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試合終了とベレンナの稽古

遅くなって申し訳ない!

見捨てないで!

「はぁー終わった終わった。早く帰ろうか」

そう言いながらアルフェーナ達、【精霊会】の面々は魔剣学園の校門を(くぐ)っていた。魔術学園と魔剣学園の【魔法剣術研究会】は体育館に残してやって来ていた。誰も彼も止める者がいなかったためだ。

「それにしても歯応えなかったはアル」

ぶつかるような勢いで肩に手を回しながらクルサが聞いてきた。

「そうね。私とクルサよりも鍛練時間は長いはずなのにあれじゃ……呆れる」

そう言いながら溜め息をつくアルフェーナとクルサ。

そんな二人の肩が叩かれた。二人が振り向くと、他の面々が半分呆れ、半分苦笑で出向かえた。

「「どしたの?」」

「えっと……ですねお二方、本来学生というのはああいうものだと思うのです。こちらのメマさんしかり、あれが普通です。お二方が異常です」

エルザがズバッと言ってきた。

「そ、そこまで言わなくて……」

「そこまで言うことなのよ」

クルサを遮ってブレンナがツッコんだ。ブレンナの後ろもうんうんと首を振る。

「そもそも、あんなことをしておいて謝りもせずに立ち去るなんてダメに決まっていますわよ?」

「……じゃなんで出るとき止めてくれなかったの?」

「アルフェーナ様は止めても止まらないでしょ!」

正論を反論しようとしたら正論で返されたアルフェーナであった。

「う~ん、いいのいいの。私がいた方が問題になってどんどんややこしくなると思うから」

「たしかに~」

アルフェーナの軽口に賛同するクルサ。それに続くように他の面々もウンウンと首を振る。

「でもあんなに弱くてプライドが高いってめんどくさいこの上無いわね。しかも一名騎士道精神なんて持ち出してきたやつもいたし」

「あれはキツかったね~、古くさくてどうにかなんないかなって思った」

アルフェーナとクルサがわかるわかると言った感じに頷いているとフルルが聞いてきた。

「なんでそんなこと言うんですか?騎士道精神って尊敬すべきことだと習ったんですけど?」

フルルを見るため振り向くと他もそう思っておるのか首を傾げていた。

「う~んそうだね……」

「別に本当に要らないって思っている訳じゃないの」

回答に迷うクルサを退けてアルフェーナが答えた。

「たしかに騎士道精神は大切よ。それがなかったらルール無用の殺し合いになる。それを防ぐためだったら必要だけど、それ意外の戦闘に関しては邪魔な存在。そのせいで負ける人なんてザラに出てくる。そんなことをしていいのは力があって苦もなく出きる奴にしかできない」

「そうゆうこと。でも力があっても傲慢になっちゃダメ。だから苦もなく出来ることはもっと苦もなく出来るようにすればいいの」

アルフェーナにクルサが賛同する。

「う~ん、私にはまだそう言うことはわかりません」

(わたくし)もですわね」

それにならうように他もウンウンと頷く。

「まぁそうですね……なら後で私とクルサの共通の友人をこちらに呼びます。ちょうど剣の名家なので」

「うん、あぁあの人?なら【魔法剣術研究会】も一緒にやってもらう?そっちの方が楽しそうだし」

クルサも久々に友人のあの人に会えるのが嬉しいようだ。冒険者ランク8、処刑騎士のベレンナ・セル・ボパルと。

「ならメマ、まださっきのところにいる人達にこの話してきて、一週間後にやるは」

「わかったわ。なら先にいっていて、すぐに追い付くから」

『わかった』

そう言うとメマは回れ右して走っていった。アルフェーナ達は校門を抜けて自分達の学園に向けて歩き出した。

アルフェーナ達がいなくなって暫くたつが、そこにいる面々はいまだに放心していた。それもそのはず、片や当初剣術で女性に負けるわけがないと思っていたのに、しかもこちら有利の審判なのに完膚なきまでに負けさせられ、片や負けて実力は認めていたものの、さほど離れていないと思っていたのにその歴然とした差を見せられたのが原因だった。

「俺達の今までの努力は意味がなかったのか?」

「そんなこと……はないはずだ。ないはずなんだ……」

モルツが放心しながら呟いた言葉をとなりにいた生徒が違うと言おうとしたが、どんどん声が小さくなっていき弱々しくなっていった。それもアルフェーナとクルサのせいなのだが。

「まさかあの二人があんなに強いなんてな」

「あぁ、俺達なんて足元にも及ばない」

ザカルとジシットが同じ学園なのに何もかもが違いすぎる実力を見せられ項垂れる。それから暫くしても動かない面々だったが、扉が勢いよく開かれる音で顔を上げた。そこにはメマが立っていた。

「ここにいる全員に通達します!一週間後に剣の臨時講師を呼んで訓練を行います!来たい方は自由参加でよろしくお願いします。以上です!」

そう言うとメマは踵を返し走っていった。あとに残された面々の顔にはいろいろな感情が浮かび、最後に全員同じ感情になっていた。つまり……

(俺達もそれに参加したい!)

ただ強くなって少しでもアルフェーナとクルサに追い付きたい、それだけが体を動かす力になっていた。

『頼む、俺も参加出来るように取り計らってくれ!なんでもするから!』

全員がメマに向きすぐさま土下座してこうがんしてきた。

「ちよっ、ちょっと待って、自由参加って言ったでしょ!?それなのに取り計らうとか無理だし、だからそういうことで!」

メマは早口で捲し立てるとすぐさま帰っていった。残されたのは土下座の団体だけ。

「……いいのか?」

誰かが不意に呟いた。それにともないあちこちが、ざわめきだした。

「やった……」

「やったぞ!」

「俺達にもチャンスが!」

各々喜んでいるとジシットがあることに気がついた。

「あれ?そう言えばメマのやつ。日付はいったが、時間と場所……言ってなくないか?」

全員がジシットを見る。そして一泊後、

『ちょっと待ってくれ!時間と場所を教えてくれぇえええええええええええええええええええええ!!』

その時、両学園の気持ちは一つになったのだ。

「呼ばれてやって来たわよ~」

「ついでに俺もな」

試合から一週間後、魔術学園の第五研究練の実技場に試合当日にいた面々全員が待っていた。

実技場に入る前にベレンナとなぜかついてきていたプラートに今回何をするのか軽く打合せして、誰が来るのかわからない全員の前に引っ張っていった。

「という訳で、今回特別に来てもらった二人よ。一人はいきなりだけど」

「初めまして、今回呼ばれた講師のベレンナ・セル・ボパルよ。よろしく」

「初めまして、今回呼ばれなかったけど勝手に来たプラートだ。よろしく」

「二人とも冒険者ランク8の強者だから、聞きたいことなんでも聞いてね」

そうアルフェーナが締めくくると、最初は基礎練こら始まった。

「まず走り込み一時間、装備一式を着けてね。そのあと素振りだから。はい始め!」

ベレンナが手を叩くと全員一斉に動き出した。

まず装備一式を着けると整列、そこから走り出した。それから暫く見ているとベレンナは走っている列の横に位置付けて話し出した。

「そんなんじゃだめだよ。確かに行軍の時はそれでいいけど、今は体力作りとその状態での走り方を学ぶためのなの。今そんなザッザッザッ音を立てて走っちゃダメ。ああいう風に走らないと」

そう言って後ろを指した。生徒達が振り向くと何周目かの追い越しをかけようとしているアルフェーナ達がいた。

「うん?ベレンナどうしたの、並走して」

「走り方教えようとしていたの。という事でみんな、アルフェーナ達の走り方をよく見て、どうすればいいか考えて、あとを走って」

「……したたかね」

「貴女程ではないわよ」

お互いに皮肉をいう二人。

「仕方ないから使われてあげる。みんないくわよ」

アルフェーナは後ろにいたクルサ達に声をかけるとペースを上げた。

「ちょっと待ってアル」

「アルフェーナ様!私達が着いていけません!」

「もっとペースを落としてくださいまし!」

非難轟々(ひなんごうごう)のクルサ達だが、ちゃんと着いていっている。

そんな後ろ姿を【魔法剣術研究会】の面々は見ていた。

「全然走り方が違う」

「俺達は背筋を伸ばしているが、あっちは前に傾いている感じに走っているな」

「それ意外にも足裏も踵から爪先まで全部着いている」

「あれが正解なのか?」

口々に考察している者、体を使って実践して覚えようとする者、その両方を同時にやっている者などと別れていた。

「もういいかしら?……ならいくわ。それと終了までにアルフェーナに追い越された分だけ」

「追い越されませんよ教官殿。一周するのにどれくらいかかるか」

ベレンナの言葉を遮り喋るモルツ。そんな姿に溜め息をつくベレンナ。

「なら精々頑張りなさい。ちなみに、追い越された分だけ次の稽古のレベルを上げるから」

そう言うとベレンナは【魔法剣術研究会】の面々から離れた。

それから時間までベレンナが生徒に近づくことはなかった。

「はいしゅう~りょう~」

ベレンナの声が響くとみんながみんな床に倒れ込んだ。四つん這いになる者、大の字に寝っころがる者、半身で寝る者。中には立っているものもいるが、膝に手をついて荒く息をする者、膝が盛大に笑っている者。

そんな者達の中でアルフェーナとクルサは、汗が出ているが息は落ち着いていている感じだった。

「さすがね。アルにクルサ」

そんな二人にベレンナが近づく。

「いやー久々に疲れた。いつもコントロールとかしかしてなかったから鈍っているかもって思ってたけど、意外にも動けた」

「意外に動けたってダメな表現よクルサ、ちゃんと鈍らせないようにしておきなさい。()()をするとき動けないってなったら、吹っ飛ばすわよ」

「わかったわかった!そんな睨まないでよ」

そんな風に軽口を叩きながらも息を整え、軽いストレッチをして体をほぐす二人。

「そう言わないの。でも二時間ハイペースの走り込みでその疲れようはさすがね。体力別格」

「それより何段上げるの稽古レベル」

アルフェーナが意地悪な笑みを浮かべながら聞いてきた。

「それなのよ。アルとクルサは並んでいたからいいとして、まず【魔法剣術研究会】は最大の十レベル、【精霊会】は三レベル上げてやるかな」

ベレンナは含みを持たせた笑みを浮かべた。

「よし今日1日みっちりやってやりますか!」

「「「お手柔らかにー」」」

アルフェーナ、クルサ、プラートがこれから行われることに苦笑していた。

今回も小説ざっと紹介コーナー。

『無職転生』第四巻中盤に着いて紹介します。

キシリカから新しい力を貰ったルーデウス。それによりなんとエリスに勝ってしまう。

そのせいで塞ぎ混むエリス。なんとか立ち上がり魔大陸を出るために船に乗船する。しかしその船にはある秘密が。

続きは小説にて。

また次回をよろしく~

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