二戦する
遅くなりました。
「てぇああああああああああああああああ!」
「おらぁあああああああああああああああ!」
開始と同時にメマとジシットが木刀を振りかぶってぶつかり合った。
「うらぁあっ!」
「ふっ!」
その脇を滑るように移動したアルフェーナとクルサが今度は対峙すると、クルサは大降りで拳を、アルフェーナはそれを反らすために手刀で受けた。そんな二組を支援するためにミーナは水魔法を強化を、エルザは風魔法の強化を行った。
どちらの二組も力と技のぶつかり合いだった。
メマとジシットは、豪腕で振るうジシットに対して流麗に反らし交わすメマ。
アルフェーナとクルサは言わずと知れず、力任せのクルサに技術のアルフェーナという対峙だった。
それをミーナの水魔法が流麗差に磨きをかけ、エルザの風魔法がスピードを加速させて力を増していた。
メマはジシットが振るう木刀を斜めにして脇に滑らせていた。
「オラオラオラオラオラオラ!そんなんじゃいつまでたっても俺は倒せねぇぞ!」
「わかってるわよ……そんなこと」
苦々しく答えながらもメマは打つ手が無く受け流していた。
普段のジシットの速度なら何度もメマに反撃の瞬間はあったのだが、それをエルザの風魔法が補っていた。
「このままだとジリ貧だわ。こうなったら!」
意を決したメマは木刀を肩に当てて体のギリギリに反らすと、柄でジシットの顎を穿った。
「がっ!はっ……」
おもわず仰け反るジシット。そのすきを見逃さず脚払いをかけるメマ、片足立ちになっていたジシットは宙に放り出された。
「くっ!」
(貰った!)
勝利を確信したメマは上段から木刀を振り下ろそうとした。
「させるか!」
それに気がついたジシットは手を着くと、それを軸に蹴りを木刀にぶつけた。
「くうっ!」
木刀は放さなかったものの後退してしまうメマ。その間に態勢を整えるジシット。
「これで仕切り直しだ!」
「……それはどうかしら?」
「なに?……っ!?」
メマの言葉に首をかしげたジシットだったが、数秒もしないうちに片足がガクリ!と力が抜けて膝をついた。
「どういうことだ!?」
困惑しているジシットにメマが一気に接近した。
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
それに気づいたジシットは防御に木刀を上げようとしたが、腕が上がらなかった。
「なっ……んで……だ!……がはっ!」
防御を出来なかったジシットにメマは木刀の切っ先で、下段からジシットの顎にもう一度穿った。
今度は盛大に宙を舞い、受け身もとらずに落ちた。
「っつぅ!にゃろうがぁ!」
ジシットが悪態をつきながら立ち上がろうと目を開けると、目の前に突きの動作に入ったメマがいた。
「はっ!」
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
首を傾けて避けるジシット。
「逃がさない!」
土に刺さった木刀を避けたジシットに向けて水平に薙いだ。
「ぬぅおらっあ!」
ジシットは迫る木刀になんと自分から頭突きを打ち込んだ。
「うそっ!?」
土に刺さったままだったので速度か無く、ジシットの力強さでメマの木刀がはね除けられてしまった。
それを見逃さずジシットは素早く態勢を整えた。
「……しまった」
「仕切り直しだ!……っぬぐぅ!?」
木刀を構えようとしたジシットがガクッ!と膝をついてしまい、立ち上がろうとしても膝がガクガクしてうまく立ち上がれずにいた。
「なに?」
「効いていないわけではないようね。ふぅ……ここが決め時ね。行くわよ!」
まだ膝を着いているジシットに向けて踏み込んだ。
「くそっ!」
なんとか迎撃しようとするジシットだが、木刀を構えることすら出来なくなっていた。そこにメマが水平に木刀を薙いだ。それにより飛ばされるジシット、そこに更に縮地で移動、上段からの振り下ろしで地面に叩きつけた。
「がふっ!」
「もう眠りなさい」
メマは優しく眼差しをジシットに向けると、鋭い突きを鳩尾に、素早い払いを顎に打ち付けた。
「かぁ……こん……のぉ……おぉ?おお……」
脳を揺らされたジシットは瞳を揺らしたが、白目を向いたが目蓋を閉ざさず、メマを睨み付けていた。
「さすがはジシットね……くっ」
メマはジシットを倒せたのを見届けると木刀を支えに膝をついた。
「はぁ……はぁ……はぁ……当分動けないわね」
メマは横目で隣で行われている戦いを見た。いや、それは戦いなんて生易しいものではない、命を懸けた死闘、相手を完膚なきまでに叩きのめす激闘が繰り広げられていた。
「おらぁあああああああああああああああ!」
「はぁああああああああああああああああ!」
ガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!
負けないという自負を乗せたクルサの拳、そんな拳をいなし、合間を縫って鋭い一撃をみまうアルフェーナ。
その二人の後ろで、風だけでなく光と闇も混ぜてクルサをサポートするエルザ、水だけに特化してサポートするミーナと別れていた。
「剛拳 壱の型 鬼拳!」
「柔拳 参の型 渓流」
中段に腰だめしたクルサ、その拳に三魔法のブーストをかけるエルザ、それに対していつも通り、リラックスした格好で構えたアルフェーナ、その掌に水魔法を邪魔にならないように纏わせるミーナ。
ガリリリリリリリリッッ!バゴォンッ!
素手同士で起きない音を響かせながらクルサの拳が反らされた。地面にクモの巣状にヒビが広がる。
「そらぁっ!」
地面に突き刺さった拳を支点に片手で逆立ち、脚を広げてコマみたく回転して攻撃してきた。
「うっ」
振動で脚をとられたアルフェーナは迫る脚をガードした。でも回転しているので何回も当たるのでたまらず横に飛ぶ。
「うぉらぁっ!もう一度ぶっ飛べ!」
態勢を立て直したクルサはアルフェーナに跳躍、拳を振り下ろした。
「甘いよ。柔拳 肆の型 双掌!」
両手をついた主胸の前に添えて腰を下ろしたアルフェーナは、迫る拳に向けて優しく触れてから力を流した。
「なぁ!?あっ、ぶべっ!」
それによって空中に止まるクルサ上段蹴りを顔にぶち当てた。周りながら横に飛んでいくクルサ。
「驚いたろ、双掌は柔拳の中でも珍しい攻撃型、これくらい簡単に出来るのさ」
「ふん!そんなのどうでもいい!必ず勝つ、今度こそ勝って上げるんだから!」
クルサは相も変わらず直線的に攻めの姿勢で怒涛に攻めて、アルフェーナは静寂に守りの姿勢で受ける。
「やれるものならやってみなさい。ちゃんと力で示してね」
打つ、撃つ、射つ。
反らす、弾く、打ち止める。
二人の攻防が続く続く続く続く、魔法を纏わせているので接触の度に火花が散る。それほどの力とスピードが込められていると言い訳なのだろう。
「……ここ!」
焦らされ続けてイラついてしまったクルサが僅ばかり振り幅が大きくなった。その僅に隠すようにクロスカウンターを顎に入れた。
「かっ……ま……たか……よっ……」
「楽しかったわよ」
脳を揺らされて崩れ落ちるクルサ。瞳がブレブレになって白目になりかける。
(また負けるの!まだ納得がいってない!まだ!)
「ま……だ……だっ!」
瞳に力が蘇る。落ちそうになる膝に力をいれて地面を踏みしめる。
「おらぁっ!」
油断しているアルフェーナの腹にアッパーを叩き込む。
「がふっ!」
予期せない一撃に呻き声を上げるアルフェーナ。
「もういっちょ!」
「そんなやすやすと貰うか!」
宙に浮いたアルフェーナに大降りで拳を顔面に叩き込もうとするクルサ、その拳の手首を掴みそれを支点にクルサの頭の側面に膝蹴りを入れる。でも腰が入っていないが、クルサも意識が朦朧としているので縺れるように倒れた。
「速攻!」
「のわっ!」
倒れながらすぐに態勢を立て直せるように倒れたアルフェーナが地面スレスレに蹴りを放つ。腕立て伏せの形になっていたクルサが迫る蹴りを腕をバネのようにして跳んで避けた。
「もらった!」
「……ぐほっ!」
すきを不安定な格好で空中にいるクルサの下に、潜り込んだアルフェーナが腹にアッパーを叩き込んだ。
さらにそのまま三角絞めに強行した。
「かっ……あぁ……か…………」
次第に白目を向き始めるクルサ。なんとか逃れようともがくが、ガッチリ決まっているので逃れられない。
「今回も勝ちよ」
「か……っそ……がぁ……」
粘りまくっていたがとうとうクルサが落ちた。
「ふぅ……私達の戦いはこれで終わり。あっちも終わって、最後は貴女達の戦い。ちゃんと楽しませなさい」
そう言い残すとアルフェーナはクルサを肩に担ぐと休憩場に歩きだした。
「わかりました」
「ありがとうございます。アルフェーナ様」
ミーナとエルザは去ってくアルフェーナの後ろ姿にお辞儀をした。
やってきました小説ざっと紹介コーナー。
今回は『無職転生』第七巻についてです。
三人旅が終わり、三人バラバラになったルーデウス達。
ルーデウスは焦燥とした感じで冒険者ギルドへ。そうからは依頼をこなす日々。そんななかルーデウスはあるパーティーに誘われた。それからルーデウスの物語は動き出す。
今回はこんな感じです。
それでは次回にではでは~。




