻ってきた忠犬のように嬉しそうだ。「絨毯のシミ」とまで言われて、そんなに幸せそうにできる心の強さが羨ましい。


リオは恩人だし、リオからアンドレに少し優しくしてやって欲しいと頼まれたけど、いざアンドレを目の前にすると酷い言葉が出てきてしまう。


(一応、反省はするのよ。でも、どうしてもアンドレの顔を見ると意地悪をしてしまうの。どうしてかしら・・?ごめんね、リオ)


**


皇宮でリオを助けたのはアントンだった。そして、彼の言動から反ポレモスだと判明したので、アンドレはアントンと緊密に連絡を取るようになった。


連絡役はエレナというしっかり者の侍女だ。


エレナは可愛いし、優秀だし、性格も良さそうだ。ホントに素敵な子だと思う。


しかし、エレナがひっそりと大使公邸に現れると、エディは何故かモヤモヤした気持ちになってしまう。


エレナがアンドレに恋しているのは誰が見ても明らかだった。鈍感なアンドレ以外は。


アンドレが話しかけるとエレナがリンゴみたいな真っ赤な顔で応える。


正直、可愛い。自分が男だったら、いやそうじゃなくても、その場で抱きしめたくなる可愛さだ。エディは自分でも説明のできない複雑な心境になった。


アンドレとエレナが二人で並んでいると、初々しい恋人同士みたいだ。お似合いだと思う。


それなのに、何故か気持ちが晴れない。


これはきっとあんないい子に好かれているのに、それに全く気がつかないアンドレに対して苛立っているのだろうと結論づけた。


本当に鈍い。鈍すぎるとイライラが止まらない。


そんな時にとある高級娼館で相談したいことがあるとアントンから連絡がきた。


娼館は密談の眼くらましになる。政治家だって使っているし、何をそんなに大げさに捉えることがある?と思うけれど、アンドレは盛大に苦悩した。


エディの両手を握りしめ、決してエディを裏切ることはしないと誓い、身の潔白を証明するためなら何でもするという。


エディは正直可笑しくて堪らなかったが、つい悪戯心で


「ああいうところに行ったら女性に手を出さずに帰るのは失礼なんですよ」


と言うとアンドレは頭を抱えた。


真剣に苦悩している姿を見て、ちょっと申し訳なくなると同時に、この人は本当に真面目で純粋な人なのだと心が温かくなる。


アンドレは人に安心感を与える。心を癒してくれる。彼の絵と同じだ。優しいのだ。


「冗談だよ」と言うと、全く怒らずに「なんだ。良かった~」と見せる笑顔に、エディの胸は何故か締めつけられるように痛んだ。


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