攻略キャラ登場
遅くなりました
「はぁーー、なんか久しぶりに学園に向かう気がするわ」
「そう?たった一週間だけじゃん。その間も良くつるむ人達としかいなかったから学園とそう変わんなかったわよ?」
「そうなんだけど体感二、三ヶ月以上たっている感じがするのよ」
「気のせい気のせい」
アルフェーナとクルサが雑談をかわしながら通学路を歩いていくと学園の方がなにやら騒がしなってきた。向かうと豪華な馬車が止まっていた。
「うっわ、あれ最新式の魔導馬車じゃん。ゴーレムが引いて、馬車のなかもかなり快適みたい。前世で言うとリムジンが近いと思う」
「とりあえずなんでそんなのがうちの学園に来ているのかってことよ。あんなの高位貴族か王族くらいしか持ってないでしょ」
「なんかあったかなぁ、この頃のイベント。全然浮かばない」
クルサがそう言いながら珍しく悩みだしているなか、アルフェーナは魔導馬車を注意深く観察していた。
(外目にはわからないけど、かなりの隠し武器やギミックが内蔵されているわね。天井にはバリスタ、隠し飛ばし針、側面にはスライド式の刃、天井手前からガスを出す噴出孔、前方後方には槍の出し口、おっとゴーレムにもギミックが、針の射出にガスの噴射、あらあら自爆機能も着いてる。とんだ玩具箱ね、怖い怖い)
アルフェーナが眼を細目ながら見ていると、魔導馬車を囲んでいた群衆からざわめきが起きた。
「何かしら?」
「誰か学園から来たみたいね……うん?一人はエルザみたいよ?」
「うん?なんで?」
クルサが最もな疑問を口にした。なので二人して群衆の中に向かわず、門の塀に飛びのって誰が来たのか見ることにした。
「あ…れは……誰?どこかで見たことあると思うんだけど」
アルフェーナがそう言って同意を求めるように横のクルサを見ると、クルサが顎が外れるかというほど口を開いて驚愕していた。
「はぁ…あぁあ?!なんであの人がこんなところにいるの?」
「クルサ知り合い?」
「知り合いしないけど誰かはわかる」
クルサは深呼吸をして落ち着いてから口を開いた。
「あの人はこのゲーム、エルザエンブレムの攻略キャラでこの国の第二王子、チェスター・フォン・アルガルネーゼ、攻略難易度普通のキャラなんだけど」
「普通……そんなやつがなんでここにいるのよ。そんなイベントある?」
「イベント……確かある。けどこの時期じゃない、もっと後だったはずなのに」
そんな風に困惑していると俯いていたエルザがこちらに気が付いた。アルフェーナは、うーんうーん言っているクルサをほっといてエルザに向けて跳躍した。
「あっ……アルフェーナ様」
「むっ、何もものだ?」
校庭で注目を集めるエルザとチェスターの前にいきなり人が降ってきたのでざわめきがいっそう大きくなる。
「なにしているのこんなに注目集めて、それにそろそろ学園始まるからなか行くわよ」
そう言ってエルザに手を伸ばすアルフェーナ。手と手が降れそうになったとき横合いからたじかれた。
「……なんのよう?」
「そちらこそ何者ですか?僕の婚約者にきやすく触れようとするなんて」
笑顔を向けるチェスターだが、目元は笑っておらず、薄く開けられた眼には敵意が宿されていた。
「何者?エルザの友達よ。そろそろ学園が始まるから一緒に以降と思ってね」
「それは無理です。彼女は今から私と一緒に王城に向かうのです。大切な話のために……ね?」
「っ!……は、はい」
圧をかけるようにエルザに声をかけるチェスター。それに反論できないエルザは弱々しく答えることしかできなかった。
「…………それを学園には?」
「は?王子である僕が連れていくのだから許可なんて必要ないだろう?」
さも自分が世界の中心のような事を言うチェスター。
「いや、ダメに決まっているだろう?スペアごときが」
そんなチェスターに対して辛辣すぎることを言うアルフェーナ。
「スペア?……僕が、僕…僕…ぼぼぼぼ僕…がぁ……僕…ぼぼぼ、ぼぉ?お、俺が、俺が!スペアだと!」
アルフェーナの言葉に激昂して一人称が変わっているチェスター。それに気が付かないくらいにスペアと言う言葉が琴線に触れていたのだろう。
「リーベルト、こいつを殺せ」
「御意」
チェスターの横に控えていた大男の騎士、リーベルトが腰の剣を抜き放ち、躊躇いもせずに振り下ろした。
周りの群衆から悲鳴が響き、エルザも突然のことに驚き固まってしまっまている。
そんななか、剣が迫るアルフェーナだが、落ち着き、剣を見てすらもいなかった。
「ふぁ~~……おそ」
ぼそっと呟きながら、二本の指で挟んで止める。他の人ならともかくアルフェーナクラスだと力量差で見もせずに真剣白羽取りできてしまう。
「なぬ!」
「なにを!……なにをしているリーベルト!早く殺せ!」
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
リーベルトが血管を浮かべるくらい力んでいるが、1ミリも剣は動かない。アルフェーナは変わらず涼しい顔でエルザを見据えている。
「それで、エルザはどうしたいの?学園?それともスペア?」
アルフェーナのスペアの言葉にまた叫び出すチェスター。
「私は……その……」
エルザは俯き両手でカバンの持ち手を強く握りしめている。とてつもない葛藤がエルザを支配している。
長い長い沈黙、それでもエルザは答えをだすことができなかった。
「はぁ~」
「っ!?」
アルフェーナのため息にエルザがビクリッ!とする。
「まぁあんなんでも一応王族。なら今はあっちでもいいよ。だけどこれだけ覚えていて…………なにがあろうとも、どんな障害があろうともあなたの味方だから。ついでにあそこにいる親友も」
「オッケーでーす」
唸っていたクルサもこの時ばかりは手を上げて答えた。
「だから……怯えずいつも通りしていなさい。私の同好会のメンバーでしょ?」
「っ!!……はい!」
アルフェーナの言葉にエルザは嬉しさを満面に浮かべて返事をした。
「あの……明日なんですが、私の屋敷に来ていただけませんか?もちろん全員で来ていただければいいのですが、無理でしたらこれる人数で」
「朝からいっていい?」
「え?」
いきなりの言葉に間抜けな声を上げるエルザ。
「朝からいって、話聞いて上げるわよ。全員連れていく」
「はい…はい…はい!ありがとうございます!私も……いつまでも待ってます」
「えぇ、ならまた明日ね」
「はい、また明日」
そう言ってアルフェーナは校舎へ、エルザは校門へ向けて歩きだした。
「んじゃまた明日ねぇ~」
「はい」
エルザの横に飛び降りたクルサも軽めに挨拶してアルフェーナを追った。エルザもそれに軽やかに答える。
「これで良かったの?」
「何が?」
「このまま行かせたらもしかすると永遠に会えなくなるかもしれな……」
「そんなこと私がさせないわ」
クルサの言葉に被せるようにアルフェーナが否定した。
「婚約で監禁するにしても、一度は実家に戻すし、お披露目会はするわ。そのときに何とかする」
「うへぇー……ヤバイ目立つじゃん。でもヤっちゃうか!」
そう言いながら二人は校舎に入っていった。
それを見つめる怨嗟の眼を向けられていることに気が付いているも、無視するように。
今回の小説ざっと紹介コーナー。
『無職転生』第十一巻をざっと紹介します。
新婚のルーデウス達のもとに妹二人がやってきた。一人は元気いっぱいだがもう一人はケンカ別れしているので気まずい雰囲気が流れている。
何とかするもそれからも何かとある。
この後は次回か電子書籍、小説の購入をお願いします。
それではまた次回で
ではでは~




