アルフェーナチームの戦い
遅くなりました
「ふぅ、なんとか間に合ってよかったわ!」
クルサがなんとも無しに生き生きとした顔で言った。
「そんなこと言ってクルサ様。先程からそこの茂みで見ていたではないですか」
「あっ、バレてた」
ブレンナが指摘すると隠す様子もなく肯定した。
「ちなみに他の三人はそこで寝ているから休憩場まで運ぶの手伝って」
「わかりましたわ……でも休ませて欲しいです。私もエルザさんも」
そう言うとこれまで振るえながらも立っていたブレンナが崩れ落ちるようにへたりこんでしまった。
「そりゃそっか。なら一旦休憩ってことで」
そう言うとクルサは茂みで寝かせている奴らを近く運ぶために歩きだした。
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「どうやらあっちは終わったみたいね。こっちも終わりそうだけど」
アルフェーナが髪をなびかせながら呟いた。足元にセールとポナームを這いつくばらせて、目線は脇のミーナとメマがミグナットと対決しているのを見ていた。
「はぁあああああああああああ!」
「風よ撃て 《風の砲弾》!」
「くっ!塞き止めろ《土壁》」
ミーナが放った風の魔法をミグナットが土の魔法で防ぎながら、接近してきたメマの木刀を大きく距離を取ってかわした。
「はぁ……はぁ……やっぱり二人相手はキツいですね」
顎を伝う汗を吹きながらも注意深く相手を見ながら言った。
近接のメマに後方からのミーナの魔法、それをミグナットはメマに接近して避けながら戦闘を進めていた。
メマは主に身体強化魔法に魔力を使い、木刀を振るうときにブーストとして風魔法を使っている。
ミーナはメマの邪魔にならないように当たっても飛び散りで被害が出ないように火と岩系は無しで、水と風系で攻めていた。
その二人に対してミグナットはメマと同じく身体強化魔法なのだが、体に七割で視覚に三割で相手の動きをとらえて避けることに集中させていた。でも合間に攻撃で水魔法を放っていた。
「はぁあああああああああああ!」
それをメマは避けたり、木刀で弾いたりと捌いているが、木刀なのでリーチと小回りが聞きにくいので三回に一回は被弾していて、それでダメージを受けたり服が濡れて動きが鈍くなり、それで更に被弾するという悪循環に陥り始めていた。
「やらせない!」
でもそれをミーナが風と火の混合魔法の《乾燥》で服を乾かしたり、初級治癒魔法の《小回復》をダメージを受けたとこに一点集中で即座に治していった。
お互いに決め手にかけており泥沼状態になりかけていた。でも時間がたてば魔力が回復するとは言え、限度がある。魔力はこんな頻度で減らしていったらいつかは無くなる。
それが先にきたのはミグナットだった。
「くぅうううう……キツい」
ミグナットの身体強化が段々と弱まってきた。
「そこぉっ!」
「押しきります!」
それを見逃さずメマとミーナが怒涛の攻撃を仕掛けていった。
たまらず後退するミグナットだが、メマの身体強化が上になっているのですぐに追い付かれる。逃げれないと悟ったミグナットは強化を腕に集中させて防御に一点集中した。これでなんとかメマは防げるように戻ったがミーナの魔法はドンドン当たりだした。
それを少し離れてみていたアルフェーナは思考するように考え出した。
「このままだとこっちが勝つのは必然だけど……これだとなんか面白くないわね。どうしたものかしら?」
なにやら不穏なことを考えているアルフェーナだが、アルフェーナは自らに魔法を使わないと提言しているので援護もしづらい。石とかを投げるという選択しもあるが、アルフェーナならそれが出来てしまう。出来てしまうのだが威力の調節が出来ないというのが難点だ。スピードをつけてぶち当てたらミーナとメマが怪我をしてしまう、もしかしたらそれで戦闘不能になってしまう。
「どうしようかしら……見守っているだけでもいいかな……あっ、木刀に当てるようにすればいいかな。なら善は急げ、そおれ!」
ヒュン!と音と共にアルフェーナが投げた小石が、ミグナットの脇に当たりそうになった木刀に当たって弾いた。
「なっ!なに!?」
いきなり木刀が弾かれたことにメマが驚いてしまい、攻撃の手が止んでしまった。
それを見逃さず、ミグナットはミーナからの魔法を当たりながらも後退した。
「メマさん、気を取り直していきましょう。もう一度やり直して、そうすれば勝てます!」
「えぇ!いきましょう!」
一瞬の疑問を横におくと、ミーナとメマはミグナットに再接近して攻撃を再開した。
ミグナットも混乱しながらも、気持ちを切り替えて応戦し出した。戦況は変わらない。
「もういいかな。ここまでやって突破口は見つけられないし、無駄に長引かせるのも意地悪だしな……おっと、終わったみたいね」
「カハッ!」
アルフェーナが眺めているなかミグナットがメマの木刀を顎に受けて倒れた。どうやら勝負がついたようだ。
アルフェーナは足元に転がる二人を担ぐとミーナ達の元に向かった。
「終わってなによりだけど時間掛かりすぎよ。こんなんじゃ連戦なんて出来ないわよ」
「ごめんなさい、でも勝てたので」
ミーナが肩で息をしながら呟いた。
「まぁいいわ。歩けるくらいに休んだらこの子達を運ぶから。……そうすればちょうど出会うだろうし」
最後は聞こえないくらいの声だった。でもアルフェーナの提案が出る頃か、出る前くらいには二人は地面にへたりこんで休んでいた。
「……まったくも。まぁ今のところはそれでいいわ……よく頑張りました」
文句を言いつつ、アルフェーナは最後に優しい口調で労った。それが二人にはなによりのご褒美だった。
「「ありがとうございます」」
「どういたしまして……私が周り見ているからもう休みなさい」
アルフェーナは優しくいいながら指を鳴らすと、カクンッと糸が切れたように二人が倒れこんで眠ってしまった。
「はぁ……こんなに簡単にかかっちゃダメだよ。なんだかウジウジ言ってしかいないな。こんなんじゃ誰もついてこないな、私も直していかないと」
アルフェーナは気を取り直して周囲の警戒をしだした。
それはミーナとメマが起きるまで続き、起きると既に起きていた三人を連行して屋敷まで向かった。
屋敷に着くと反対側の茂みからクルサ達がちょうど現れた。
『あっ』
「予想通り」
クルサ達は驚く顔をしているが、アルフェーナだけが当然という顔をしていた。
それから敗退者を椅子に座らせる。
「ミーナさん」
「エルザさん?」
エルザがミーナに話しかけた。リーダー同士の話し合いだ。
「ここで勝敗を決めるのはどうでしょうか。もちろんブレンナ様達に違いが及ばないように障壁を張ってです」
「…………そうですね、その方が憂いがありませんね」
「ならその障壁は私とクルサが張るわ。それくらいならルールを破ったことにはならないでしょ」
「えぇ苦手なんだけど」
「グチグチ言わない」
アルフェーナがクルサを嗜めながら障壁を張る。
「「ほらリーダー。始めるわよ」」
アルフェーナとクルサの問いに、エルザとミーナが頷いた。
これから最後の対戦が始まる。
やってきました小説ざっと紹介コーナーです。
『無職転生』第六巻後編についてです。
龍神に襲われたルーデウス達。なんやかんやおきて奇跡のような連続で生還できたルーデウス達。
それから町までいくと、約束でルイジェルドと別れたルーデウスとエリス。
この後は本書にて。
ではでは~。




