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アルフェーナの稽古 後編

遅くなり申し訳ない

「あぁ~あ。負けちゃった、偶然……じゃないわね、必然的に負けた。これは教訓にしないとね」

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ!」

息も切らさす淡々と今回の反省を考えるアルフェーナに対して、全力疾走し続けたかのように息を切らしてへたりこんでいるメマ。

「ん?……あぁメマまだ疲労困憊か。ならあっちに運ぶね」

そう言うとメマをお姫様だっこして運ぶ。

メマの顔が疲れで火照った感じとは違う感じで紅潮する。メマを運ぶと倒れているジシットとセールのとこに向かい、二人を肩に担いで運んだ。

「これでよし。次は誰だっけ」

「アタシ」

次の対戦相手を呼ぶとクルサが特徴の大剣型の木刀を担いでやってきた。

「はぁ……ならこっちは木刀増やさせてもらうわ」

そう言うとアルフェーナは念動で二本の木刀を引き寄せると腰に差した。

「久々にガッツリ付き合ってもらうからっ!」

そう言うとクルサは踏み込んで木刀を振り下ろした。それを苦もなく半身になって避ける。

「いつも単調過ぎ」

これまでが二人のルーティンみたいな決まった対戦開始の合図だった。

「おらぁあああああああああああああああ!」

木刀を振り下ろした態勢から切り返して思いっきり振り上げた。それを一歩引いて反りながら避け、腕を打つアルフェーナ。

「づぅ!……しゃらくせぇえええええええええええええええええええ!!」

かなりの強さで打たれたのだが、木刀を手放さずに、逆に握りしめて振り下ろした。

「くっ!」

それを木刀で受け止めはアルフェーナ。でもクルサは根っからのパワータイプ。鍔迫り合いではどうしても不利になってしまう、なので鍔迫り合いをすると思わせて踏み込むと、それに呼応してクルサも踏み込んでくる。そのタイミングに合わせてバックステップすると、クルサが前のめりに倒れる、そこに木刀ではなく蹴りを放つ。

「ぬおっ!?」

蹴りを腕を上げてガードする。でも勢いで横に転がるクルサ。

「ちょっと!?蹴りなんて使わないで木刀使いなさいよ!」

「別にあなたなら問題ないでしょ」

「むうぅ~」

淡々と言うアルフェーナに口を尖らせて唸るクルサ。

「次から軽めなら魔法使ってもいいから」

「りょ~かい」

そういった矢先にクルサが魔法を使った。

使ったのは補助、普段使う身体強化は厳密には複合魔法、脚、腕、胴体、頭にそれぞれ使う魔法を同時に使うようにしたのが身体強化なのだ。

今回クルサは脚にのみ魔法を使い脚払いを仕掛けた。

それをなんなく自身も脚に魔法を使い受け止めるアルフェーナ。

だが気にした様子もなく片手を着いて逆立ちするとアルフェーナの顔面に蹴りを放つ。でもそれをやられる前にアルフェーナはバックステップで避ける。

片手を曲げて飛んで立つクルサ。着地した瞬間にアルフェーナが掌底を叩きつけて吹っ飛ばす。

「ぐぺっ!」

掌底を喰らって吹っ飛ぶクルサの胸ぐらを掴むと流れるように背負い投げをする。

「ぬおっ!」

「そぉいっ!」

背中から受け身をとれずに落ちる。でもただでやられるクルサではない。逆にアルフェーナの胸ぐらを掴むとグイッ!と引き寄せて鼻先に頭突きした。

「っ!?」

よろよろと鼻を押さえて後ずさる。その先に立ち上がるとハイキック放つ。

脚を払われて倒れるアルフェーナ。でもすぐに体勢を立て直そうと低い姿勢で入ると、そこに思いっきり蹴りが迫る。それを手で押さえると勢いに任せて上に飛ばされる。そのままクルサの後ろに着地すると、上段回し蹴りを放つ。

「ぐっ!」

それを木刀でガードするもがら空きになった脇に木刀が叩き込まれる。

「がはっ!」

たたらを踏むもすぐに構えるが、そこからアルフェーナの怒涛の連撃が叩き込まれ防御に回る。でもすぐに弾かれてバンザイした感じになってしまった。

「五連突き」

「ぐほぉっ!」

女性が出してはいけない声を出しながら倒れた。

そしてクルサが立ち上がる前に喉元に木刀を突き立てて動きを封じる。

「今回はここまで」

「アタシならまだまだ出来るよ?」

「あんたならそうでしょう。毎回ここから何かしらやって来るから怖いんだけど、今はみんながいるからダメなの」

「あぁ~、しゃーないか。今日はこの辺り一帯を吹き飛ばそうと思っていたから」

「やめなさい」

クルサの過激な発言にアルフェーナが淡々と諭す。

「ほらあっちに行ってなさい。次で最後だから」

「はーい」

クルサが軽やかに起き上がると戻り、入れ替わるようにベレンナとプラートがやって来た。

「よろしくねアル」

「最後だから華々しくやってやるぜ!」

「ほどほどにね二人とも」

アルフェーナが中段で構え、ベレンナが長剣並の長さの木刀を下段に構え、プラートは木刀……ではなくもう棍棒を肩に担いで腰を落とす。

「……とりあえず聞くけどプラート、それは何?」

「棍棒だ!」

「…………なぜ?」

「……実はな、俺が使う武器はだいたい拳かメイスなんだが、クルサみたく大剣型は何か違う、かといって普通になると重さがない、そして最終的に見つけたのがこれだった」

「削ればよかったのに」

「最初は丸太だったんだ。これでも削ったんだ」

「神官なのに不器用なんかい」

アルフェーナが呆れながら肩を落とす。

「まぁ雑談もこれくらいにしてさ……やりましょうか」

ベレンナがそう言うと空気が一変した。ほんわかしたのからひりついた感じへ。

最初に動いたのはなんとアルフェーナだった。

一息に踏み込んでプラートの懐に潜り込むと横薙ぎに木刀を振るおうとしたが、いち早く反応したベレンナが木刀を振り下ろしていた。なのでアルフェーナも木刀を振らずに木刀で防御、バックステップで距離をとった。

「ふぅ、油断も隙もあったもんじゃない」

「すまねぇ反応しきれなかった」

ベレンナとプラートは冷や汗を拭いながらアルフェーナを見据える。

「取れたと思ったんだけどな。反応速くなったねベレンナ」

にこやかにベレンナを誉めている最中に何の挙動もなく動き木刀を振るっていた。

「「無拍子(むびょうし)!」」

アルフェーナが使った体術に驚きながらもギリギリで左右に別れて避ける。

「マジかよ、その歳でそれが出きるのかよ」

「いままで見せなかったけど、最近使えるようになったのか、元々使えたのかどっちなのか気になるね」

無拍子は歩行系体術の最上級に位置付けられる。それをアルフェーナの年齢で使えるなんて、

「まじで天才だな。魔法も体術もとかな」

「それに学問もとか文武両道なんて生半可な言葉で表しちゃいけない感じ」

「ごちゃごちゃうるさい」

ベレンナに無拍子で接近すると突きを放つ。それを木刀で反らし続ける。ベレンナが距離をとろうとしてもアルフェーナが許さず張り付く。

「やらせねぇ!」

プラートもただ見ているだけではない、捌ききれなくなってきたベレンナの援護すべく、アルフェーナに踵落としを放った。それを急停止でスレスレで避けて、プラートの体に隠れて木刀をベレンナに投げつける。

ベレンナは気がついたら投げつけられた木刀に反応出来ず、当たった木刀が二本宙に舞う。それを尻目にプラートの懐で拳を構えたアルフェーナが連打を浴びせた。それを棍棒でガードするが逆に棍棒をほうが耐えきれずに破壊される。

「はぁあああああああああああああああああああああああ!!」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

アルフェーナの連打をかろうじてそらし続けるプラート。でも混ぜられてフェイントに引っ掛かり腹筋に拳を添えられた。

発頸(はっけい)・侵」

「ぐぶぅ……うぐぅうううううっ!」

くの字に折れ曲がり悶絶するプラート。

「はぁあああああああああああ!」

そこにベレンナが上段で木刀を振り下ろす。どうやら木刀をすぐに回収して来たらしい。でもアルフェーナもステップで避けるがそこで驚きをあらわにする。目の前には迫る木刀の切っ先が広がっていた。直後に強い衝撃が額を突き抜ける。

「がぁっ!」

呻き声を上げながら倒れるアルフェーナ。息を切らしながら木刀を下ろしてアルフェーナを見下ろすベレンナ。

「流石ベレンナ。ここまで意表着かれたのは久しぶりだわ」

負けたのにアルフェーナの顔は清々しさが浮かんでいた。

「まぁね。なんとしても勝ちたいから何とかしてこの形まで持っていきたかったから、運を引き寄せられたお陰よ。あとプラートのお陰」

そう言って倒れこむプラートに目配せした。プラートは白目を向いて大の字で倒れたままだった。

「勝者、ベレンナ、プラート。これからも私の相手をお願いね」

「えぇ」

これで全員の模擬戦闘が終わった。それから全員で浴槽で汗を流したあと、アルフェーナは街に向かった。



それでは小説ざっと紹介コーナー。

『無職転生』第八巻中編についてです。

思いがけずザノバと再開したルーデウス。それから学園生活をおくっているとザノバが人形作りをならいに来た。それからいろいろ思考錯誤していくもどうにもならないザノバ。これからどうするのかルーデウス!

この続きは小説か電子書籍をお買いあげください。

では次回もよろしくお願いいたします。

ではでは~

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