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複数戦

頑張ってます

次に出てきたのはメマ、ジシット、セールの三人だった。

「複数で出てはいけないとは言っていないですよね?」

メマがしてやったりといった感じの顔で尋ねる。

「えぇ、逆にそれくらいの可愛らしいイタズラでいいの?もっと悪どいことしてきてもいいけど」

アルフェーナは煽るように言い返す。

「そう、ならこれから見せていきましょう」

メマはあくまでも揺るがない感じで答える。でも後ろにいたジシットは嘘がつけない。つかないように口を閉じていたのだが顔に押さえられない笑みが浮かんでいた。ちなみにセールはちゃんとポーカーフェイスで立っている。

「なら見せてもらいましょう」

アルフェーナは重力魔法で木刀を引き寄せると中段で構えた。

「ふぅ……いくわよ二人とも」

「「おう!」」

メマは中段、ジシットは上段、セールは下段とそれぞれ構える。

先に動いたのは……やはりジシットだった。

「おぉぉらあぁあああああああああ!」

踏み込んでアルフェーナの頭上から力任せにシンプルすぎる一撃を放つ。

迫る一撃をアルフェーナは見つめながらも避ける素振りを見せずに木刀を逸らされるように当てて軌道をズラした。

「なめんなぁっ!」

逸らされるのがわかっていたジシットは地面に叩きつけた反動に返す木刀で追撃の放つ。

それをアルフェーナは仰け反るように避けへその少し上らへんに突きを放つ。

「ぐぺぇっ!」

ジシットが突きをモロに受けて悶絶する。それでジシットを戦闘不能にするが態勢がダメだった。それを見逃さないセールではない。

アルフェーナの顔に影が覆う。見るとセールが木刀を振り下ろしている最中だった。

そこでアルフェーナは滅多に使わない思考加速を使った。周りが急激にスローモーションになる。打開策を考える。

(魔法の迎撃ダメ、木刀の防御ダメ、手をついての回避ダメ、受けてしまう……ダメ、ならば)

思考加速を切る、そして木刀が到達する前に、思考加速中に練り上げた魔力を両腕に流して身体強化、到達前に木刀同士をぶつける。でもそれは防御の為でなく、

「くっ!」

「鍔迫り合い、つまり攻撃のため」

アルフェーナは木刀を回避または防御することは悪手だと判断、なので防御でなく攻撃なら想定しうる最悪は訪れないと判断したための現状になった。

だが鍔迫り合いしたところでアルフェーナは仰け反るような格好になっているので、背中に土がつく、はずなのだが。

「ぐぎぎぎぎぎぎぎっ!」

もう1センチで地面に着くはずなのに、ほとんど爪先だけで立っているような格好なのに、そこから押し込めない。

「もう少し筋力と身体強化の精密さを鍛練しなさいっ!」

そう叱責してアルフェーナがとんでもない上体からセールの木刀を弾いた。そこから流れるように態勢を建て直すとセールに脚を引っ掻けて転ばせた。

「うおっ!」

「出直しなさい」

空中に浮かび無防備に腹を見せているセールに向けて上段から木刀を振り下ろした。

「ふん!」

「ぐっ、がほっ!」

セールが悶絶して横たわる。

そしてアルフェーナは最後に残り、尚且つ最後まで戦闘に参加せず木刀を構えたまま微動だにしないメマに向き直った。

「ここまでなにもしてなくて……まさか何もないって言うんなら」

そこで一旦区切ると少し怒気を込めて言った。

「それ相応の事をしてもらいましょう」

そのプレッシャーを正面から受けたメマの顔に汗がびっしりと浮かぶ。だが構えだけは一ミリも動かさなかった。

「ふーん、なるほど。それほど自身があるなら……受けて上げる」

そう言うとメマを正面にとらえて構える。くしくもメマと同じ構えだ。

二人の間を一陣の風が吹く。

風が………………止んだ。

「はぁっ!」

先に動いたのはアルフェーナだった。

正面に構えたままステップで距離を縮めると振り下ろすと見せかけて突きを放つ。

それをメマは眼で捉えながら必要最小限に避ける。アルフェーナも避けられることは最初から考慮してあるのですぐに切り返した。だがメマも予想してまた避ける。

だがただ避けられるアルフェーナではない。メマの意識が木刀に寄せらるた時、バレないように脚をばしてから、後退しようとしたときに脚に散っ引っ掻けて転ばせた……かに見えたが、引っか下ろした状態なので次の行動に時間がかかってしまう。

それでも動かないメマ。どれだけ隙を見せても動かない、緊張で動けないのかと思われるがそうでもない。確実に何かを狙っているのにそれがなんなのかわからないけられる脚を引いて避けられる。

これすら避けられたことに怪訝そうに顔をしかめるアルフェーナ。そんなことより態勢だが片足上げて、木刀を振り。

「そろそろ攻めてきてもいいんじゃない?こんなに隙を見せているのにいっこうにしかけてこないのかしら?」

「…………」

アルフェーナの問いにメマは答えない。でも集中は切らない。でもそれも長くは持たない。メマは避けているだけなのに顔は汗でびっしょり、木刀を握る手もじっとりしている。

「このままじゃ勝手に終わりそうだから……こっちで終わらせて上げる」

そう言うとアルフェーナは木刀を持った手をだらりと垂らすと、まるで楽しそうにスキップをして近寄ると、手をしならせて木刀を振るった。

メマは避けずに立っていた。防ぐでも避けるでもなく、ただ立つ。そして木刀がぶつかる瞬間、その場で手を着かないで側転して同じところに着地して避けた。

そこでアルフェーナが怪訝な顔をする。木刀で肩をトントンしながら聞いてくる。

「まさかだけど……その避けるのがとっておき?」

「…………」

それに無言で見据えるメマ。

「…………なんかそろそろイライラしてきた。もう終わらす」

ちょっとキレ気味にアルフェーナが踏み出した。

メマはアルフェーナの猛攻を避けまくった。体を反らし、傾け、引き、横に飛び、後ろに飛ぶなどしているが絶対に木刀は使わなかった。

(なんでこんなに木刀を使わないのかしら?なにか仕込んでいる?でもそれなら使ってもいいタイミングはいくらでもあった、だからそれはない。それなら何を?)

そんな風に考えているもアルフェーナの攻勢は苛烈さを極めていった。速度が段違いになってきたのだ。こんな中でも切り返しての違和感を修正してより完成形に近づけようとしてきている。向上心がすごいが、それをやられる相手側としてはたまったものではない。

(もう避けきれない!でもまだダメだ!まだ()()()()()()()()!)

メマは焦っていた。アルフェーナ対策のために考え、磨き上げ、ようやく実戦に使えるまでになったのだが、実戦で使ったことがないのでまだ整っていなかった。

(どれだけ憧れの人に蔑まれ、屈辱的な瞳を向けられたって、最後に認めてもらいたい!)

その時極度の緊張感だったメマ、それも長くは続かない、普段ならもっと耐えられるはずなのだが相手はアルフェーナ、普段以上の緊張感に包まれていたのでそれが切れるのも早かった。

「あっ」

「…………はぁ」

突如ガクン!と倒れ込むメマ、それを冷めた眼で見ながらため息を吐きながら木刀を振り下ろすアルフェーナ。

ここでメマにとって幸運な偶然が重なった。

脱力をしようとしていたメマ、意図せず脱力感に見回れるも、極度の緊張により集中を切ることがなく、偶然にも力が抜けたのは脚のみ、上半身はまだかろうじて動く。そしてメマが使おうと思っていた技の射程圏内にアルフェーナがタイミングよく来たこと。

偶然に偶然が重なりすぎた、もはや必然がメマに味方し、それを逃がすほどアルフェーナに鍛えられているメマ。

(ここ!)

「抜刀 紫電一閃」

抜く瞬間を見せない超高速の抜刀術。アルフェーナの首を狙った一撃、それを察知するアルフェーナだが避けようにも振り下ろしている最中なので、避けても倒れこんでしまうので出来ない、

「くそ!」

なので手首を木刀を滑り込ませる。木刀同士なぶつかり甲高い音が鳴り、アルフェーナの木刀が宙を舞う。

「……合格」

この日始めての合格者が出た瞬間だった。

今回の小説ざっと紹介コーナーです。

『無職転生』第八巻前編についてです。

ゾルダート達と冒険したりしなかったりと毎日を過ごすなか、父パウロの元仲間のエリナリーゼと出会う。

それからはエリナリーゼと行動を共にしていると、ひょんなことから魔術学園に入学することになり、特待生で入学。教室に行くとそこにはかつて出会ったザノバがいた。

今回はここまでです。興味アルかたは書籍もしくは電子書籍をお買いあげください

ではでは~

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