武闘大会子供用(中編)
台風が半端ないです。
川が増水するかも知れない、怖いです。
「勝者アアチ選手!」
アルフェーナは一回戦後、続く二回戦、今行っていた三回戦と順当に勝っていた。使っている魔法も初級のみにしていた。ホントは詠唱の短略化できるのだが、実力を隠すため、アルフェーナも詠唱している風を装っていた。でもどの試合もアルフェーナは上の空で集中していなかった。なぜなら今隣で行っていた試合の勝者に興味が向いていたからだ。
(やっぱりこの子、私の感知魔法に気がついただけあるわね。さっきから私と同じく初級しか使わない辺り、かなりの強者ってところか)
アルフェーナが感心しながらクルサを観察している頃、クルサもアルフェーナを観察していた。
(なんか私が真似しているみたいだけど、でもあの子も退屈そうね、余所見しながら初級で倒すってどんだけよ)
クルサもアルフェーナのようなことをしようとしたのだが魔法のコントロールを見出しかけたので止めたのだ。
(なんなのよあの子のコントロール技術!試してみたら誤爆仕掛けたんだけど!それを片手間って、なんか自信失くすわ)
クルサもアルフェーナを意識していたが、片手間っで魔法をコントロールすることができず、速攻で倒していた。
「勝者クルサ選手!」
ワァアアアアアアアアアアアアア!!!
すこし前にアルフェーナの試合が終わっていたため、歓声がまだ鳴り響いている間にクルサも終わらせたので、歓声が再燃焼して広がっていった。
「両選手、控え室に戻ってくだ」
「「審査官、このまま始めてもいいですか」」
審査官の言葉が二人に遮られた。なにやら審査官め慌てながら話しているが、二人は向き合ったまま視線を逸らそうとはしなかった。
歓声が響くなか、二人の間には緊張が走るがそれもすぐにほぐれたなかで、
「やるならばその前に魔力回復薬を飲んでからおこなってください!」
ずっと騒いでいたであろう審査官の声が二人に響いてきた。
「「それでは持って来て下さい」」
審査官はこめかみを、ピクピクさせながら大股で会場出入り口に向かっていった。残った二人は何をするでもなく立って待っていた。おもむろにアルフェーナが質問した。
「あなた私の感知魔法に気がついたわよね?バレないように注意してたのだけどすごいわね」
「……アレに関しては偶然よ。そういう意味でなくて貴女を見ていたから気づいたの」
「ごめんなさい、私ノーマルなの」
「だからそういう意味でなくてって言ったでしょ!」
それから審査官が回復薬を持ってくるまで二人で雑談を続けた。二人は今日初めて会ったはずなのでが、見知った友人感覚で話せていた。
「それでね……いえここまでにしましょ。来たみたいだから」
アルフェーナが指を指すと審査官がビンを持って走ってきていた。二人は審査官が近寄ってくると、ビンを受け取り飲まずにそのまま距離をとった。
「あの、早く飲んでもらって」
「「始めてください」」
「あ、はい。……それではこれより決勝戦をおこないます!右アアチ選手、左クルサ選手、双方悔いのないよう戦うように!……それでは試合開始!」
合図直後、二人は同時に回復薬を飲み干し、手を相手にかざし、
「《フォトンバレット》」
「《アースランス》」
アルフェーナが光の光弾を十発、クルサが土の槍を三槍放った。数ではクルサが負けているものの密度、威力は勝っているため衝突するも、削られるだけでアルフェーナに突き進んでいった。
「《サンドバスト》、《サンドアーム》」
アルフェーナは槍を当たる寸前で砂にか変え、自身が操る腕に変えてクルサ向けるも、
「《バスト》」
砂に掛けてた魔法と魔力を霧散させられ、砂の腕は崩れてタイルにまかった。
観客は開始早々起きたハイレベルな攻防に言葉を無くしていた。まぁ驚くもの無理はない、なぜならいままで二人は魔法を放つとき必ず詠唱をしていたにも関わらず、今回は無詠唱をしないたからだ。
放心していた観客は、魔法が止まった今を皮切りに歓声が鳴り響いて言った。
「見たかよ今の!」
「マジかよ無詠唱だぞ!王宮魔導師団ですら数人しか使えねぇっていわれてるはずだぞ!」
「なんだなんだ、実力隠してったてか意地らしいことするねぇ」
等と野次が飛んでいるも、観客席の至るところでいまだ呆然とするもの、悔しさに震えるもの、興味深く観察するものがいた。
闘技場に立つ二人はその者達に気づいていたから実力を隠していたのだが、そのまま戦うのは今目の前にいる者に対して失礼であり、実際問題見られたとしてもその対象に対して負けるなんてあり得ないと二人は思っていた。
だからなのだろう、二人は全力を持って相対しだした。
「《ショックウェーブ》《エアブレット》」
「《マルチアースウォール》《フレイムランス》」
アルフェーナが衝撃波と空気の弾丸、クルサが土の多重壁と炎の槍をそれぞれ作り放った。だが二人は魔法同士がぶつかる前に次々と手を打っていった。
「《インパクト》《アクティブマイン》《バスト》《アースピック》《アイスソード》《フローズンミスト》」
「《ストーンショット》《バスト》《アクセル》《ブレイズバースト》《フレイム》」
アルフェーナが先手で攻撃するも、クルサが防御と攻撃の両方を兼ね備えた魔法を選択するのでなかなか攻めきれずにいたが、それはクルサも同じだった。クルサは魔法選択に意識を削がれなかなか攻転できずにいた。唯一加速魔法の《アクセル》を唱えることができたのが僥倖であったかもしれない。
それからも一進一退の攻防が続いた。観客も固唾を飲んで見いっていた。二人はそれにすら気にすることなく闘技場を時計回りで走りながら魔法を撃ち続けていた。
だが魔法の撃ち合いも唐突に終わりを告げた。二人が両手に魔法で作った剣を手にして接近戦を始めるまでは。
「《エクステンスソード》《アイシクルソード》」
「《インディクションソード》《バーニングソード》」
アルフェーナが右手の貫手を起点にした光剣と氷で構築した長剣を、クルサが同じく右手の貫手を起点にした闇剣と爆炎で構築した長剣を手に、相手に真っ直ぐ向かい激突した。
そこから二人の超接近戦が開始した。
「はぁあああああああああ!!!」
「うらぁあああああああああ!!!」
残像が残像を生んでいるのでないかと言うくらいの斬り合いが行われていた。至近距離過ぎて剣を振りずらいのでないか言うくらいなのだが、二人はそんなことなんの障害にもならないと言った感じだった。
振りずらいなら自身が回転したり、振るのでなく突くのを軸に攻撃したりと多種多様に不利な空間を二人は好機に近付けていた。
連擊が続いていたなか剣をクロスさせ両者共に激突し、二人して大きく弾かれて距離が空いたとき、当然クルサが両手を垂れ下げ、二つの剣の魔法を解いた。アルフェーナは罠かと思い身構えたとき会場全体に怒声が響き渡った。
「こんなチマチマしたことやってられるかぁああああああああああああああ!!」
「…………え?」
アルフェーナもクルサの突然の豹変ぶりに間抜けな声をあげてしまった。
「もう会場のことなんか知るか!アタシはアタシのやり方で押し通す!!こちとらもう我慢の限界なのじゃぁあああああああ!!!」
どうやらクルサは、今日の試合での戦い方は自身のやり方とは違うようだった。
「さぁ本番の開始よ!アタシがあんたを倒してあ・げ・る♪」
「うふふっ!身のほどを弁えなさい、その言葉そっくりそのまま返してあげる」
二人の口が三日月に裂けた瞬間、これまでの小競り合いの魔法合戦とは訳が違う殺し合いが始まった。
子供用試合が終わります。
勝つのはどっちなのか、後ご期待!




