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スカーレット夫婦の献身

遅くなりました

照らし出されたスカーレット夫婦もいきなりのことで困惑していた。その視線が一瞬エルザを捉えるも、すぐさま視線を切った。

「これはどういうことですかな?殿下」

落ち着きを取り戻したスカーレット公爵が睨み付けるようにチェスターを見た。

「なになに、スカーレット卿。せっかくの娘さんの晴れ舞台なのだから、そのご家族を紹介しないのは失礼であろう?」

「っ!……娘とは誰のことかね?晴れ舞台との事だから、主役であるエルザ嬢の事だと思うが、エルザ嬢はそちらのボルエナルト夫婦の娘のはずだが?」

「確かにそうですね。ですが、私の耳にはエルザはボルエナルト夫婦子として迎えられていると聞かされています。養子とされる前は、どこの家の者だったのでしょうね?」

含みのある言い方でスカーレット夫婦に問いかけるチェスター。

「さぁ?それは私にはわかりかねます殿下。知らないことは答えることが出来ません」

「……ふむ、スカーレット卿よ。それは儂にも答えることが出来ぬことか?本当の事を言えと勅命を出し、それの審議をのちに調べ、そなたが嘘を言っているとわかって後爵することになったとしてもか?」

「…………」

いきなりの陛下の乱入に驚くも、すぐに陛下が言ったことを悩み、言葉が出ない。

「「…………」」

そんなスカーレット卿にたいして笑いが我慢できていない追い詰めた二人。

エルザは今すぐにでも駆け出してしまいたい衝動に駆られるが、ここで出ていってしまえはスカーレット卿の思いを無駄にしてしまう。その葛藤で俯き、目尻に涙を溜めることしか出来ない。

だがここに、以前からこの事を(聞いていたのが多少異なるが)知っていた人物が二人、その無謀な事を準備することになった人物が七人いた。

「はいはーい!」

きっぱくしていた場の空気がさらにピリついた。そして会場中の視線が声をあげた人物に向けられる。

当然エルザも顔をあげて、自分の隣の人物の顔をまじまじと見る。

その声をあげた人物、アルフェーナはこの茶番劇に横やりをいれることができて清々しい顔をしていた。

「なんだね君は?」

場を整えた陛下がシナリオにアドリブを混ぜてきた異物を睨み付ける。

そんな睨みそよ風のごとくスルーすると、アルフェーナは気にせず言葉を並べる。

「そんなことはどうでもいいんで、そこにいるスカーレット卿のみに観点を集中させていますが、最初に紹介されたボルエナルト卿にかんしてはどうするのですか?放置のまんまというのは少し可哀想です。もしかしたら話してくれるかもしれませんし……いろいろと」

「「っ!?!」」

いきなり話を振られたボルエナルト夫妻が何とかライトのなかから出ようとゆっくりと端によろうとするがライトの係が逃がしてくれない。

「答えてくれますか?ボルエナルト卿」

「わ、わたしは……わか、らないで、す」

しどろもどろになりながら答えるボルエナルト卿。どうやらアルフェーナの問いは台本にはなかったのでどう答えたらいいのかわからなかったようだ。

「そうですか」

アルフェーナは問い詰めるでもなくすぐさま切った。それにはボルエナルト卿も国王もチェスターも予想外過ぎて思考が止まる。なので一手遅れる。

「それではスカーレット卿にお聞きします」

「……何かね」

「こちらにいるあなたの本当の娘だと言われているエルザのことですが、本当なのですか?」

「…違うといって」

「違うというのであれば私がここで殺しても構いませんね?」

「は?」

「え?」

いきなりアルフェーナがとんでもないことをいったので、スカーレット卿とエルザが困惑の声をあげる。たがそれも次の瞬間には瓦解する。

アルフェーナがエルザの首を締め上げて持ち上げたのだ。

「かっ、あ、かっ……かはぁ、ぁぁぁ」

「な、なにをやっとるのだ!」

突然の凶行に周りが蒼然となるなか、スカーレット卿はいち早くアルフェーナに接敵して拳を振るった。それを難なく片手で止めるアルフェーナ。

するとアルフェーナはエルザをいきなり解放した。

「けほっ、けほっ!」

「だいじょ……大丈夫かい?」

「は……い……」

咳き込みながらもスカーレット卿に介抱されてエルザが無事なことを証明する。

「アルフェーナ様、いったいどうして」

「なにって、証明するためよ?」

「しょう、めい?」

「えぇ、ここにいるスカーレット卿とあちらの夫人、この二人があなたの本当の親だという証明」

「だからそれは違うと」

「ならばこの現状をどう証明するのですか!」

アルフェーナが珍しく語気を強めて言う。

それにつられて二人も周りを見る。周りは先程あまり変わっていない。雄唯一変わっているのは、クルサがおり、手に持つ大剣でスカーレット夫人の二本のレイピアを防いでいることだった。

「あっ」

「そう!あなたの命の危機にすぐに反応して助けに入ったのはこの二人だけ!ボルエナルト夫婦も、婚約者も、衛兵ですら動こうとしない!ボルエナルト夫婦が本当にあなたの親なのだとしたら、なにがなんでも助けに来る!どれだけ弱くとも、偽りの親子であったとしても!それがないということは!……そういうことよ」

「……あぁ……ああぁ……」

エルザは泣き崩れてしまった。いままで信じてきたのだ、養子だったとしても、自分を出汁にして登り詰めようとしていたとしても、そこには愛があるんだと思っていた。でも信じていたそこには愛がなかった。

そんなエルザをスカーレット卿は優しく包み込む。夫人もすぐに駆け寄ると反対側からエルザを抱き締めた。その姿を見て(その前から大半は気がついていた)もうスカーレット卿の否定を信じるものはいなくなっていた。

「さてと、この話はまた今度にいたしましょう。ここで問題が出てきます。あちらのボルエナルト卿、婚約者の第二王子、そして国王。この人達はどうやらエルザの出自を知っていてこのようなことをしたらしいのですが、これについてどう思いますか?王妃様?」

「…………」

アルフェーナは視線をいまだに動かず、成り行きを見守っていた王妃様に向けた。

「お言葉貰ってもよろしいですか?」

アルフェーナは意地が悪そうな笑みを浮かべて問いかけた

それでは小説ざっと紹介コーナーです。

『異世界はスマートフォンとともに。』第一巻前編です。

主人公望月冬夜は道を歩いていると雷が落ちて死んでしまった。

すると冬夜はいつの間にか知らない空間にいて、なぜかあるちゃぶ台とおじいちゃんがいた。

どうやらおじいちゃんは神様らしく、手違いで殺してしまったようだ。そこで異世界に転生させて貰えることになった。

その時何かほしいものは何かと聞いて、スマートフォンといい、いろいろな機能を付けてもらって異世界に送ってもらった。

この後は電子書籍または書籍をお買い上げしてください。

ではまた次回に。

ではでは~

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