エルザの婚約式登場
遅くなりました
「…………遅いですわね」
組んだ腕に指をトントン、鮮やかな黄色のハイヒールをトントン、王城内のカーペットの上に仁王立ちしているブレンナがいた。着ているドレスもハイヒールに合わせて黄色になっている。
「こんな大事な時にギリギリに来るようにするなんてどうかしていますわ!まったくあの人達は」
声を荒げるブレンナ。
そんなブレンナの前に階段から上がってきた二つの人影が見えた。
「あっ」
「やっと登ってきたー。なんでこんなに階段を上らないといけないのよ。エスカレーターとエレベーター取り付けなさいよ!」
「そんなのあったら雰囲気台無しでしょ?まぁわからなくもないけど」
そんな軽口を叩いている二人、アルフェーナとクルサがやってきた。
「でしょでしょ!だから、あっ」
「うん?何か、あっ」
そこでようやく二人は目の前に仁王立ちする般若美人に気がついた。
「遅い到着ですわねお二方」
「あっ、えっと」
「私が長風呂だったのと、クルサがちゃんと髪をやってこなかったからさっきまでやっていたのよ」
いいよどむクルサを尻目にアルフェーナがすらすらと事実を言った。こういうことはやはりアルフェーナがなれている。
「そうですかそうですか。でも私達は当主でなく令嬢です。後からやってきてエスコートされながら入るのは主役や貴族当主のみです。令嬢令息は早めにフロア内にいるのが礼儀。それはわかっているものだと思っていましたのですが?」
「「あっ、おー…………」」
流石に言葉に詰まってしまう二人。常識として知っていたのだが、守るのが面倒くさいという事で頭の角に押しやっていたから申し訳なかったのである。
「まぁまぁいいじゃない。まだ始まっていないでしょ?それに今から入っていったって誰も注目しないわよ」
「…………それ、本気で言っています?」
ブレンナがあり得ないっといった感じの顔で問いてきた。
「えっと?」
「先程までいなかった貴女方みたいな令嬢が入っていったら誰しも注目するに決まっているではありませんか!」
「それは言いすぎては?」
「言いすぎと思うのであれば注目されないためにこっそり入りなさい。それ以上なにも言いたくありません」
そう言ってブレンナはスタスタと会場に歩いていった。その後ろを二人は、気配を薄くして気がつかれにくくしてから着いていった。
そのままブレンナに着いていって入るとそこには大勢の人が語り合っていた。
「うっわ、見たことない人ばっか。こりゃ人酔いしちゃうじゃん」
「そうね、こんななかグラスなんて貰ってらぶつかってかけてしまいそうよ」
「それをしないために練習、実戦経験するものなのですが、貴女方はこういうのに出ませんものね!」
「「いやぁ、それほどでも」」
「褒めてません!」
ブレンナの言葉に照れたようにする二人。
それにツッコむブレンナ。でも周りにはブレンナが独り言を叫んでいるだけのように見えるので、それに気がついたブレンナが頬を紅く染めてそそくさと壁際に歩いていった。
壁際に着いて、背中を預けると、両隣にアルフェーナとクルサが気配を元通りにして現れた。近くにいた人にはいきなり人が二人出て来て驚くも、すぐに別のことで固まってしまった。
それもそうだ、いきなり令嬢が二人現れ、それが周りにいる令嬢を圧倒してしまうほど美しさなのだから、仕方がない。
その驚きの雰囲気は徐々に広がっていく。フロア内の視線をどんどん集める二人だが、そんな視線露知らず、近くのウェイターを呼んで飲み物を貰おうとしたいた。でもそのウェイターすら固まってしまっているのでアルフェーナが近づいて声をかけた。
「ねぇ……ねぇ!」
「……え?は、はい!なんでしょう!」
「それ、貰ってもいい?」
「え、……あっはい。どうぞ」
「ありがとう」
そう言いながらグラスを三つ持って戻って二人に渡す。その間、声をかけられたウェイターは直立不動でアルフェーナを見つめていた。
「いちいちあなた様がいかなくても良かったですのに」
「誰が行っても同じよ。なら近い私が行けばいいでしょ」
「それでも順列というものがあります。アルフェーナ様は公爵令嬢、ここは本来ならクルサ様が行くものですが」
「めんどいからパス」
「ですので私が行くところなのですが」
「いいっていいって、それよりも、乾杯」
「ええ」
「わかった」
三人はグラスを合わせて喉を潤した。
それをするとチラホラ固まっていた人々がヒソヒソと話し出してきた。中には声をかけようとするも、なかなか前に出れない令息達も現れ出した。
けどそれをする前に扉の方から声か放たれた。
「国王陛下入場!」
扉が開けられると騎士が玉座までの道に連なる。
そのあとに国王と王妃が入場してくる。
その後ろに一組の男女が並び、
「第一王子殿下入場!」
第一王子とその婚約者が入ってくる。
それからも婚約者が決まっている王子、王女が入場してくる。だが今回の主役はまだのようだ。
最後に国王陛下から、
「今日は集まってもらい感謝する。長い話の前に、今日の主役に登場してもらおう」
そんな前置きと共に扉が開かれる。
「まぁ」
「わぁお」
「へぇ」
ブレンナ、クルサ、アルフェーナの三人から感嘆の声が漏れる。それは周りの会場に集まった者達からもである。
その視線は現れたエルザに向けられていた。
まず純白のドレス、豪華過ぎず、なおかつ身体のラインが出ているも質素すぎるとも言えない、髪は後ろでピンクのリボンで結ばれている、白の長めの手袋、露出は二の腕のみ、化粧もさほどされていない、それなのに自然と眼を向けてしまう美しさがあった。
そんな天使と見間違える美少女を見たあとに自然と隣のチェスター王子に眼を向けてしまう。
チェスター王子は王子としてちゃんとした体型、ちゃんとした服装、王子としての佇まい、別に悪い場所は何一つない。
ただエルザとの格が違った。
どうしても比較してしまう。エルザが光で、チェスター王子が影だと出てきた瞬間に決定していた。
「涙ぐましい努力ね」
「そうだね~」
「どういうことかしら?」
そんな二人を見たアルフェーナとクルサが嘲笑うかのように呟いた。それにブレンナが反応する。
「王子様は、自分をとってもよく見せようと服装も凝ったみたいで、エルザを質素な服装にしたみたいだけど、逆効果も逆効果、墓穴掘りまくりって感じね」
そんなことを話しているとエルザがこちらに気がついて手を振ってきた。
なので三人も答えるように手を振る。
「こちらも移動しましょ。なるべく近くに行くわよ」
アルフェーナが先導しながらエルザの近くまで行く。
「さてさてどうなるかな?」
「さぁ?まぁどうなろうとも私達がエルザを守ってあげればいいのよ」
「オッケー」
「わかりました」
「……みんないいみたいね。さぁ、見守りましょう」
アルフェーナ達が布陣するなかパーティーが開始された。
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