確認はしっかりと
遅くなりました
エルザの家にいってから一週間がたった。その間、クルサがブレンナ達を徹底的に鍛えて、アルフェーナが【竜帝】をフル活動させて情報収集、無意味な貴族の抹殺をしていった。
情報収集は主に国王、チェスターの身辺調査、忠実な近衛の能力調査、会場の下調べ、参加する給仕の数と身辺調査、他に動いている裏の組織がいないか、そういうのを休むことなく動かし、届いた情報を精査し、気になることをもう一度調べさせるを繰り返していた。
それ以外にやっていた貴族抹殺。組織のなかの武闘派の面々はそういうのがどうしても苦手。なのでそれと平行して、いてもいなくてもいい貴族というのはかなりいる。そいつらを使って中止に追い込むことは出来ないのかという事で、そいつらの抹殺をしていった。
まず一人を殺して王家の出方を伺った。でも王家側も逆に害悪とも言えないが、いらない貴族でもあったので、頭をすげ替えることが出来て逆に良かったという意見が飛び交っていた。
そこに別の貴族の凶報を続々と送りつける感じて行っていった。それでも王家は動じず、より一層披露宴を執り行うと息巻いているようだった。
「おかしすぎるのにこっち調査をほとんどしないで披露宴の準備を最優先で進めている」
アルフェーナのといにセルネが答える。
「そのようです。調査のほうもおこなっているのがもて余している熱血漢だけみたいです。でも調査に向いていないようでほとんど進展はありません」
「そっちのほうは別に忘れていても問題ないわ。問題は王家の動向。そっちのほうは?」
そのといにはミーゼが答える。
「はい。やはり王家はこちらの行動になにも関心を示していません。調べても暗部が動いた形跡はありません。ここまで調べてないとかなり怖いですね」
「こうなるとまじで動いていない?そんな馬鹿な。これ以外でも暗部は動いているはず、こちらが懇意にしている奴等は何て言っているの?」
「「それが……」」
なにやらいいよどむ二人。
「どうしたの?」
「私達『竜翼師団』が懇意にしている暗部なのですが、その者達も、」
「私達『竜眼師団』が懇意にしている暗部の者達も、
」
「「両者まとめて王城に召集。ここ数日姿を見せておりませんし、こちらに接触、監視していないことが調べでわかっています」」
「……………………は?」
あまりにも荒唐無稽な回答に開いた口が開かないアルフェーナ。
「そんなことしたら他国が幅を利かせて収集がつかなくなるわよ!暗部は、王家は一体なにを考えているの!」
アルフェーナが机を叩きながら声をあらげる。
それもそのはず、本来なら王家の暗部が日夜他国の間者、裏組織から外れた異常者の除去等々を行っている。それを毎日。そんな者達がいなくなったのなら裏だけでとどめられていたのが表に溢れて混乱が起きるのが眼に見えている。
「くそっ!……あの暗部のエース様はなにをしているの?こんな緊急事態に」
「……わかりません」
「は?」
「あの者も姿形、痕跡が見当たらなくなったのです」
「なっ!?……それはおかしすぎるでしょ?あいつは命令違反は常時しているようなやつよ?でも王家や王国のためにしていた命令違反。それは周りもわかっているから黙認されて、ついにはエースにまで上り詰めたやつよ?そんなあいつがいない?」
「我々も情報に耳を疑いました。それなので自分達も走り回って確認したのですが、やはりあの者は城下にいないことが証明されました」
「……ヤバイわね」
「ヤバイです」
「ヤバすぎです」
三者が深いため息をする。心なしか頭痛がしだした。
でも仕方ない。ここまでなにも考えていないだろうと思わせるような事が起きているのだから。
「……他国の動きはどうなっている?」
「どうやら他国もこれがなんなのかわからなようで、どう行動するか悩んでいるようです」
「でしょうね、こんな不気味なことはないわ。鼻が利く奴等は絶対に動かない。調子に乗って動くやつはいるけど、そいつらの今後でどうなるか決まるわね」
「はい。なので我々の部下は監視、そこらをうろついているゴロツキ共に金を渡していろいろ動いてもらっています」
「結果はきしだい報告をあげます」
「わかったわ……披露宴があともう少しのところまで来ている。町にも不穏な空気が漂いだしている。監視に割り当てている者達にはより一層警戒を、それ以外の者達にも警戒を怠らず、慎重に行動するように徹底させること。いいわね?」
「「はっ!」」
二人は顔を引き締めて答えた。
それからも披露宴までこの不気味な空気が王都を覆っていた。その間もアルフェーナ達【竜帝】は、ほうほうを駆け回り、少し関わりのある裏組織の者達と情報交換、ゴロツキによる引っ掻き回しの成果の確認等々をしていった。
それでもなにも起きないまま披露宴当日になってしまった。
「とうとう今日ね」
アルフェーナは夜空を見ながら呟いた。現在は確かに夜だが、日付は既に越えているので今日なのだ。
「さて、これからいままで収集した情報の精査、今日の最終チェックを始めるわよ」
『はっ!』
部屋の中にはアルフェーナと幹部全員と副官全員が揃っていた。囲むテーブルには披露宴が行われる会場の見取り図、王城の通路の見取り図が広げられていた。
「まず今の王都の状況は?」
「はっ、現在王都は強盗等の犯罪が増大、衛兵だけでは手が回らない状況です。暗部が押さえていたものが今回ので溢れた感じです」
「まぁそうね。誰も彼もがやりたい放題。でも暴れているのは弱小の組織だけね」
「はい、力も意思もなにもない者達がただ暴れているだけですね。中小の奴等はまだ自制心があるようですが、下を押さえておけないようでそろそろだめです」
「私達のほうは?」
「大丈夫でさお嬢!動こうとしたバカどもは俺とこいつでぶん殴っておいたんで!」
アルフェーナの質問にゼンドルがクラムの肩を抱いて答えた。
「それならいいわ。ありがとう」
「「いえいえ、もったいない言葉です」」
「似合わな!」
部屋が笑いに包まれる。
「それよりも、暗部との接触は出来た?」
「いえ、こちらからのコンタクトはどれも失敗。私の精鋭部隊で王城に侵入して、直接話をしようとしたのですが」
「どうしたの?」
突然黙ったミーゼに問いかけるアルフェーナ。
「王城に暗部がいなかったんです。それどころか、暗部という組織がいたという事実が消えていました」
「…………どれくらいヤバイ?」
「ヤバイなんてものじゃないです。異常です」
「そう……各部隊に通達。今回の件が終わったあとも暗部が現れるまで警戒を維持、油断せずに対応すること。いいわね?」
『はっ!』
アルフェーナの命令に全員が力強く返事した。
今回の小説ざっと紹介コーナー。
『無職転生』第十一巻の中編についてです。
学園に通うことになったノルン。それが心配で周りをうろちょろするルーデウス。そんなことを続けていると突然ノルンが自室に籠ってしまう。どうするルーデウス。
この後は書籍、電子書籍をお買い上げください
今回はここまでです。またよろしくお願いします
ではでは~。




