ベレンナ対クルサ
遅くなった申し訳ない
「なんかあっちは終わったみたいだね。こっちもそろそろかな?」
ジシットとセールの戦いを横目で見ながらケラケラと笑いながら言うクルサ。それから今対峙している人物に視線を向ける。視線の先には木にもたれかかって荒い息をしながらも木刀を構えているベレンナがいた。
「そう……ですね……こちらとし………ては……諦めてほしいですが」
「いやいやそれは無理な相談かな。ほらほらかかってきなさい」
「いわれ……なくてもっ!」
息を整えるとベレンナは低い姿勢で接近して脚に向けて水平に振った。それを軽めにジャンプしてかわすクルサ。普通ならそこで反撃するがあえてしないで次を待つ。
それをわかっているベレンナは苛立たずに落ち着いて顔面に突きを放った。それもクルサはクルリと木刀を回転させて側面を払って脇に流す。ベレンナの顔が少し歪む。流石に渾身で自身最速の突きを軽々しく反らされるのは堪えるようだ。
「まだまだダメね。この程度で顔を歪めていちゃ漬け込まれるわよ?こんな風に」
「くっ!」
そう言うとベレンナがギリギリ反応出来る速度で振り下ろしをした。
ベレンナは反らされて態勢を崩していて受けることが出来ないと悟り脚に魔力を集めて足裏を爆発させて横に飛んだ。いきなりの爆発に驚いた。この程度ではダメージなんてものはないのだが土が飛ばされ顔面に直撃して仰け反った。
「ふべぇっ!」
間抜けな声をあげながら倒れるクルサ。それを見逃さずにベレンナはすぐさまもう一度足裏を爆発させて接近、でもすきだらけの上半身じゃなく片足立ちになっていて死角になっている足に向けて水平に薙いだ。
(とった!)
そう確信したとき脚に当たる直前の木刀が地面に縫いつけられたのだ、真上から脚に踏まれてだ。
「んなぁ!?」
まったく意識していなかったベレンナが驚きの声をあげる。何が起きたかわからなかった、なぜ自身の木刀が足に当たらず脚に踏まれているのか。訳がわからなかった。
「何が……起きて……っ!きゃぁあ!」
ベレンナが困惑していると右から迫る蹴りに遅れながら気がついた。避けることが出来ないとわかると腕でガードしたが飛ばされてしまった。でもベレンナにはそれが疑問だった。
「なん……で防御でき……たんだ?」
本当なら防御なんて出来るわけがないのだ。それほどにベレンナはすきだらけだったからだ、それこそ素人に毛が生えた程度の実力でも打ち込める程にも。
「そんなのアタシが防御出来るように軽めに蹴ったからに決まっているじゃない」
ベレンナの疑問がわかっているかのようにクルサが軽めに答える。
「なんで考えていることが?」
「顔に書いてあるわよ」
クルサが自身の顔を指しながら笑いかける。そう言われ慌てて顔に手を当てるベレンナ。心なしか頬が赤くなっている。
「でも教えてくれてありがとうございます。これで改善出来ます」
「うんうん、それでいいのよ。アタシとアルはこういうことをするために制限をかけているんだから、ジャンジャン来なさい」
「はい!」
ベレンナがさっきのように切羽詰まった感じではなく意気揚々、クルサの胸を借りる思いで向かっていった。
「はぁあああああああああああ!」
ベレンナの剣はさっきと違いキレが増していた。緊張から解放された影響なのだろう。
だが一番変わったのはスタイルだった。実直なまでに型にはまっていた先程とは違い、思うがままに剣を振るう今はまるで舞を舞っているようだった。
これがベレンナがアルフェーナに近づくために、アルフェーナの剣を観察して編み上げたオリジナル剣術。
剣舞壱の型 剣姫の舞
アルフェーナのように無駄を無くして最短最速を突き詰めた剣とは違い、ベレンナは無駄はあるものの止まることなく、更に変幻自在に変わるため、予測不能の剣になっていた。
「くっ……やるねぇ」
当然クルサはアルフェーナの剣を何度も交えているため、アルフェーナを模倣したベレンナを捕らえることは出来るはずなのだが、両者の剣は異なっていた。なのでアルフェーナに慣れすぎたクルサは苦戦していた。
「っ……にゃろう」
ギリギリ頬を掠めた一撃にイラッとするクルサ。溢れた気配にビクリとして隙を生んでしまった。そこに適当に横薙ぎをするクルサ。それをかなり仰け反りながら避けるベレンナ。そのままブリッジして爪先で蹴りながら回転した。
それを上半身だけ反らして避けた。
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
いきなり至近距離から浴びせられたクルサの殺気乱れまくった息をゆっくりと整えるベレンナ。
「ごめんごめんベレンナ。煩わしすぎて苛立っちゃったよ」
「いえいえクルサ様、こちらこそ面目ありませんでした。ですがこちらとしてはいままで無関心でしたのでそれが変わったことが嬉しく思います」
「それはよかった!」
そう言いながら上段から振り下ろすクルサ。それを今度は正面から受けるベレンナ。でも当たった瞬間腕の力を抜き、刃に添って滑らせた。いきなりのことでツンのめるクルサ、そしてちょうどいい位置に来たら木刀をはねあげて顎を打とうとした。
でもベレンナは態勢を崩すが木刀を受けるよりはましだと思い避けた。
「あぁベレンナそれ意外と悪手なんだよ」
クルサは残念そうにして振り上げた木刀を態勢を崩しているベレンナに突きを放った。
「っ!」
避けることも受けることも出来ないとわかったベレンナは腕を交差して目をつぶってしまった。
「はい終了~」
すんでのところで木刀止めたクルサが気の抜けた声をいいながら言ってきた。
「ベレンナ、最後だけダメだったね。最後のは思いっきり受けて耐えきらないといけないんだよ。無理ならなにがなんでも避けたあと構えないと、そうするためにどうするかすぐに考えないとダメだよ~」
「は……い……」
かなり悔しそうにするベレンナ。
「次から頑張ろうね。今回はアタシの勝ち、また野郎ね」
「はい!」
これで勝敗が決した。
ベレンナ対クルサ クルサ勝利
小説ざっと紹介コーナーの時間です。
今回は『無職転生』第六巻の前編についてです。
シーローン王国に向かうことになったルーデウス達。その道中に米に出会い、楽しくやっていたのだが、いざ王国に来ると見知らぬ少女に助けを求められてしまった。そして助けたのだが話を聞いてみるとなんと少女の正体が!?
この後は次回か小説をお買いあげしてください。
ではでは~




