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アルフェーナの稽古 前編

遅くなり増した

「それじゃ模擬戦始めるわよ!」

『はい!』

アルフェーナの掛け声と共にその日の訓練が始まった。ベレンナとプラートはアルフェーナの後ろで控えている。今回は見守る形になっている。

「まず始めにやるのは……ブレンナ」

「はい!」

それからアルフェーナとブレンナを残して他はベレンナとプラートの近くまで下がっていき、二人は森の方に近づいていき、一定距離離れた。

「こうやって対峙するのって久々?」

「そうですわね、授業でもチームとして行動していたので戦うこともありませんでしたし」

「そう……なら今日は存分に来なさい!」

「えぇ!そうさせてもらうわ!はぁあああああああああああ!」

開始の合図の火球が飛来した。

それをアルフェーナは避ける訳でもなく防御するでもなく火球を見つめてから()()()

「は?」

いきなり突拍子もないことが起きたのでブレンナが間抜けな声を上げてしまった。でもそれは仕方ないこと、見学していたクルサ、ベレンナ、プラートの三人を除いた全員が口を半開きにして驚きをあらわにしていた。

無理もないこと、普通自分の魔法ならいざ知らず、相手が放った魔法をさも当然のごとく掴むなんてどれだけ熟練した魔導師でも不可能な芸当だからだ。

「そい!」

更にアルフェーナはあろうことか投げ返した。

「きぁあっ!」

驚きで硬直していたブレンナは慌てて転がりながら回避した。

「はいチェクメイト」

「……くっ」

転がったあとすぐに顔を上げたブレンナの喉元に氷で出来たレイピアを突きつけていた。

「なかなかたったけど、まだまだ常識の範疇(はんちゅう)だよ。もっと予想外の事をしてこないとダメだよ」

「……はい」

ブレンナは弱々しく、でも悔しさが滲んだ声で呟いた。

「次、エルザ!」

「はい!」

ブレンナが下がるとエルザが駆け寄り、一定距離をで止まった。

「ブレンナより離れているけどいいの?」

「はい、私は魔法で倒しますので」

「ならやってみなさい!」

エルザの倒す宣言に口角を上げると手を広げて初撃を譲った。

「遠慮なくいかせてもらいます!吹き飛ばせ!《エアロバースト》」

エルザは大気の奔流を放った。

「これは流石に掴めないかな。《アイスシールド》」

アルフェーナは目の前に氷の壁を作りエルザの魔法を防いだ。

「くらいなさい」

そのままあろうことかアルフェーナは氷の壁を前面に押し出した。氷の壁が風の奔流に逆らってエルザに迫った。《アイスシールド》はそんな魔法ではないのだが、アルフェーナがやることなのでみんながいちいち驚くことを止めていた。

エルザは押し負けないまでも不利になると思い魔法はそのままに横に逸れた。横を土煙と共に《アイスシールド》が通過する。

「それじゃだめ」

しゃがんでいて土煙で視界が塞がれているエルザと違い、立っていたアルフェーナは土煙が出ていてもエルザの姿が見えているので関係ない。

エルザが声に慌てて見上げると既にアルフェーナが目の前で魔法を展開していた。エルザはすぐに横に逃れようとしたが首に氷の槍が突きつけられていた。

「転がるなら視覚を奪われる事を懸念して対策をとっておかないといけないよ。それ以外もあるけどそれは後で自分で考えること。はい次!」

エルザを立たせて下がらせると次はミグナットが前に出てきた。

「よろしくお願いします」

「うん、早速始めましょう」

「《石連弾(ストーンバレル)》!」

ミグナットの《ストーンバレル》がアルフェーナに飛来する。それをアルフェーナは首をかしげたり、手でそらしたり、脚と拳で迎撃した。

ミグナットはそれ見ながらも撃ち続け前進した。更に速度と数量を増やしていった。でもアルフェーナは涼しい顔で迎撃する。《ストーンバレル》がもう奔流とも言うべき数量まで行った時に、

「《氷の盾(アイスシールド )》」

アルフェーナがとうとう魔法でガードした。

それを待っていたかのようにミグナットが魔法をその場に維持したままアルフェーナの側面に走り込んだ。

「《土壁(ストーンウォール)》!」

アルフェーナが横目で走り込んでくるミグナットを見たとき、そのタイミングで《土壁》で視覚を塞ぎ、《土壁》がせりあがるのに合わせて飛び上がり、《土壁》を飛び越えてアルフェーナの頭に踵落としを放った。それをアルフェーナは片足を上げて受け止めた。

「くっ!」

「なかなかだね、この後をもっと上手く出来たらもっとよかったよ」

そう言うとアルフェーナは器用に足首を回して絡めると、そのまま回転して遠心力で投げをうった。

ミグナットは完璧に決まると思った奇襲が防がれて硬直しているところに投げられたので、受け身をとるのを諦めて腕をクロスさせていると地面に落ちた。

「うぐっ……っ!!」

「ここまで」

目を開けるとアルフェーナの足が目の前にあり寸止めされていた。

「奇襲を仕掛けるなら奇襲が成功した後の事、失敗した後の事を何通りか考えておかないといけないよ。それがあったら合格だったよ、いろいろな工夫が見えたから。でもこれは相手が足止めされているのがあってようやく出きることだからなぁ。…………これからあとは自分で考えること。次!」

ミグナットを下がったらベレンナが出てきた。

「いかせてもらいます」

「剣?ならこっちも」

ベレンナが腰に差している双剣を抜くと、アルフェーナも魔法で氷の長剣を作って対峙した。

「押して参る。はっ!」

低い姿勢で接近するベレンナ。 それを中段に構えながら動揺せずに待つアルフェーナ。

剣舞 壱の型 剣姫の舞

ベレンナがアルフェーナを見本に編み出した剣技を放つ。

「うふふ、面白い剣ね」

それをアルフェーナは態勢を変えて避け、長剣で反らし、弾き、受け止めたりと防いでいった。

「くっ!なら!」

剣舞 肆の型 剣鬼の舞

今度は打って変わって力強い剣技になった。流麗な動きから勇猛果敢な動きへと変わり、長剣から伝わる衝撃も倍以上になっていた。

この型はベレンナがクルサの苛烈さを表した型だ。ベレンナはクルサが剣を使ったのは見たことがないけど、使ったらこうなるかな?みたいな感じで改良していき出来たのがこれだ。

本物はここまで苛烈にならないんだが、ベレンナのイメージが膨れた結果だ。

「はぁあああああああああああ!」

片腕を上段、片腕を中段に構えて同時に振り抜く。それをアルフェーナは上段を剣で受け止めて中段を飛んでかわす。

更に飛んだ勢いを殺さず受け止めている剣を軸に回転、ベレンナの頭上を取ると踵落としを放った。

「はっ!」

「がはっ!」

防御が間に合わずモロにくらってしまうベレンナ。あまりの衝撃に視界がチカチカしてしまい倒れる。起き上がろうとした首元に剣をあてがわれる。

「ここまで」

「……」

悔しさが滲み俯くベレンナ。

「なかなかどうしてよかったじゃない。最初は技術で練り上げられた剣で翻弄して、次は真逆の力押しで来るなんて。切り替えもよかったし、どちらにも引っ張られていないのが評価に値するわ」

珍しく褒め称えるアルフェーナ。それほど衝撃的だったようだ。心なしか顔がウキウキしている。変化があまりないように見えるが。

「でも今は胸を借りる場ではなく私に挑む場だ。心構えが違うから剣の重みが違う。そこのところは弁えて、そうしないといつか後悔するわよ」

さっきまでの口調とは打ってかわって怒気をはらんだ声で言うアルフェーナ。それに当てられてたまらずうつ伏せでも距離を取ろうとしてしまうベレンナ。でもアルフェーナが言ったことは最もだったため口をつぐんでしまう。

「……大切な場面で間違えないようにね。次!」

最後は優しく言うと、重力魔法でベレンナを浮かせて後ろに下げると次の相手を呼んだ。

さてさて小説ざっと紹介コーナーのお時間です。

今回は『無職転生』第八巻を大まかについてです。

冒険者活動を続けるルーデウス。そこにエリナリーゼが現れた魔術学園に入学することになった。

特待生になったルーデウスはそこで懐かしい顔に出会い、目をつけられてトラブルをもらっていきます。

この続きは次回か原作を購入していただきたい。

ではでは~

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