ランニングと報告とおバカ達
遅くなりました。
それにそろそろ年末ですね
アルフェーナが森の中を駆け抜ける。倒木を飛び越え、頭上の枝に飛び上がり掴んで前方に遠心力で進む。岩を越え、小川をジャンプ、木々をジグザグに避けてぶつからないで進んでいく。その間もスピードは落とさずにだ。
「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅ…まだまだ!」
さらに追い込むためにスピードを上げる。木々を避けるのもさっきまでのまだ余裕がある避けかたから、スレスレギリギリを避けるようにしていた。
でもそうするとどうしても小さな枝や岩から突発的に飛び出ていたトゲで腕や脚、脇や顔に小さいながらも傷が出来ていった。
「まだ、まだ、まだ、まだだ!もっと速く!もっと見極めて!もっと鋭く!」
だんだんと体の後ろ側がブレ始めた。
そのブレが徐々に前面にまでずれていき体が影のようになっていった。
そうなるにつれてカクカクに避けていたのがスルスルと滑らかに避けていくのに変わっていった。
でもそんなことをずっと続ける事はさすがにアルフェーナにも出来なかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…もうちょっと体力つけないとな。こんなんじゃまだまだだ」
滴る汗を拭いながら息を整えていると横の木々から人影が出てきた。
「お久し振りです。姫」
「お久し振りです。お嬢さま」
現れたのは【竜帝】、アルフェーナの組織の幹部、セルネとミーゼ、そして二人の部下が数人現れた。
「何かあったの?あんな急に呼ぶなんて」
リーダー対決が終わりクルサ達のところに戻ったとき森の中からアルフェーナにだけわかるように合図が送られてきたので違和感がないように抜けてきたのだ。
「それで?」
「はい。なにやら我々にちょっかいをかけてきている者達がいるようです」
「調べたところ大商会や中規模商会複数に上級貴族、主に伯爵家が多く関わっているところが、我々の庇護化にある様々な店に嫌がらせをしてきています」
セルネの話の信憑性をミーゼが補うかたちで伝えてくる。
「…………嫌がらせ、だけですか?」
「はい、今のところは」
「どういたしましょうか」
アルフェーナは考え込む。普段なら即断即決で潰すと言うのだが、今回は被害らしい被害が出ていない。ただ嫌がらせをされただけ。それなら他のライバル店からも受ける。そんなのは店を出していれば日常茶飯事の事、そんなことでいちいち相手を潰していったらキリがない。
「ふむ…………まだ実質的な被害がないのなら放置しておきたいわね。でもこちらの一般の従業員に何かしらの接触があったのなら……数ヵ所の拠点を潰しなさい」
一応の対策を言ったのち、最後の一言だけに【竜帝】を統べる者として言った。
『了解いたしました!』
アルフェーナにひざまずき了承する面々。俯く顔には誰もが笑みを浮かべていた。
というのも、最近はアルフェーナが学園に入ったため本部に顔を出さず、それに実力もあった【竜帝】にケンカを売る組織がここ最近めっきり減っていた。そんな中に出て来て案件。セルネ達幹部連中は久々に暴れられると思いをのせていた。だが、それはアルフェーナの了承あってのこと。
でもアルフェーナは放置と言いつつ、ケンカを売られたら潰せと言ってきた。これにはセルネとミーゼは震え歓喜した。それは本気を出していいと言う了承だから、久々に暴れられることが嬉しかったのた。
「なんならこっちからバレないようにちょっかいかけてもいいしね……でも絶対バレないようにね」
「了解しました。そっちのほうは」
「私がやらせていただきます。大丈夫です、そういうのに適していて、なおかつ我々に足がつかない輩がいますので」
セルネの視線にミーゼが答えるように提案を言った。
「ならそうして、細心の注意、だけど生半可なやつはやるなよ」
「「はい!」」
セルネとミーゼが力強く返事をする。
そのあと少し話をしたあとアルフェーナ達は別れ、アルフェーナはさらに走り込んで汗を流したあとに戻った。
屋敷の中にはいるとお風呂のほうから、きゃっきゃっと騒ぎ声が聞こえてきた。アルフェーナはそちらに歩を進めた。
「…………ちょっと五月蝿いんじゃない?」
お風呂に脚を踏み込むとそこには全裸(まぁ当然だけど)で 走り回り、騒ぎまくり、のぼせかけている奴らで溢れていた。
「あっアル、やって来た。どこまで言っていたのよ。待ちすぎてのぼせちゃたわよ」
湯船に浸かりながら頬を上気させて手を振るクルサ。軽めに湯で汗を流したアルフェーナが湯船に浸かりにいった。
「ふぅ……」
『…………』
湯船に浸かるアルフェーナを無言で見つめる面々。
「なに?」
「いえいえアルフェーナさん。ただね、なにやら同年代よりなめかましいもので」
湯船から頭だけ出したクルサがアルフェーナの近くまですすっと来てボソリと呟いた。でもその呟きはお風呂の中に木霊した。その呟きに他の面々もうんうんと頷く。
「そうかしら?私としてはいつも通りだけど?」
当の本人であるアルフェーナは気にせずに手で掬ったお湯を肩にかけて吐息をはく。それがいっそう艶やかさを際立たせる。
「う~ん、アルはアタシ達より人生経験多そうだけど、やっぱりそっち系も経験豊富なの?」
クルサが珍しく顔を真っ赤っかにしながら聞いてきた。
「そうね……どうかしら?どう思う?」
頬を少し染めたアルフェーナが意地悪な笑みを浮かべて尋ねた。
……ボフゥ!
何を想像したのかクルサ達が茹でダコ見たく真っ赤になって湯気を立ち上らせた。
「お・子・ちゃ・ま」
アルフェーナがゆっくりと湯船から上がると振り向いてしっかり聞かせるように言った。それから髪を洗い、体を流している間も湯船にクルサ達はいた。もうのぼせる通り越してぐったり気絶しかけていた。そんな様を見たアルフェーナ魔法で全員を浮かせて水風呂に放り投げた。
「入りすぎ。脱水状態になっても知らないからね?」
『うぅ~~ん……すみません(スマン)』
口々に謝っているけど、眼は虚ろで全員口が半開きになっていた。
「そのまま聞いて。今日のことで全員自分の改善点が大体わかったと思う。だから明日からはそこを伸ばして、改善してを繰り返してもらいます。具体的には私とクルサの友人のあの二人に改善点をしてきてしもらうから、午前に伸ばす練習、午後に模擬戦をするっていう感じかな」
「その口調だとアルはやらないっていっている感じだけど?」
「そうよ?」
何か問題でも?と言った感じで首をかしげるアルフェーナ。
「いやいやそれはダメでしょ?」
「なんで?」
「??だってアルだって改善点があ…る……は、ず?」
そこで今日の振り返ったクルサが首をかしげる。
「あれ?アルが直す事って……なに?」
『…………わかりません(らないです)』
クルサの質問に一緒に水風呂に入っていた面々が考えるがわからなかったようだ。
「そういうこと。それにやらないといけないことがさっき出てきたから当分そっちにいくから。朝と夜はいるけどそれ以外はいないかもだから、アドバイスはあの二人に聞いてね」
『はーい』
それからクルサ達は水風呂とお風呂を交互に、アルフェーナは腰まで浸かってゆっくりと入っていった。
それでは小説ざっと紹介コーナー。
今回は『無職転生』第七巻中編についてです。
サラ達のパーティーに誘われて一緒に行動しているルーデウス。エリスとのあれこれでおっていた心の傷も段々と回復していった。
そんななかサラといい感じになっていく。
この後は本編をお買いあげください。
ではでは~




