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尋問と説得

遅くなって申し訳ない

「さぁキリキリ吐いてすっきりしよう」

「そうそう」

アルフェーナが椅子に座りながら目の前の椅子に固定したセールを見る。隣のクルサは軽い笑顔で椅子の背に顎をのせていた。

「……誰が言うか」

セールは仏頂面で呟いた。

「てめぇ立場分かってんのか!」

ザカルが部室の机を蹴っ飛ばして怒声を飛ばした。

「てめぇが俺達を洗脳して罠仕掛けるように仕向けたんだろうが!そのせいでこうなって」

「うるさい先輩で迷惑な先輩」

「……あ?」

クルサが鬱陶しそうに呟いた声にザカルが振り向く。その顔はいまにも殴りかかりそうだ。

「だってその人捕まえた手柄は私達にある。何かってに聞いて、暴力振るおうとしているの?バカなの?」

「俺達にはそうする権利が」

「ないわよ?」

ザカルの反論に重ねてアルフェーナが言う。

「それに()()じゃなくて()でしょ?あなたは自分の理不尽な怒りを正当化するためにみなさんを巻き込んだだけ」

「ぐっ……ぐぅ」

ザカルは反論出来ず俯いて拳を握りしめるしかなかった。それが正論だったからだ。ザカルはゆっくりとセールから離れ窓際の壁に寄りかかった。

「なら改めて質問よ。()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「!!……どこまで知ってる」

セールの顔に驚きの表情が浮かぶ。そのあとすぐに苦々しく歪んだ。

「……試したな」

「せ~い~か~い」

アルフェーナがにっこりと笑う。

「卑怯者が!」

「あなたにだけは言われたくないけど、まっいっか。ゆっくり聞くね?1、2、3、4……1か」

「っ!……なぜ分かる」

「顔に出てるよ」

セールの悪態にアルフェーナは飄々(ひょうひょう)に自分の顔をつついた。その通りにアルフェーナは相手の顔から出てくる小さな情報で正解を導いた。

でもセールとて一流とは言わないながらも顔に出すなんて初歩的なことは起こさない自信があった。が相手が悪かった。アルフェーナはこういうことをセルネから多く学び身に付けていた。意識せずでる顔の細かな痙攣(けいれん)、脈の早さ、心臓の鼓動を判断材料にしているのだ。一流とかになってくるとそれすら騙してくるから厄介なのだが、セールにそんなことは出来なかった。

そして質問はどんどん進んでいった。セールも途中でアルフェーナの方法に気付き、自分なりな抵抗したが、それすらも読まれて質問され続けて、情報を抜き取られていった。

「うん、こんくらいでいいかな?聞きたいことは、必要な分と余剰分もいろいろ聞けてよかったよ」

「くそったれが!」

まるでに怨敵(おんてき)にいうかのように怨嗟(えんさ)の言葉を吐くセール。

「さぁいくわよみんな」

そう言うとアルフェーナはセールを固定していた縄を切り裂くと、セールの襟首をつかんで引きずりながら戻りだした。

「おいっまて!そいつを置いていきやがれ!」

だがそんなことを良しとしない者、ザカルが静止をかけた。

「……まだなにか聞きたいことでも?」

もうこれ以上聞くことなんてないのでは?といった感じの声で振り替えるアルフェーナ。だがザカルはそれとは別のことを考えていた。

「そいつは俺達を洗脳して誘導していた。その落とし前をつけなきゃならない。だから置いていってもらおう」

「嫌です」

とりつく島もなく即答すると再び歩き出すアルフェーナ。

「なぜだ!確かに捕まえたのはお前達だがこちらにもそれ相応の権利が……」

「ないでしょ。てかあるわけそんなの?」

クルサが不思議そうに聞き返す。

「確かに洗脳されたのには同情するけど、解除しきれなかったあんた達も悪いわよ?」

「なに?」

「こいつがかけた洗脳はて言うか、洗脳ってレベルでもなんでもない誘導魔法はきがついきさえすれば誰にでも解ける魔法だったわ。まぁそこの大男さんには何重にもされていたから無理だけど、それ以外は初歩中の初歩ぐらいの感じだった。だからこの件であなた達の中で意見を言えるのは大男さんだけよ?」

「ぐっ!……ジシット、なにか聞きたいことはあるか?」

「おれは、特に何も」

特に気にしていないジシットだった。

「っ……くそ!」

苛立ちのあまり床を蹴りつけるザカル。蹴った床は床板が抜けていた。

「…………」

アルフェーナはもう何もないと分かるとセールを引きずりなら立ち去った。クルサ達もその後を追っていった。残された【魔法剣術研究会】はまたも立ち尽くすしか出来なかった。ただ一人を除いて。

「…………行くか」

「えっ?」

隣から聞こえた声に不意に答えたザカルが眼にしたのは、カバンを手に歩いていくある人物の姿だった。

部室に着くとアルフェーナはセールを空中に(おど)らせた。

「のわぁあああああ!」

いきなりのことで驚くセール。叫びながら眼を瞑り落下の衝撃に備えるもいつまでたっても来ない。恐る恐る眼を開けるとセールは床数センチのところで止まっていた。

「へ?」

驚きのあまりまたも変な声が飛び出る。

そんななかアルフェーナは指をタクトのように動かして近くのイスを浮かせて運び、浮かしたままのセールを近くのイスに頭から落として、自分は運んだイスに腰かけた。

「さてと、これから尋問を始めます」

「っ!」

「まずは……生年月日から」

「…………はい?」

重々しい雰囲気から身構えていたセールに一転、気の抜けた声で予想外の質問を投げ掛けられ、言葉をつまらせてから間抜けた声をあげるセール。

それからアルフェーナは生年月日、名前、得意魔法、等を聞いていった。だが今回の騒動については聞いていかなかった。

セールも重大なことを聞かれていないと思い間を空けながらも答えていった。

「ふむふむなるほど。そんなことがあったんだ。あなたも苦労しておるのね」

「あぁそうなんだ。だから俺としてはあそこでああしてほしかったんだ」

尋問というより雑談を続けていると、飽きて近くの机でエルザ達とトランプをしていたクルサが声をかけてきた。

「ん?……アル~誰か来たみたいよ?」

「はーい」

生返事しながら扉を開けるとそこには、【魔法剣術研究会】のジシットが立っていた。

「いらっしゃい先輩」

「邪魔するぞ後輩」

さぁ彼は何をしに来たのやら。


送らせばせながらやって来ました小説ざっと紹介コーナー!

今回は『無職転生』の第三巻のざっと紹介です。

大きな事件に巻き込まれたルーデウスとエリス。二人は気がつくと元いた場所から遠く離れた魔大陸の最北端だった。

そこで新たな出会い、別れを繰り返して故郷に帰るために頑張るのが内容です。

今回はここまでですが、次回は冒頭を軽めに書きます。

それではまた閲覧をよろしく。

ではでは~


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