武闘大会(前編)
ひさびさのちょっとした戦闘です
アルフェーナが控え室で着替えを終えたとき開会の呼び人がやって来た。それに連れられ、アルフェーナがいた控え室の者達、他の控え室の者達が闘技場に集まった。
(う~んだいたい40……38人ね、そのなかで子供が10人か……あの子も居るみたいね)
アルフェーナは感知魔法を使い、参加者を把握していた。そして先程すれ違ったクルサも発見していたが、
(あの子、私の感知魔法に気がついた!……どうやら他は気づいていないわね)
アルフェーナは達人であっても気づかれないくらい極小の魔力を使ったのだが、クルサはそれに気づき、アルフェーナを睨んでいた。
アルフェーナは退屈だと思っていた大会に興味を持ってきた。それはクルサも同じだった。実はクルサも転生者であり、アルフェーナと同じく小さいころから魔法の練習を日々行っていた。実力もほぼほぼ同じ、なので遊び半分で出場を決めていたので、軽い気持ちだった。アルフェーナとすれ違うまでは。
クルサも廊下ですれ違ったときからアルフェーナを警戒していた。全力を出さなければいけない相手と、把握していた。そして極めつけが、クルサ以外が気づけなかった極小魔力による感知魔法だった。アレに気がついたのは偶然だった。アルフェーナの後方にいたクルサは、アルフェーナを観察していた。そして魔力を自身を中心に会場全体を覆ったことに気づいた。だから失念していた。クルサが気づいたのなら相手も気づかないわけがないと。
だから目が合ってしまった。アルフェーナは口が吊れ上がっていた。クルサにとってはそれだけで震えた。
「なんなのよあれ、互角どころか敗北まっしぐらじゃない」
普通ならクルサはここで辞退をするかもしれないが、クルサも伯爵家に生まれたことでいろいろ苦労させられていた。転生前の記憶があるため歩きだしたころから、普通とは違う行動をしてしまい、家族及び使用人にきみがられていた。
だからクルサは魔法を頑張った。見てほしくて、誉めてほしくて、認められたくて努力した。だが無情にもその行いが更にクルサから家族との溝を作った。悩んだクルサに舞い込んだのがこの武闘大会だった。
クルサはこの大会に自身を倒してくれる存在を見つけに来たのだが、最初は見つからず落ちこんでいた。アルフェーナとすれ違うまでは。
クルサはアルフェーナの実力は自身を越えていると歓喜し、ついでに戦ってみたいと感じていた。そして運命のイタズラのように子供用の対戦が組まれた。
(やった!あの子とは決勝で会える!……でも聞いた名前と違う?アアチってなんか適当に付けたみたい)
「これより子供武闘大会を始める!第1回戦アアチ選手クバラ選手と第2回戦テント選手アメーナ選手と審査官以外控え室に戻ってください」
闘技場にアルフェーナを含む六人が残った。
「それではアアチ選手とクバラ選手はこちらに、テント選手とアメーナ選手はこちらに」
四人は言われたとおり左右に別れ、間に審査官を挟むように向き合った。
「第1回戦アアチ選手、クバラ選手、礼!」
「「よろしくお願いします」」
隣でも審査官が選手の名前を述べていた。
「まさか女が相手とは……はぁ」
「…………」
横を見ていたアルフェーナが声の方を向くと、対戦相手の男の子が溜め息をついていた。アルフェーナは対戦が始まってから、わざと隙を見せ続けていたのに攻撃してこなかったことに呆れていた。
(まさか一度も攻撃してこないなんて、甘いわね)
「なんだお前、俺を見下してんのか!」
どうやら顔に出ていたようでクバラが激昂してきた。
「どいつもこいつも、俺をバカにしやがって!火の精よ、我に答えて形をなせ、敵を滅す火球、《ファイアボール》!」
クバラが手を翳すと拳大の火球が現れた。
「くらえ!」
ゴウッ!と燃え盛りながら火球が飛来するも、アルフェーナはどおじず、クバラと同じく長ったらしい詠唱をしていた魔法を放った。
「風よ放て《エアボール》」
アルフェーナも拳大の風を集めて放ち、火球に当て相殺した。
「なかなかやるな!ならこれでどうだ、火の精よ、」
「《エアマイン》」
「なに!……グッハァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!……グペッ」
アルフェーナはクバラのお腹当たりに風を集めた地雷を作り設置、自動で発動、圧縮された風をもろにくらったクバラは盛大に吹っ飛んでいき場外に落下した。
「…………はっ、勝者アアチ選手!」
はぁああああああああ!!
と歓声が上がった。アルフェーナはお辞儀をして出入口に歩きだした。横目で見たところ、隣ではまだ戦闘が続いていたが、男性のテント選手が優勢のようだった。
(だけどアメーナ…選手だっけ、同じ女の子としては応援していけど、まだ力量が足りないわね)
アメーナとテントでは僅かにテントの方が力量が上だった。長い時間戦闘したいるため、それが謙虚に見えてきていたが、アルフェーナは興味を失い歩き去っていた。
◆
「………………はっ!俺はいったい……確か大会に出てそれから……そうだあの少女!」
「クバラ!よかった、ケガはないか、お前一時間も起きないから打ち所が悪いんじゃないかって」
クバラは医務室のベッドから飛び起きた。隣では父が心配な顔をして座っていた。クバラが起きると途端に破顔した。
「父さん。俺どうなったんだ?」
クバラはあの時起きたことを父から聞いた。
「そんなことが、なんで気づかなかったんだ」
「無理もない、俺も解説から聞いたからな。その解説も映像記録から計測された魔力で、たぶんそうだろうということを言っていたから、ホントにわかるのは本人だけだろう。たぶんあの子は貴族の、しかもかなり上の子だと思うぞ」
「そう……か」
クバラはそれでも項垂れるしかなかった。小さいころから男爵家の男として、日々腕を磨いてきた。父にも相手をしてもらったり、有名な冒険者も呼んでもらっていたため、同年代には負けない自信があった。だがそんなものを跡形もなく粉砕されてしまったのだ、格下も思った相手に。
「今試合はどうなっているんだ?あの少女は……」
「今は準決勝の最中のはずだ。今から見に……」
ワァアアアアアアアアアアアアア!!!
「行っても無意味だな。どうやら終わったようだ」
「終わったって、準決勝が!早くないか!」
「お前が寝ている間にとんでもないことが起きているんだ。体大丈夫なら……ってそんな急ぐな」
クバラはいてもたってもいられず父の話を聞かないまま医務室を飛び出した。闘技場に駆けると歓声が次第に大きくなっていく。
到着して眼にしたものは、自身を倒した少女と、同じく同年代位の少女が向き合っている光景だった。
会社を辞めると言う日が近づいて来ておるので、緊張で書くのが遅くなっています。
迷惑かけるかもしれませんがよろしくお願いします!!




