アルフェーナの決意
遅くなり申し訳ない
アルフェーナは現在街に来ていた。『竜翼商会』の支部にようがあってのことだったのだが。
「……どういうことかしらこれ?」
目の前にあるのは外壁はひび割れ落書きのあとがそこかしこにあり、窓ガラスは全部割れており、店内は営業時間にもかかわらず薄暗い。
「……とりあえず入ってみますか」
ただ立っているだけではなにも始まらないので店内に入ることにした。ちなみに扉は壊されなのか失くなっていた。
「誰かいるー!いるなら状況の説明をしなさい!」
大声で叫ぶも誰もいないのか現れない。気配を探ると誰の気配も無いのを感じる。
(誰もいない?どこかに移動したのなら連絡が来るはず。それが来ないと言うことは……)
「何があったとみたと言ったところかな」
そんなふうに考えていると背後から気配を感じて振り返る。そこにはここを通りかかったのか主婦がいた。
「どうしたのお嬢ちゃん。こんな危ないところで」
「危ないところ?どういうことですか、ここにぶ……友人が勤めているって聞いたんですけど」
「え!そうなの!それは御愁傷様ねぇ~」
主婦は頬を押さえながら小首を傾げて頷いた。
「どういうことですか?」
「いやね、つい昨日の事なのよ。ここに騎士団がやって来て店員全員連れていったのよ。ここってそんなに悪いとこだったのね。いやー私も何か怪しいと思っていたのよ」
それから永遠と店について悪口を言っている主婦の話を聞き流しつつ騎士団について考えていた。
(いったいどういうことかしら?ここの駐屯所には脅しと賄賂で押さえていたはず。それを破ったらどうなるかは身をもって知らせたはず)
「おば……お姉さん。騎士団が来たと行っていましてたけどどこのですか?」
「どこ?と言われてもね。でも見慣れない紋章の旗だったわね。確か……交差する槍に何か垂れているような紋章だったわ」
「っ!?……奴らか」
主婦が言った紋章は確かに騎士団だが、異端中の異端の騎士団。その名も、
「【高潔騎士団】。鬼畜共の巣窟が動いたか」
アルフェーナは苦々しく唇を噛んだ。
今アルフェーナが言った【高潔騎士団】は、騎士団とは名ばかりの排泄主義者の巣窟だ。疑わしきは死刑、迷うなら聴取、気になったら逮捕と頭のネジが外れている連中が集まっている感じなのだ。
「お姉さん、ここの人がどこにつれていかれたか知りませんか」
焦る気持ちを押さえつつ、口調が変わらないように意識しながら聞いた。
「そうね、確か領主様の屋敷だったと思うわ」
「……ちっ」
考えられる限りで最悪の手前、だけど一刻の猶予もない状態だった。
「急がないと……っとその前に、お姉さん。殺気が駄々漏れだよ?」
「っ!?……くそがっ!」
アルフェーナの指摘に先程まで優しい声で話していた主婦が眼を吊り上げて睨み付けて、スカートをまくるとそこに隠していたナイフで攻撃してきた。もちろん殺すつもりで。
それを驚きもせずに片手で弾くと、襟を掴み一本背負いを決めた。
「かはっ!……がっ」
「はぁ……くそ、【高潔騎士団】が動くなんて予想できるわけないじゃん。まったく」
アルフェーナはイレギュラーすぎることが起きたので頭を抱えると、踏みつけていた主婦が暴れて叫んできた。
「貴様!我々にこんなことしてもいいと思っているのか!この店は闇組織が運営していた!ならばそこで働くやつもそこに来たやつも全員逮捕するべきなのだ!」
異常だと思えることを喚き散らしていた。
「それに私の仲間がここを包囲している。お前に逃げ場はないんだよ!」
喚く主婦を放置してアルフェーナは先程から辺りを探っていた。そして終わっていた。
「《コキュートス》」
アルフェーナが魔法を使うと辺りでアルフェーナ達を見ていた【高潔騎士団】の面々が凍てつきだした。
でもそんなことは押さえつけている主婦はわからない。なおも喚いているので、いい加減五月蝿くなったアルフェーナが主婦の腕を凍てつかせた。
「がぁああああっ!ぃだい!いだいいだい!……なおせっ!なおせこの犯罪者がぁあああああああああ!!」
「喚かない。あんたの仲間もこんな風になっているから」
「はぁ?」
アルフェーナが言ったことに叫ぶのを忘れて間抜けな顔を浮かべる主婦。
「それと……これ」
そう言うとアルフェーナは小石を手に取ると片腕に落とした。
パキャアァアアーーーーーーーン!
小石を落とされた腕が当たっただけで粉々に砕け散った。
「はっ……ああ、ぁああ……」
あまりの出来事に呆然とする主婦。それを尻目に風で浮かせた小石を漂わせながら問いかけた。
「今あなたの仲間はこの状態になっている。そこにこの小石を飛ばしてぶつけるとどうなるかは……わかるな」
「や……やめっ……」
「あっ魔法操作を間違えた」
アルフェーナがそう言うと小石が全部別々の方向に飛んでいった。
「ぁああ……」
「あなたがいきなり喋るからビックリしちゃったじゃない」
白々しく答えるアルフェーナ。
「みんなが……ああ、私のせいで」
「あなたのせいでなくてあなた達のせいね。だから消えるの」
そう言うと押さえつけている足元から主婦の体が凍てつきだした。
「これからあなたた……てめぇらをこの世から消し去る。あとの世に作られることがないように絶望を刻み付けて上げる」
そう言う間に主婦は全身が凍てついた。それを確認するとアルフェーナは脚に力をいれて一気に踏み抜いた。
粉々に砕けるなかかろうじて意識があった主婦は最後に考えていた。
(あぁ、私達は決して振れてはいけない鬼……いや竜の逆鱗に触れてしまったのね……でも……綺麗だな)
主婦は自身を凍てつかせていく氷がいままで見たことないくらいに蒼く、幻想的な光景に眼を心を奪われながらその生涯を終えた。
「『竜眼師団』」
『ここに』
アルフェーナが呟くと黒のローブを羽織った三人組が音もなく現れた。
「見ていたならわかると思うけどこれから【高潔騎士団】を潰す。慈悲はない。でもその前にここの従業員を捕まえるからミーゼのところに案内しなさい」
『仰せの通りに』
そう言うとアルフェーナと三人組は忽然とその場から消えた。
辺りには季節外れの氷が舞い散っていた。
それでは小説ざっと紹介コーナーのお時間です。
今回は『無職転生』第八巻の後編についてです。
学校生活を続けるルーデウス。友人もできて順風満帆な彼にリニアとプルセナの魔の手が迫る。
以前ザノバが買ったロキシー人形が壊されてしまった。それに激怒したルーデウスが二人を拉致して監禁してしまう。いったいどうなるのか!
この続きは電子書籍、小説をお買い上げのことをよろしくお願いします。
また次回に
ではでは~




