決闘 後編
長くなりました
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【魔法剣術研究会】在来メンバーが前方、左右の三方向から迫ってきた。
「おっ!いい判断」
「そうね、でも遅いかな?」
バキャッッッッアアアンン!!
カンッカンッカンッ!
三方向からの同時攻撃に二人は即座に対処した。クルサはギリギリまで引き付けてからバックステップ、振られた木刀が重なる一瞬を見逃さずにそこに向けて振り上げて木刀三つを弾き飛ばした。アルフェーナは同時にでなく順番に対処した。同時攻撃といってもタイムラグがある。それを見極めほんの少し速く到達する順に木刀を弾いていった。でもこれは普通出来るものではない。なぜならタイムラグがあるとしてもほんの一瞬、またたきの間程しかないのだから。彼らは毎日一緒に 練習をしているのでクセもタイミングもほぼ会うにも関わらず、一瞬に合わせたアルフェーナは異常としか言いようがない。
『なっ!?』
「いっくよアルー」
「はいはいクルサ」
「「せーのっ………そらっ!」」
当然直撃だと思っていた面々は驚き呆然と木刀が失くなった痛む手を見てしまった。そんな間抜け面にクルサは右、アルフェーナは左から顔面に水平に打ちつけた。そのまま振り抜き二人の間を通るように後方に飛ばした。
『ぐはっ!』
負け犬の山が出来た。
「ひるむなっ!いけ!」
『おぉおおおおおおお!』
在来メンバーが固まるも会長さんが激を飛ばすと、二人に向かっていった。そこからは乱戦になった。
ここで両者が持つ木刀について説明しておく。まずアルフェーナとクルサの木刀は普通の市販されている木刀だ。なんの変哲もない。でも【魔法剣術研究会】の使う木刀は練習用に重くしており、中に鉄の棒が入っている。いわゆる芯だ。芯があるものと無いものがぶつかると必然的にあるものが勝つわけだ。
そしてそれはすぐに起きた。
カンッ……ピシッ……カンッ……ピシッ……バキッ!
打ち合う最中アルフェーナの木刀が一本真っ二つに折れたのだ。
「よっしゃ!たたみかけろっ!」
「早計」
木刀を折った一人が嬉々して木刀を叩きつけようとするも、アルフェーナは武器破壊に動揺せず淡々と攻撃を避けて、足下の木刀を手にすると迫って来るのをガードした。
「なっ」
「別に相手から奪っちゃダメってルールはないでしょ?」
一瞬の硬直を見逃さずアルフェーナは最速で意識を刈り取った。
クルサも鉄の棒入り木刀と真っ正面から打ち合っているのだがクルサは木刀に濃密な魔力を纏わせているので打ち合いで壊れることはないが、
メシッ……ミシメシミシミシ…………。
魔力が濃密過ぎて膨大な圧力が木刀に加わっていた。形状を固定するために打ちに向けて圧力を収束させている。そして木刀は普通はすでに粉々の塵になっていても可笑しくない。でも逸れも収束と圧力によって形状維持されていた。この壊れている音はまだ無事な木片か壊われている音だ。
「ぞぉおおおおおおるぁああああああああああ!」
クルサは雄叫びを上げながらも様々な流派の技を使い勉強していた。これはアルフェーナと出会ってから習ったのだ。その前までクルサがただ何も考えずに力任せに振り回すくらいしか出来なかった。でもアルフェーナがそれではダメだと空き時間に自らの技を叩き込んだのだ。文字通り体に。教えるのでなく。
そのせいでクルサにちょっとしたトラウマを植え付けたのだがそれは後ほど。そのかいあってクルサは粗削りだがまともな技を使えた。それを今回多岐に使っている、元々の力任せではすぐにバテていたかもしれないが、技を使い分けて体力の消費を最小限にしていたため長らく戦っていられるのだ。
そんな二人にどんどんメンバーを減らされていくのを見ていた会長さんがとうとう動いた。
「このままじゃ無意味だ、メマ、カズカ、ジシット、いくぞ」
「「「はいっ!」」」
会長さんの後ろをメマと後ろに控えていた男子二人が着いていった。
「お前達全員さがれっ!ここからは俺達が相手だ、俺達に勝ったらお前達の勝ちでいい」
「あ、やっと?もうちょっと遊んでもよかったのに」
「軽めに遊んでいて楽しかったけどな。まぁいいけどさっさと運動しよう?」
二人の傲慢すぎる物言いに一様に口をつぐむ面々。誰もヤジを飛ばすことが出来なかった、さっきまでそれが許される光景を見せられていたからだ。だがそれに納得できない者もいる。
「ずいぶんな物言いじゃねぇか。あぁ?」
「そうだね。先輩に対しての口の聞き方を教えて上げるよ」
最初の荒々しい物言いは、学生にしてはガタイがいい浅黒の男はジシット、次は一般的な体付きだがかなりのイケメンの男はカズカだ。
ジシットはクルサと、カズカはアルフェーナと向き合った。ジシットとカズカは相手が苦手だと思う方についたのだ。
向き合い、先に動いたのは…………ジシットとカズカだった。
「どりゃああああああああ!」
「ずうぅりゅああああああああああ!」
ジシットはクルサに向けて左右からの連撃、カズカはアルフェーナに真上からの豪撃を放った。
「「っ!!」」
あまりにも正反対な攻撃に驚きギリギリのところで二人はガードした。でもそれは悪手だった。なぜなら、
ガキッ!……ミシメシミシミシ…バキャッ!
木刀が壊れてしまったからだ。
「もらった!」
「勝った……」
木刀を壊し、周りに他の木刀がないことを確認した二人はアルフェーナとクルサに最速で木刀を振りかぶった。でも、
「ほっ」
「おらっ」
二人は壊れても握っていた柄で顎にアッパーカットをくらわした。
「「がふっ!?」」
驚愕の反撃に後ずさる二人。それと別にアルフェーナとクルサは横に飛ぶとすぐさま木刀を回収して構えた。
「いやーまさか見た目と違う攻撃仕掛けてくてくるなんて驚き、アタシもアルも思わず不覚とっちゃったよ」
「むうなら私がそっちのガタイいい人とやりたいんだけど……パワーはクルサで慣れまくってるし」
「アタシも、テクニックはアルに叩き込まれてるしあんまり意味ないのよね?」
「「じゃ早く交代しますか!……せ~のっ、スイッチ!」」
そう言うとアルフェーナは高くジャンプ、クルサは低めにかがみ地を這うように直進してそれぞれの敵を変えた。
「「なにっ!?」」
カズカとジシットは迫ってきた二人に慌てながら攻撃してしまった。それも単調な大降りを。
「「はいダメ~」」
アルフェーナは落下中に、クルサは高速突進中にやられたが軽めな感じで対処した。アルフェーナは片方の木刀を当てそこを起点に一回転して首筋に鋭い一撃を当てた。クルサは頭の上に水平に構えて攻撃を滑らせてから野球のバッターのような振りかぶりかたで腹に一撃入れた。
カズカとジシットが崩れ去るなか二人が言いはなった。
「これが本当の技術、テクニックよ?」
「これが本物のパワーってやつよ」
二人が大胆不敵に言うと、クルサの背後から会長さんが、アルフェーナの側面からメマが迫った。
「単調すぎ」
「いい判断ね」
クルサは呆れながら見もせずに防御、でもアルフェーナは正面に捉えるように体を向けて防御した。
「アルー、最後だし遊んでるわ」
クルサはそう言うと会長さんに切りつけて飛ばすと、手をプラプラ振りながら歩いていった。
「了解。こっちは運動しているわ」
そんな後ろ姿に木刀を下ろしてメマを待ち構えているアルフェーナが言った。でもこちらはユルい雰囲気を出さず、針積めないまでの適度に集中した雰囲気を漂わせた。
「いっくよー……そらっ!」
「ぬおぉおおおおおおおおっ!」
後ろからクルサの声と受け止めた音、会長さんの雄叫びが聞こえてきた。
アルフェーナは気にした様子もなくメマを見据えて、軽く地面を蹴りメマに接近した。
「はぁあっ!」
それに合わせるように上段から切りつけるがアルフェーナは先程とは違い斜めに木刀を構えて受けた。すると木刀はせめぎあうも斜めなので流れていく、お互いに移動もしているので木刀同士はすぐに離れたが、体勢は変化した。
メマは勢いよく振るったわけではなかったが上段からだったため前にたたらを踏んで前のめりになっていた。でもアルフェーナは受けて後ろに流したためそうならずそのまますぐに反転できた。
反転したアルフェーナは流れるように木刀を振るった。メマは無理な体勢にもかかわらず防御した。なので飛ばされてしまった。
「ぐっ」
「おっうまい。でも、今回はダメよそれじゃ。真剣ならそうだけど今回は木刀、防御より受けてすぐに立て直せるようにするが正解よ」た振るい始めた。これはクルサとの稽古の時にしていることが自然と出ているだけ、いわゆるクセなのだ。
そのため絶妙な力加減で打ち、指摘してまた打つを繰り返し始めた。アルフェーナの悪いクセだ。力加減が上手いので立ててしまう、痛みも我慢出来る程度なので我慢してしまう。悪い循環が繰り返されてしまうのでこれをクルサは、拷問永久機関と密かに呼んでいたりする。
「さぁここからなんだから、早く始めましょ?」
アルフェーナに眼をつけられたメマには同情を禁じ得ない。
その頃クルサと会長さんはパワー勝負で打ち合っていた。
本来はクルサの方が何もかも上だが、手加減を覚えるため力が同じくらいになるまで脱力していたりする。
それを知らない会長さんはクルサと自分は同じ実力などと勘違いしながら打ち合った。まだ自分は全力を出していない、徐々に上げていけば勝てると踏んでしまった。
まぁ当然力を上げていってもクルサがそれに対応していくので意味がないのだが。
そのため会長さんが打ち合いに力をどんどん込め始めたのだが、当然クルサも対応、それからも打ち合っていたのだがそれもすぐに終わってしまう。会長さんの限界だ。
「はぁ……はぁ……なぜだ、なぜ俺と打ち合える!お前はもう限界のはずだろ!?」
全力の打ち合いを続け、手が痺れ、顔から汗をしたらせ、疲れはてながらクルサに怒鳴った。それに対してクルサは首を傾げた。
「何で限界?アタシの限界はまだまだ先ですよ?なぜ打ち合えるって打ち合えるように力を抜いているからですけど?」
それが決定打となった。あなたと私では実力が違うんですよ?とはっきり言われ、さらに実力差も先程示されてしまったので会長さんは崩れ落ちてしまった。
「あ~あ終わっちゃった。他の人も相手は………してくれないか。はぁ~あ運動程度にしかならなかった」
しょんぼりしながらクルサを後ろのアルフェーナに顔を向けた。するとそこでは滝のように汗を流しながらもアルフェーナに接近戦を仕掛けている光景が飛び込んできた。
時間は少し遡る。クルサが打ち合いをしているなかアルフェーナとメマも打ち合いを始めたのだが、それはクルサ達のように力任せの打ち合いとは違い、技術やテクニックの応酬だった。
アルフェーナが二刀流で軽い振りで流れるように攻撃するなかメマは木刀一本で対応していた。
「くぅっ!」
「はいそこ……そこにそこにそこにそこ……いいよいいよ……そらどんどん行くよー」
成長するメマを見てアルフェーナの教授スイッチが入ってしまった。
「さっきから偉そうに! 貴女は私の師匠にでもなったつもりですか!」
「……ふむ、確かにそうですね。師匠でもないのに先輩に教授ははしたないですね…………ではこれから三発打ち込みますので一発でも受けられたら先輩方の勝ち、受けれなかったら私達の勝ちで、メマ先輩には私達の部活に来てもらいます。どうですか?」
「なっ!?」
アルフェーナの破格の提案に息を飲むメマに、それを見守っていた他の面々。さすがのクルサもこれには口を開けて絶句だった。
「……ふぅ……ふぅ…………わかったわ。受けます」
メマが決意を込めて言ったがアルフェーナは違った。
「そうありがとう。なら合図はこのコインが床に落ちたらね」
あまりにもあっさりと承諾したアルフェーナはポケットから金貨一枚取り出した。
「ならいくわよ」
そう言うとアルフェーナは金貨を軽く弾いた。くるくると回りながら上がり落ちていく金貨。メマは中腰で木刀を腰に水平にして構えて音に集中していた。アルフェーナはゆっくりと中段に構えていた。
そしてその時はすぐに訪れた。
「……ハッ!」
メマは金貨が落ちると同時に突っ込んだ。それは防御する前に、攻撃が来る前に一撃を入れられる前に入れるためにだ。
でもそれは読まれていた。
「はい一発目」
パンッと軽い音がメマの左側頭部から聞こえた。
「ぐっ……」
「はい次二発目」
メマは頭がクラクラするなか、聞こえた声の方に防御の構えをするも逆側の肩に痛みを感じた。
「かはっ」
「今から十秒に最後の入れるよ」
メマはよろめきながらも距離をとった。息を調えるため二、三度呼吸する。調えて構えたと同時にアルフェーナが跳躍してきた。
「三発目」
「あぁあああああああああああっ!」
アルフェーナの上段からの振りかぶりをメマは木刀を水平にして重い音と共に受け止めた。
「っ!……やった!これで……」
勝ちとメマが叫ぶ前にアルフェーナが割ってはいった。
「油断禁物……ふんっ」
そう言うとアルフェーナは木刀に力を込めるとメマの木刀が受け止めたところから真っ二つに折れた。もちろんメマの木刀は鉄の棒入りじゃないので折れたのだ。
「あ……あぁ」
折られた木刀を通り木刀はメマのおでこに当たった。メマはそのまま軽く後ろに飛んだ。
「宣言通り三発で私の勝ち」
アルフェーナの勝利宣言が響いた。
今回は『無職転生』中盤、幼少期でのことです
父から剣を、母から魔法を教えていただきり家庭教師に魔族のロキシーがでてきます。
それからはロキシーから魔法を習い、前世の記憶をいかして成長、ロキシーから強力な魔法を習って習得、免許皆伝をもらって別れます。
そのあと一人の子供と会い、色々あって友達へ。
それからまたいろいろあって父の従兄弟のところに預けられることになります。
これで一巻がだいたいな感じで終わりです。
次回は二巻について軽く話していくのでよろしくどうぞ!




